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出願商標「ひよこちゃん」拒絶審決取消請求事件:東京高裁平16(行ケ)18平成16年9月16日判決(認容)


〔キーワード〕 
商品・業務の混同、周知著名性、独創性、関連性、弱い商標、自他識別力

 

〔事  実〕


 
 原告(日清食品株式会社)は、平成10年5月20日,「ひよこちゃん」の平仮名文字を標準文字で横書きして成る商標(以下「本願商標」という。)について,指定商品を第30類「即席中華そばのめん」(補正後のもの)として,商標登録出願(以下「本件出願」という。)をし,平成13年4月9日に拒絶査定を受けたので,平成13年5月14日,これに対する不服の審判を請求した。特許庁は,これを不服2001−7911号事件として審理し,その結果,平成15年12月2日に「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をした。判決が認定した審決の理由は次のとおり。
 本願商標は,登録第524914号の商標権者である株式会社ひよ子が,商品「菓子」に使用する「ひよ子」の文字から成る登録商標と類似する商標であり,これを本願指定商品について使用するときは,当該商標権者の製造販売に係る商品,あるいは,当該商標権者と何らかの関係ある商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから,商標法4条1項15号に該当すると認定判断した。
 審決が,上記結論を導く過程において,本願商標と引用商標の類否,引用商標の著名性,本願商標の周知性,商品における関連性等について認定したところは,次のとおりである。
 「(1) 商標の類否
・・・してみれば,本願商標と引用商標とは,外観において相違するところがあるとしても,両商標より生ずる共通の「ヒヨコ」の称呼及び「ひよ子」「雛」の観念において,互いに相紛れるおそれのある類似する商標である。
 (2) 「ひよ子」商標の著名性
・・・以上の事実を総合すれば,引用商標は,商品「菓子」の商標として,取引者,需要者間に相当広く知られているものであって,相当に著名なものであると認められる。
 (3) 本願商標の周知性
・・・本願商標は,請求人が「『チキンラーメン』のシンボルキャラクターとして正式に採用した」と述べている(請求書3頁下から5行目)とおり,「チキンラーメン」に付随して採択されたものであるから,単にシンボルキャラクターとして認識されるものであり,これが商品に付された場合であっても,請求人の代表的出所標識である「nissin」「日清食品」,あるいは,個別商品商標である「日清チキンラーメン」「チキンラーメン」と共に付され,使用されているものであるから,これが独立して自他商品の識別機能を果たし,その結果,相当に周知になっているものとは認め難いところである。また,「平成12年度の売上は128億円にのぼる」としていることも,該売上高は,「チキンラーメン」の商標の下に生じた売上高であって,本願商標に起因する売上高であるとは見られないものである。・・・
 (4) 商品における関連性
 補正後の本願指定商品「即席中華そばのめん」と引用商標の使用に係る商品「菓子」とは,共に食品であるところを共通にし,販売店,販売場所においても,共に「食料品店」「食品売場」で扱われる商品であり,また,「即席中華そばめん」の一部には,同一のものが「スナック菓子」として菓子売場において陳列,販売されている実情にあることをも合わせ勘案すれば,取引者,需要者が重複する相当に近似し,密接な関連性を有する商品であるということができるものである。
 (5) 本願商標と引用商標との周知,著名性の比較
 本願商標と引用商標とは,(1)認定のとおり類似し,本願商標の補正後の指定商品「即席中華そばのめん」と引用商標の使用に係る商品「菓子」とは,(4)認定のとおり密接な関連性を有する商品であり,引用商標「ひよ子」の著名性は,上記(2)認定のとおり,相当に著名なものであるから,その著名性は,補正後の本願指定商品「即席中華そばのめん」にも及ぶものというべきであり,上記(3)の本願商標の当該使用により,本願商標「ひよこちゃん」に若干の周知性が認められるとしても,引用商標「ひよ子」の著名性と同等又は凌駕するほどの周知性があるものとは到底認められない。」
 

 

