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PUMA事件:東京地裁平14(ワ)28242平成15年12月18日判・認

〔キーワード〕

真正商品、並行輸入、過失、業務上の信用毀損

〔事  実〕

 原告(プーマ・アーゲー・ルドルフ・ダスラー・スポーツ)は標章「PUMA/図形」で著名なドイツの会社で、(1)登録第3328662号(平成9年7月4日登録)(第18類)、(2)登録第2601713号(平成5年11月30日登録)(旧21類)、(3)登録第1884350号(昭和61年8月28日登録)(旧21類)の本件各商標権の商標権者であった。
これらの商標権について、訴外株式会社コサリーベルマンが、平成6年10月24日から平成14年11月22日までの期間、原告から専用使用権の設定を受けていた。
被告(株式会社ラックス)は、おそくとも平成13年6月28日から平成14年3月5日までの間、被告標章のいずれかを付したミニボストンバッグ、フライトバッグ、ミニショルダーバック及びボストンデニバック等の商品を、3店舗で販売するとともに、インターネット上のサイバーモールに「気楽や」の名称で出店し販売していた。
そこで、コサリーベルマンは、平成15年12月1日、被告行為に基く損害賠償請求権を原告に譲渡し、12月9日頃に被告に到達した内容証明郵便で債権譲渡の通知をした。
争点は次の4点である。
(1) 被告の行為が真正商品の並行輸入として実質的違法性を欠くか。
(2) 被告の故意過失
(3) 損害額
(4) 原告の業務上の信用が毀損されたか。
  〔主  文〕
  1 被告は,原告に対し,1490万4080円及びこれに対する平成14年3月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,別紙3の謝罪公告目録記載の謝罪文を同目録記載の要領で同目録記載の新聞に掲載せよ。
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
5 この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。

 
〔判  断〕

 

