第3−2



 


2. EUデザイン指令による英国改正登録デザイン法


2.1 EU Design Directiveは、全EU諸国とEEA諸国に、国内登録デザイン法と非登録デザイン法についての調和を要求したので、英国はCDPA1988による改正からさらに改正して2001年12月9日から、新しい登録デザイン法を施行した。
(1) 登録デザインは、“製品”の全体又は部分の外観を保護するから、二次元と三次元の形態は保護される。“eye-appeal”のない純粋に実用的なデザインでも、旧法とは違い、登録される。そして、例えば、ポスターのような文芸的・美術的作品でも、今や登録できる。“useful articles”又は工業的に量産されない物品は除くという制限は、もはやない。1個限りの美術作品でも登録されることができる。
(2) “製品”には、工業的又は手芸的なものを含むから、パッケージ、グラフィック・シンボル、タイプフェイスでもよい。建物だけは、製品とは考えられない。ルーム・セット・デザインのための家具の集合体も保護される。
(3) デザインは“dematerialized(非物質化された)”なものであり、デザインが利用される物品に制限はない。登録デザイン権はいかなる利用物品をもカバーする。
(4) 技術的機能に専ら左右される形態や、製品の機能が他の製品に機械的に依存する形状でなければならない形態は、登録することはできない。この規定は、子供用の玩具ブリックシステムのようなモジュラー・デザインは除外される。
(5) この規定がすでに除外されていないならば、構成要素は登録によって保護を得るテストをしなければならない。それらは、それがフィットする物品の正常な使用時には見えるものでなければならない。したがって、“under the bonnet”は多くの場合、保護されない。
(6) デザインは、「新規(new)」であるとともに、需要者の目に、「独自性(individual character)」を有していなければならない。
(7) 「独自性」とは、デザイナーの自由な程度(degree)が考慮されなければならない。
(8) デザインが“new”でないとは、世界中のどこかで、すでに公知になっていないことをいうが、EEAの当業界において合理的に知られるに至っていなければ、“new”となる。(EEA諸国とは、EUにNorway,Liechtenstein,Icelandを加えたものをいう。)
(9) 旧法と違う点は、デザイナーによる公開は1年間だけは無視され、その間にデザイン登録の出願をすることができる。(第三者による競合デザインの独自の公開による障害問題は残る。)
(10) デザイン庁は、デザインが新規性又は独自性をもつかどうかについての審査は全くしない。登録デザインの有効性に対する異議は、裁判手続によって処理される
(11) 新デザインの出願は、すべて数週間のうちに登録されるだろう。
(12) 存続期間の始期は、優先権日ではなく英国への出願日とする。
(13) 後日の関連(類似)デザインは最先の登録デザインの存続期間中に制限される。
(14) 8条(5)による著作権の存続期間に制限されたデザインには制限はない。

2.2 著作権法と登録デザイン法との関係
 前記のとおり、英国におけるデザイン保護のスキームは現在3つの権利に分類され、それぞれの要件を具備するデザインは、それぞれ独立して保護される。
 その中で、著作権として保護する1988年法52条と登録デザイン権としてRDA(A)によって保護する1988年法269条(1)は、いずれも同長の25年の存続期間を規定する。 
 前者の規定は、創作完成時に発生した美術の著作権が、その後、量産品に利用された場合に対する著作権の効力の制限規定といえるが、そのような場合の応用美術の著作権の存続期間を、登録デザイン権のそれに一致させたところに意味がある。
この25年という期間は、ベルヌ条約パリアクト(1971)第7条(4)で規定する応用美術作品の保護期間を同盟国の立法に留保させているとはいえ、最短25年の保護期間を義務づけた原則を遵守したことは、英国では応用美術の著作権とデザインの登録デザイン権とは、実質的に同一のものを保護するという基本的な考え方があったからといえる。
 しかし、その権利の効力には、著作権固有のそれと登録デザイン権固有のそれとの違いは存在する。即ち、前者は他人の著作物をコピーすることに対する相対的排他権であるが、後者は同一又は類似のデザインを他人がコピーすることを排除する絶対的排他権である。

2.3 登録デザイン権の利益
 特許庁にデザイン登録をすることによって得られる利益は、次のとおりである。
(1) 登録デザイン権は、デザインが利用された製品を製造,輸入,輸出,使用又は在庫し又は他人に使用させることができる排他的権利である。
(2) 登録デザイン権は、デザインを侵害する者に対して法的手段に訴え、損害賠償を請求することができる権利である。
(3) 資産価値を増加する。
(4) 25年間は、競争者のコピーからデザインを保護する知的財産権である。
(5) 会社の製品とイメージをブランド化する。
(6) 登録は、比較的早く、安くかつ簡単である。
 〔この説明は、UK Patent Office 2002年10月30日付ホームページから.〕