〔判  断〕


 
1 取消事由1(混同を生ずるおそれについての判断の誤り)について
 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断すべきである(最判平12・7・11民集54巻6号1848頁)。
 (1) 本願商標と引用商標の類似性について
 本願商標は,「ひよこちゃん」の文字から成るものであり,引用商標は,「ひよ子」の文字から成るものである。
 本願商標は,「ひよこ」の文字と,愛称で呼ぶときにしばしば使用される「ちゃん」の文字とから成るものである。「○○ちゃん」のように,「ちゃん」を他の語に付して使用した場合は,「○○」の部分が取引者又は需要者の注意を引く部分となることは当然である。したがって,本願商標の「ひよこちゃん」は,「ひよこ」の部分が取引者又は需要者の注意を惹く部分であるから,同商標については,普通名詞の「ひよこ【雛】」から「鳥の子。特にニワトリの子。ひな」(広辞苑第5版)との観念が生じ,また,「ひよこちゃん」との称呼のみならず,「ヒヨコ」との称呼も生じ得るものである。
 これに対し,引用商標の「ひよ子」は,普通名詞である「ひよこ」の「こ」を漢字の「子」にしたものであるから,文字どおり,「ひよこ【雛】」を連想させるものであり,「鳥の子。特にニワトリの子。ひな」との観念及び「ヒヨコ」との称呼を生ずるものである。
 以上からすれば,本願商標と引用商標とは,外観において相違するところがあるとしても,「ひよこ【雛】」の観念及び「ヒヨコ」の称呼を共通にするものであり,商標のみを比較した場合は,互いに類似する商標であると認められる。
 ただし,上に述べたところから明らかなとおり,引用商標の「ひよ子」は,普通名詞の「ひよこ」の「こ」を「子」としただけであり,また,本願商標の「ひよこちゃん」も,普通名詞の「ひよこ」に「ちゃん」を付しただけの商標であるから,いずれも普通名詞の「ひよこ」と類似するものであって,独創的な商標ということはできず,その商標としての自他識別力は本来的に弱いものである。
 (2) 引用商標の周知・著名性及び独創性の程度について
 (ア) 証拠(甲109,110号証,乙1ないし6号証,乙17ないし49号証)によれば,次の事実が認められる。
 株式会社ひよ子の沿革は,大正元年に先々代石坂茂がひよ子を形どった菓子を考案したころにさかのぼる。その和菓子を製造販売する事業を引き継ぐ形で昭和27年に飯塚市で吉野堂製菓株式会社が設立され,その後,福岡市で昭和31年に株式会社吉野堂,昭和34年に吉野堂商事株式会社が設立され,昭和38年には吉野堂製菓株式会社が株式会社ひよ子に社名変更され,また,昭和41年に,東京都中央区において株式会社東京ひよ子が設立され,その後も商号変更,営業譲渡などを経て,昭和62年10月にはグループ会社4社が合併し,株式会社ひよ子とされ,平成7年には,同社の東京支社が,株式会社東京ひよ子として独立している。株式会社ひよ子は,その年間売上高が,昭和60年度で74億円(グループ全体)であったが,平成3年ころには105億円,その後,110億円に上り,店舗数も89店,生産工場も福岡県に「飯塚総合工場」「穂波工場」「製あん工場」を有するに至っており,さらに,株式会社東京ひよ子が埼玉県に「草加工場」を有している。株式会社ひよ子の引用商標が使用されている「ひよ子の形をしたお菓子」は,その主力商品であり,贈答品,土産物商品として,首都圏のみならず,全国的に盛大に販売されている。
 また,昭和58年8月20日に発行された株式会社東京堂出版の「和菓子の辞典」には,福岡の和菓子として「ひよ子」が紹介されており,1991年(平成3年)6月20日に発行された株式会社真珠書院の「菓子 新食品事典10」にも,福岡の菓子として「ひよこ」が「白あん入りのひよこの形をしたまんじゅう。」として紹介されている。さらに,1987年(昭和62年)9月23日発行の日刊工業新聞13頁には「ひよ子本舗吉野堂がグループ3社を吸収合併,製販一本化へ。新工場も建設」と題して「ひよ子」に関する掲載記事があり,1989年(平成元年)8月31日読売新聞東京夕刊9頁には,「帰省ラッシュは稼ぎ時 キヨスク上野75号店は年商11億円」と題して,「この数年,みやげの人気bPは和菓子「ひよ子」。後に続くカステラ,どらやきに大差をつけてのダントツで,・・・」との記載があり,また,1990年(平成2年)11月13日発行の流通サービス新聞17頁には「土産品業界−夢から出たひよ子。明太子と双璧なす」と題して「ひよ子」に関する記事が掲載され,1998年(平成10年)3月10日発行の中日新聞夕刊12頁には「銘菓ひよ子」が「JR東京駅・東京土産ベスト10」の1位であることが報じられている。
 さらに,2003年(平成15年)7月16日発行の西日本新聞夕刊1頁には「韓国に「偽ひよ子」味,形,名物菓子”パクリ”「勝手にまねた」」と題して,「福岡や東京の土産用菓子として有名な「ひよ子」にそっくりの商品が韓国内で売られていることが分かった。」などの記事が掲載され,2003年(平成15年)8月7日発行の朝日新聞大阪朝刊23頁には,「いま,東京駅土産の売上高の上位は(1)・・・(3)ひよ子・・・となっている」との記事が掲載され,インターネットのWebサイト「東京みやげKIOSKモール」(2004年3月9日)では,「東京みやげ年間人気ベスト12」の3位に「ひよ子」が挙げられている。
 (イ) 以上の事実を総合すれば,引用商標は,本件出願当時である平成10年ころも,平成15年の審決時のころも,主として土産物あるいは贈答品に頻繁に利用される,ひよこの形をしたお菓子に付された商標として,首都圏及び九州を中心として,広く全国的に,取引者,需要者間に知られていたものと認められる。ただし,引用商標は,上記のとおり,普通名詞の「ひよこ」と類似するものであり,独創的な商標ではなく,その商標としての自他識別力は弱いものであるから,その周知性は,主として土産物あるいは贈答品に頻繁に利用される,ひよこの形をしたお菓子という商品と密接に結合して形成されたものであり,いわば,当該商品を連想させる商標として,周知著名であったものであると認められる。(株式会社ひよ子は,ひよこの形をしたお菓子以外の菓子,すなわち,どら焼き,カステラ,おかき,和生菓子なども販売しているものの,これらについては引用商標を使用していないのであり(乙1号証),また,これらの商品の売上げも証拠上明らかではないことからすれば,引用商標の周知性は,上記のとおり,ひよ子の形をしたお菓子と密接に結び付いて形成されてきたものということができる。)
 (3) 本願商標の指定商品と引用商標に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度,取引者,需要者の共通性並びに取引の実情について