1 争点1(被告の行為が真正商品の並行輸入として実質的違法性を欠くといえるか)
(1) 証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
ア 原告は、イーランドに対し、韓国における本件各登録商標の専用使用権を設定していた。
 イーランドは、平成11年6月28日、Cの妻であるB(契約書上はI.S.J)との間で販売店契約を締結した。
イ 被告は、平成12年7月27日ころ、マスターハット・デパートメント・ストアから、被告商品のうちミニボストンバッグを除く合計661個を次のとおり、合計86万5920円で購入した。
ボストンデニムバッグ   1個1440円  279個
フライトバッグ      1個1440円  203個
ミニショルダーバッグ   1個 960円  179個
この点に関し、被告は、仕入れ個数は認めるものの、仕入価格を平均して1個1250円ないし1300円と主張して争うが、本件訴訟前の交渉において、被告が原告ら代理人弁護士林に提出した書面によれば、上記認定のとおり認められる。
また、被告は、上記各被告商品の仕入先につき、アロンから購入した旨を主張するが、甲5によれば、マスターハット・デパートメント・ストアから購入したものと認められる。
ウ イーランドとBとの間の販売店契約は、平成12年11月30日に解除された。
エ 被告商品のうちミニボストンバッグについては、これに対応する真正品は、平成13年1月から製造が開始された。
オ 被告商品のうちミニボストンバッグについては、被告は、合計3800個を合計327万5600円でアロンから購入した。
カ 被告は、自ら経営する7ないし8の店舗で、被告商品を販売するとともに、平成13年7月から平成14年3月にかけて、楽天のインターネット販売において、「気楽や」の名称で、被告商品を販売した。
この際、「日本未発売品、気楽や別注カラーのため、めったに手に入らない」などと宣伝した。
キ 偽造品防止のため、原告の真正商品にはすべて「プーマセキュリティラベル」(以下「セキュリティラベル」という。)と呼ばれる特殊ラベルが付されている。このセキュリティラベルの裏面には、紫外線をカットするような染料やプリント方法で描かれた「シャドウキャット」が付されており(紫外線を当てると、プーマの像が浮かび上がる。)、セキュリティラベルには、20倍から50倍の倍率の拡大顕微鏡を用いて初めて見ることのできる着色された微細なプラスチック小片である「セキュタグ」が含まれている。
ク 原告らは、被告の経営する店舗において、調査のため、被告商品を、次のとおり購入したところ、原告らが購入した被告商品には、いずれもセキュリティラベルがないか、セキュリティラベルがあってもシャドウキャット又はセキュタグがなかった。
(ア) 平成13年11月6日、渋谷PARCO内「Thrive渋谷」において、フライトバッグ(5800円)及びミニショルダーバッグ(2900円)
(イ) 同年6月28日、「Thrive原宿店」において、ミニボストンバッグ6種類(各3900円)
(ウ) 同年6月29日、「Ragout」において、ミニボストンバッグ(3900円)
(エ) 同年9月27日、「Aeropostale Original Dept」において、ミニボストンバッグ(2900円)
(オ) 同年9月27日、「スライブ原宿店」において、ミニボストンバッグ(3900円)
(カ) 同年9月27日、「Ragout」において、ミニボストンバッグ(4900円)
(キ) 同年9月27日、「気楽や」(楽天を通じたインターネット販売)において、ミニボストンバッグ2個(各3900円)、ボストンデニムバッグ(5900円)
(ク) 同年9月27日、「gale」において、ミニボストンバッグ(3900円)
(ケ) 平成14年2月13日、「気楽や」(楽天を通じたインターネット販売)において、ボストンデニムバッグ(5900円)、ミニショルダーバッグ(2900円)
ケ 原告らは、被告商品のうちミニボストンバッグについて、平成13年9月11日ころ到達の内容証明郵便で、被告に対し、その販売が、原告らの権利侵害に当たる旨警告した。
被告は、コマーシャルインボイスを偽造した上、同年9月25日付の書面で被告商品は真正商品であると主張し、偽造にかかるコマーシャルインボイス及びイーランドとB(契約書上はI.S.J)との間の販売店契約書を被告商品が真正商品である根拠として提出した。
原告らが、事実関係を調査したところ、上記販売店契約は既に解除されており、上記インボイスは偽造されたものとの結論に至った。原告らは、被告に対し、同年12月11日ころ到達の内容証明郵便で、Bとの販売店契約は平成12年11月30日に解約されており、被告製品のうちミニボストンバッグについては、これに対応する真正品が製造販売されたのはその後の平成13年1月であること、上記インボイス記載の品番は、小物やウエア等のものであって、被告商品のものではないことを告げるとともに、被告商品のうちミニボストンバッグの仕入れ先等の情報開示を求め、被告商品のうちデニムボストンバッグ等も、真正商品であるかどうか疑わしいとして、真正商品であると主張する根拠の提示及び、根拠がない場合は販売の中止を求めた。
コ 原告らは、平成14年4月、被告に対し、再度警告した。
 被告は、同年4月26日付書面で、原告らに対し、平成13年中の警告の後、ミニボストンバッグの販売を中止したこと、その他の被告製品の販売を中止した旨述べた。さらに、平成14年5月20日付で、原告らに対し、平成13年の警告の後、被告商品のうちミニボストンバッグの販売を中止したこと、平成14年4月の警告書の後、すべての被告商品の販売を中止したこと、現段階で130個の在庫があるが、在庫の所有権を放棄するつもりであること等を記載した書面を送付した。
(2) 上記認定事実を前提に、被告の行為が真正商品の並行輸入として実質的違法性を欠くということができるかどうかを、検討する。
 商標権者以外の者が、我が国における商標権の指定商品と同一の商品につき、その登録商標と同一の商標を付されたものを輸入する行為は、@当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり、A当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視できるような関係があることにより、当該商標が我が国と同じ出所を表示するものであって、B我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから、当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される場合には、いわゆる真正品の並行輸入として、商標権侵害としての実質的違法性を欠くものである(最高裁平成14年(受)第1100号同15年2月27日第一小法廷判決・民集57巻2号125頁)。
 そうすると、本件において被告の行為が真正商品の並行輸入として商標権侵害としての実質的違法性を欠くといえるためには、被告商品に付された被告各標章が、外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり、当該外国における商標権者と我が国の商標権者である原告とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることを要するものである。
 この点につき、被告は、被告商品はアロンから購入したものであり、アロンはこれを、韓国における本件各登録商標の専用使用権者であるイーランドと販売店契約を締結していたCから購入したと主張する。
 しかし、上記のとおり、被告商品のうちミニボストンバッグを除く商品については、マスターハット・デパートから購入したものと認められる(被告は、アロンの取引について証拠を提出しているが、取引の内訳が不明であり、仕入れた被告商品の個数とも合致せず、被告自身が、本件に関して原告らに送付した甲5の内容とも符合しないものであるから、これらの証拠により、被告主張の事実を認めることはできない。)。また、被告商品のうちミニボストンバッグについては、一応、アロンから購入したものと認められるが、イーランドとの間で販売店契約を締結していたBの経営に係る店舗からアロンがこれを購入したことを認めるに足りる証拠はない(被告は、被告商品につき、Bの夫であるCが経営するイテウォンからアロンが被告商品を購入していると主張し、証拠を提出する。しかし、これらの証拠からは、アロンが、平成12年5月8日及び同月26日ころ、Cに対し、バッグの代金として、それぞれ1000万ウォン、1295万ウォンを支払い、平成12年5月29日に、韓国から商品を輸入するにつき、国税局の輸入許可を得た事実が認められるものの、乙1、2の輸入商品名欄には、「ARTICLE OF CASES、OUTER PLASTIC SHEET」と記載されているものであって、輸入された品物が被告商品であることを示す記載はなく、乙3ないし6についても商品が被告商品であることを示す記載はなく、乙10もアロンがCから被告商品を購入したことを推認させるものではないから、これらの証拠から、アロンがCから被告商品を購入した事実を認めることはできない。また、乙18(アロン代表者の陳述書)及び乙19(被告代表者の陳述書)の内容も、後記の事情に照らせば、措信するに足りない。)。かえって、被告商品のうちミニボストンバッグについては、これに対応する真正品はイーランドとBとの間の販売店契約が解除された後に初めて製造販売されたものであること、被告商品には真正なセキュリティラベルが付されていなかったこと(甲8によれば、原告の真正品には平成8月以降、セキュタグを備えたセキュリティラベルが付されていたと認められる。)に照らせば、いずれにしても、被告商品に付された被告各標章が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものとは認められない。
上記によれば、被告の行為が真正商品の並行輸入として実質的違法性を欠くということはできない。
2 争点2(被告の故意過失)
上記1、(1)において認定した事実関係によれば、被告の行為は、本件各登録商標権についての原告の商標権及びコサリーベルマンの専用使用権を侵害するものであるから、商標法39条、特許法103条により、被告には、過失があったものと推定される。
この点につき、被告は、被告商品を、韓国における原告の販売代理店を経営していたことのあるCから商品を購入していたアロンから購入したのであるから、原告らの権利を侵害することについて過失がなかった旨を主張する。
 しかし、前記のとおり、そもそも、被告商品のうちミニボストンバッグ以外の商品については、アロンから購入した事実が認められない上、仮にこれを含めた被告商品について被告がアロンから購入していたとしても、被告は、原告の登録商標と同一又は類似の標章の付された商品を並行輸入するに当たっては、当該商品がいわゆる真正商品であるかどうかを調査すべきものである。被告は、被告がアロンから被告商品を購入する際に、アロンの代表者から、被告主張のような入手経緯を聞かされ、Cに対する送金伝票、イーランド社員の名刺、イテウォン代理店の名刺を見せられ、「絶対に本物であるので何か問題が起こることはあり得ない」と言われたと主張し、これに沿う証拠を提出する。しかし、そもそも、ミニボストンバッグについては対応する真正商品の製造販売時期との関係で真正品であることに当然疑問を持つべきものであり、また、被告が、被告商品の販売において、「日本未発売品、気楽や別注カラーのため、めったに手に入らない」などと宣伝していること、被告が原告らに提出したコマーシャルインボイスが偽造にかかるものであったことなどの事情に照らせば、被告提出の証拠をたやすく措信することはできない。
上記によれば、本件において、被告の過失の推定を覆すに足りる事情が存在すると認めることは、到底できない。
3 争点3(損害額)
(1) 証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
ア 被告は、マスターハット・デパートメント・ストア(ミニボストンバッグ以外の商品)及びアロン(ミニボストンバッグ)から、被告商品合計4461個を次のとおり、合計414万1520円で購入した。
ボストンデニムバッグ   1個1440円  279個
フライトバッグ      1個1440円  203個
ミニショルダーバッグ   1個 960円  179個
ミニボストンバッグ    1個 862円 3800個