 (ア) 本願商標の指定商品である「即席中華そばのめん」(インスタントラーメン)は,一般消費者がスーパーマーケットやコンビニ等の小売店で購入し,日常の食事の場で普通に食される商品であり,単価は少額で日常的に購入される商品である。
 これに対して,引用商標が使用されている「ひよ子の形をしたお菓子」は,一般の消費者が,主として,旅行又は仕事等で訪れる際のお土産品あるいは贈答品として,駅や空港の売店,百貨店やスーパーマーケットなどの大規模店舗の専門店,贈答品コーナー,あるいは株式会社ひよ子の直営店等で購入するお菓子であり,お土産品・贈答品として食することが多いお菓子であって,日常的に食される「即席中華そばのめん」とは相当に異なる食品である(乙22ないし25号証,乙29ないし31号証,乙33ないし35号証,乙47ないし49号証)。
 (イ) 審決は,「補正後の本願指定商品「即席中華そばのめん」と引用商標の使用に係る商品「菓子」とは,共に食品であるところを共通にし,販売店,販売場所においても,共に「食料品店」「食品売場」で扱われる商品であり」(審決書3頁下から2行〜4頁1行)と認定する。
 しかし,駅や空港の売店等で,お土産品,贈答品として,「即席中華そばのめん」が販売されていることを認めるに足りる証拠はない。
 また,引用商標を使用した「ひよ子の形をしたお菓子」は,百貨店やスーパーマーケットなどの大規模店舗において,専門店,贈答品コーナーで対面販売されることはあっても,スーパーマーケットなどの大規模店舗における日常的な食料品のコーナーにおいて,「即席中華そばのめん」といっしょに陳列され,消費者が棚に陳列された商品を直接手にとってレジカウンターに運び購入する形式で販売されることは一般的ではなく,その売場は,明りょうに区別されているのであり,また,日常的な食料品として,スーパーマーケットのチラシ等で宣伝広告されることは通常みられない(甲114ないし128号証,乙14ないし16号証)。
 なお,証拠(乙64ないし67号証)によれば,「即席中華そばのめん」のセットが,インターネットなどで,贈答品として販売されたり,1個当たりの小売価格1000円の「即席中華そばのめん」のセットがデパートなどで贈答品として販売された例があることが認められる。しかし,1個当たりの小売価格が1000円の「即席中華そばのめん」は,「即席中華そばのめん」としては例外的な価格の商品であり,このような「即席中華そばのめん」が一般的なものとなってきていることを認めるに足りる証拠はないし,インターネット等における贈答品としての「即席中華そばのめん」のセットの販売も,例外的なものであり,このような贈答品としての販売形態が一般的になってきていることを認めるに足りる証拠もない。まして,これらの「即席中華そばのめん」のセットが,駅や空港の売店等でお土産品あるいは贈答品として販売されていることを認めるに足りる証拠はない。
 このように,「即席中華そばのめん」と引用商標が使用されている「ひよこの形をしたお菓子」とは,食品の範疇に属するものであっても,その商品の性質,用途,目的の差異から,販売店あるいは販売場所を異にするものであり,共に「食品売場」で一緒に取り扱われるものではない。
 (ウ) 審決は,「「即席中華そばのめん」の一部には,同一のものが「スナック菓子」として菓子売場において陳列,販売されている実情にある」(審決書4頁1行〜3行)と認定する。しかし,麺状のものを短く截断したような形をしたスナック菓子商品(「ベビースターラーメン」など)は,一部の菓子メーカーが販売するにすぎない特殊な商品であり,菓子そのものであって,インスタントの麺として注湯などをして食される「即席中華そばのめん」とは別異の商品カテゴリーに属する商品である(乙12号証)。一般消費者は,「ベビースターラーメン」などの麺状のスナック菓子はそのまま食べる菓子であり,これに湯を入れてインスタントラーメンのように食べるものと認識してはいないことは当然である。これらは,いわゆるインスタントラーメン味のスナック菓子であるから,このような例外的な商品である前記スナック菓子が存在するからといって,一般消費者にとって,「菓子」と「即席中華そばのめん」とが類似性あるいは関連性を有する商品となるわけではない。
 (エ) 以上からすれば,引用商標が使用されている「ひよ子の形をしたお菓子」と本願商標に係る「即席中華そばのめん」とは,一般の消費者を共通の需要者とするとしても,上記のとおり,前者は,主として,お土産品・贈答品として,駅や空港の売店,百貨店やスーパーマーケットなどの大規模店舗の専門店,贈答品コーナー,あるいは株式会社ひよ子の直営店等で対面販売されるものであるのに対し,後者は,主として,スーパーマーケットやコンビニなどの量販店で日常食料品として販売され,消費者が棚に陳列された商品を直接手にとってレジカウンターに運び購入するものであるから,同じ食品に属するものであるとしても,両者は,商品の性質,用途,目的が異なり,一般の消費者により明りょうに区別される商品であるということができる。
 (4) 総合的判断
 以上に認定したところからすれば,引用商標「ひよ子」が普通名詞の「ひよこ」と顕著な差がなく,自他識別性が強くはないこと,引用商標「ひよ子」の周知著名性は,お土産品・贈答品に頻繁に利用される,「ひよこの形をしたお菓子」という商品と密接に結合したものであり,当該商品を連想させる商標として周知著名なものであるから,その周知著名性が及ぶのはせいぜい「菓子」の範囲までであり,食肉,野菜,果実などの生鮮食料品から,様々なものが含まれる加工食料品など食品全般にまで広く及ぶと解することはできない。
 前記のとおり,本願商標の指定商品である「即席中華そばのめん」(インスタントラーメン)は,一般消費者がスーパーマーケットやコンビニ等の小売店で購入し,日常の食事の場で普通に食される商品であり,単価は少額で日常的に購入される商品であるのに対して,引用商標が使用されている「ひよ子の形をしたお菓子」は,一般の消費者が,主として,旅行又は仕事等で訪れる際のお土産品あるいは贈答品として,駅や空港の売店あるいは百貨店やスーパーマーケットなどの大規模店舗の専門店,贈答品コーナー,あるいは株式会社ひよ子の直営店等で購入するお菓子であり,お土産品・贈答品として食することが多いお菓子であって,一般消費者が日常的に食する「即席中華そばのめん」とは,商品自体が相当に異なり,販売経路,売場などからも,明りょうに区別することができる食品であることからすれば,「即席中華そばのめん」に本願商標を使用しても,その取引者及び需要者である一般消費者が,同商品を,引用商標「ひよ子」の業務主体又は同社と何らかの関係にある者の業務に係るものと混同するおそれがあるとみることはできない。審決の「本願商標は,これをその指定商品について使用した場合,商品の出所について混同を生じさせるおそれのあるものと認められる」(審決書4頁16行〜17行)との認定判断は誤りであるといわざるを得ない。