 この点、被告は、仕入れ個数は認めるものの、仕入価格については、平均して1個1250円ないし1300円であり、これに宣伝広告費を加えると1個の原価は平均1550円であったとして争うが、前記のとおり甲5及び弁論の全趣旨によれば、上記認定のとおり認められる。また、宣伝広告費は、被告の得た利益から控除されるべき費用に当たらない(なお、被告とアロンの取引について、乙8、11、12が提出されているが、内訳が不明であるから、上記認定の妨げになるものではない。)。
イ 被告は、自ら経営する7ないし8の店舗及びインターネット上において、被告商品を概ね次の価格で販売した。
ボストンデニムバッグ   1個5900円
フライトバッグ      1個5800円
ミニショルダーバッグ   1個2900円
ミニボストンバッグ    1個3900円
ウ 被告商品の売れ行きは好調であり、平成13年6月22日付の繊研新聞に、被告の経営する「エアルポステール・オリジナル・デプト」の記事が掲載され、「一番人気はプーマのミニバッグ。卸しも含めて1万個売った。」旨記載され、被告の経営する「スライヴ」の店舗内に被告商品のうちミニボストンバッグが陳列されている写真が掲載された。
(2) 原告の損害額
ア 被告の利益 
 上記のとおり、被告商品の仕入金額は合計414万1520円であったと認められる。
 被告商品の販売金額合計については、被告が、7ないし8の店舗及びインターネット上において被告商品を概ね上記の販売価格で販売していたこと、被告商品の売れ行きが好調であったことが認められるものであって、これらの事情に照らせば、被告からこの点に関する関係書類等が提出されていない本件においては、被告は上記の仕入れに係る被告商品のすべてを上記の販売価格で販売したものと認めるのが相当である。
 この点につき、被告は、上記各店舗及びインターネットでの販売のほかに、被告商品を上記の販売価格(小売価格)より安価に卸売を行っており、また被告商品のうち130個が在庫になっている(内訳は不明)と主張した上、合理的な計算根拠を示すことなく、被告商品の販売により被告が得た利益は合計450万円(小売による利益400万円、卸売による利益50万円)である旨主張する。しかし、この主張を裏付けるに足りる伝票、帳簿等の証拠は一切被告から提出されていないことに照らせば、被告の主張を採用することはできない。
 そうすると、被告は、被告商品の販売により、次のとおり合計1816万2600円の売上を得た。
ボストンデニムバッグ5900円× 279個= 164万6100円
フライトバッグ   5800円× 203個= 117万7400円
ミニショルダーバッグ2900円× 179個=  51万9100円
ミニボストンバッグ 3900円×3800個=1482万0000円 
合計                    1816万2600円
 したがって、被告は、被告商品の販売により、合計1402万1080円(1816万2600円−414万1520円)の利益を受けたものである。
イ 上記のとおり、被告は、被告商品の販売により、合計1402万1080円の利益を受けたものであるから、同金額をもって被告の行為により本件登録商標(1)についての原告の商標権及び本件登録商標(2)及び(3)についてのコサリーベルマンの専用使用権(商標権に専用使用権が設定されている場合には、登録商標を使用する権利を専有するのは専用使用権者であるから、侵害行為を行った者に対して商標法38条による損害賠償を請求できる者は専用使用権者である。)が侵害された損害額と推定される(商標法38条2項)。そして、コサリーベルマンの損害については、原告は、平成15年12月1日、損害賠償請求権の譲渡を受け、コサリーベルマンは、同月9日ころ被告に到達した内容証明郵便により債権譲渡の通知をした。
ウ 原告が、本訴の提起、追行を代理人に依頼したことは当裁判所に顕著であるところ、原告の請求の内容、本件事案の性質、訴訟追行の難易度等を考慮すれば、原告の主張する弁護士費用88万3000円は、被告の侵害行為と相当因果関係のある損害と認められる。
エ 以上によれば、原告が被告の行為により被った損害の額は、合計1490万4080円と認められるから、原告の損害賠償金支払請求は1490万4080円の支払を求める限度で理由がある。
4 争点4(原告の業務上の信用が毀損されたか)
本件における被告商品の販売態様、販売数、販売金額等の事情によれば、被告の行為により、本件各登録商標に対する一般消費者の信用が害され、商標権者である原告は業務上の信用を既存されたと認められる。
原告の信用を回復するための措置としては、別紙3の謝罪広告目録記載の謝罪文を同目録記載の要領で同目録記載の新聞に掲載することをもって相当と認める。
5 結論
以上によれば、原告の請求は1490万4080円及びこれに対する平成14年3月5日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払及び別紙3の謝罪公告目録記載の謝罪文を同目録記載の要領で同目録記載の新聞に掲載することを求める限度で理由があり、その余の請求は理由がない。
〔論  説〕
1.本件では、被告が販売していた標章「PUMA/図形」を付した商品が、韓国において真正商品として販売されていたものであるとの主張を、被告は証明することができず、逆に原告が被告商品は韓国で偽造ルートで販売されたものであることを証明したことによって、被告の輸入販売行為が真正商品の並行輸入に当たらないと認定された。判決は、実質的違法性を欠く並行輸入行為の基準について、最高裁の判例を引用している。判決は、実質的違法性を欠く並行輸入行為の基準について、最高裁の判例を引用している。
また、被告には原告の商標権侵害についての過失が推定されたが、被告は少なくともわが国特許庁において、本件商標についての商標公報及び登録原簿を調査しておくべきであったにもかかわらず、それを怠ったことに過失があると認定された。
裁判所が算定した損害賠償額は、単純に被告の仕入額を引いて得た利益額に対するものであったが、これは妥当というべきであろう。
加えて、原告に与えた業務上の信用毀損行為に対する謝罪広告の掲載を裁判所が課したことも当然であろう。

2.わが国において専用使用権者はいたが、同人から商標権者に対して、被告に対する損害賠償請求権が譲渡されたことから、商標権者が原告となった。しかし、専用使用権者もまた商標権者と対等に、侵害行為者に対して差止請求権や損害賠償請求権を有することは商標法の規定である。
本件ではそうしなかったのは、契約上そうなっていたのか又は協議してそう決めたのであろう。

[牛木理一]