論  説

1.最近の司法裁判所の法廷においては、たとえ商標のような無体財産をめぐる登録保護の可否事件であっても、具体的な取引の場における事実関係を克明に想定し客観的に認定して判断していることには、感心させられる。これは、審決取消訴訟の一方の当事者となる特許庁(審査・審判)の考え方とは明らかに対立するし、後者の考え方の貧しさを痛感する。すると、そのような形式的かつ一方的な考え方しかできない特許庁審判部に審理方法の改革を期待することは到底できないだろう。

2.本件は、標章間に類似性は認められるとしても、商標登録の可否には、あらゆる要素を考慮・検討して判断すべきであることを説示している。その場合に、引用商標(登録商標)に係る標章(文字)が普通名称(ひよこ)であることは、まず自他商品や役務を区別する力が弱い商標であることを基本的に承知していなければならないから、それが現実に使用されている商品・役務との関係範囲に、類似の範囲が限られると認定したことは妥当といえるだろう。それは、当該標章が商品・役務との関係では周知著名なものとなっているならば、なおさら限定的になるといえる。

3.商標法4条1項15号の規定は、同条項10号〜14号に規定する以外の商標に対して適用され、さらに要件として「混同を生ずるおそれ」のあることを付加していることを注意すべきである。その意味では、この規定は不競法2条1項1号に通ずるところがあるといえる。

[牛木理一]