USHIKI INT'L PATENT OFFICE

e-NEWSLETTER


 

 
2019年7月1日



 
近 況 雑 感

1.(1) わが国軍が、米国軍と戦争を開始したのは1941年(昭和16年)12月8日の海軍隊によるオアフ島の真珠湾艦隊への奇襲攻撃であったところ、1年後には連合艦隊司令長官の山本五十六大将の戦線偵察機が予知されて撃墜され死去した以後は、戦局は次第に我が国に不利になりました。そして、1944年7月にはサイパン島守備隊が玉砕し、同年8月にはグアム島守備隊が玉砕し、サイパンとグアムを占拠して基地にした米軍は、11月24日にはB29、100機で東京に襲来し、1945年3月には伊江島守備隊が玉砕した後、同年3月24日には米艦隊が沖縄本島に艦砲射撃を始め、3月26日には慶良間諸島に上陸し、4月1日には沖縄本島に上陸を開始したのでした。また、戦艦「大和」以下第2艦隊第1遊撃部隊が沖縄へ出撃しましたが、4月7日に米艦載機により「大和」は撃沈されました。また、米軍は5月31日には首里を占領し、6月25日に大本営は、沖縄本島における組織的戦闘の終了を発表したのです。そして、8月15日に日本政府はポツダム宣言を受諾して、無条件降伏をして終戦となったのですが、この間における沖縄人民の死亡者は全人口の4人に1人と言われています。さらに、南洋戦・フィリピン戦での民間戦死者は25,000人と推計されているのです。

(2) 以上の知識は、6月22日・23日に東京駅前の八重洲ブックセンター8階で開かれた「沖縄の戦争展」における座談会と講演会に、私が出席して得た情報によるものです。戦争とは、専ら兵隊が武器等を持って敵軍と戦うものだと思っていたのに、国土に敵軍が上陸すると、敵軍が無防備の住民を一方的に殺害することになったのです。

(3) 私がまた本欄(1)で紹介した問題は、米軍の沖縄上陸によって殺害された住民の戦争被害による国家賠償責任が争われた裁判事件の判決が、那覇地裁で平成30年1月23日(民1部)に出た記事のことです。これは「南洋戦」被害・謝罪及び賠償請求事件であり、地裁判決は棄却、高裁判決は控訴棄却をしたのです。

 本事件の主要な争点は、@国の不法行為責任の成否,A国の公法上の危険責任の成否,B国の立法不作為にかかる国賠法上の責任の成否です。(詳細は、「判例時報」第2402号 51頁以下参照)➡以前にも本欄で紹介したことがあるが、このような国民の戦争被害に対する国家賠償法の成立の必要性は急務であります。この裁判例と「判例時報」の記事のことは、本件の代理人をしている端慶山茂弁護士(千葉県弁護士会)から直接聞いた上で入手した次第です。

 

2.本欄の6月1日号でお知らせしました改正意匠法3条2項の動機となった現行意匠法3条2項の適用を誤った審決,判決及び最高裁決定を取り上げた裁判批判論文を、今回掲載しますので、ごらん下さい。➡第1.1−16「意匠法第3条2項の適用矛盾―最高裁判断への疑問―」参照

 改正意匠法を始めとする他の改正法の施行日はまだ決まっていませんので、当業者におかれては刊行物公知による拒絶に出会わないために、出来るだけ早く出願されることをお勧めします。現行法では、“事実上公知”の形態からの創作容易の場合にしか適用することができず、“刊行物公知”からの容易創作の場合には法3条2項を適用することができないのです。この違いを、出願人代理人はよく認識して出願すべきなのです。 

 

3.余計なことかも知れないが、今回の意匠法改正から外れた規定は法24条2項です。これは、平成10年改正時の答申にはなく、直前に急遽導入された規定なのです。本来、「意匠の類似」についての定義を立法者が規定したいのであれば、第1章総則の法2条において規定すべきであるのに、法24条の「登録意匠の範囲」の項に規定されたから、「登録意匠」をめぐる類似の場合についてのみ適用すべきなのであり、「出願意匠」については適用不可というべき不思議な規定となっているのです。

 

4.ところで、私は以前、本欄で、「意匠法」の教科書を刊行すべく執筆中であることをお知らせしたことがあります。しかし、今回の大改正により、その内容をいろいろと変更しなくてはならなくなりましたが、施行時期の見通しはまだわかりません。しかし、私が刊行しようとしている教科書は、長年の研究の上に立っているものですから、意匠法の本質から説いているものであり、他の知的財産権法との関係も念頭においているものです。

 私としては意匠法の教科書を刊行することは生涯の望みでありますところ、その前に刊行したい書物があるのです。それは、2004年6月に刊行した「商品形態と不正競争防止法」(経済産業調査会)についての改訂増補版です。週末は、富士山が正面に見える山小屋に来て頑張っています。

 

 

5.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の6件について紹介します。

 

(1)登録意匠「検査用照明器具」意匠権侵害差止等請求事件:大阪地裁平成30

   年11月6日(21民部)判決<請求認容>➡A−72 (別紙) 

(2)「美容器」特許権侵害差し止め等請求事件:東京地裁平成30年11月29日

   (民46部)判決<請求認容>➡E−26

(3)「タイプフェイス」著作権侵害損害賠償請求事件:東京地裁平成31年2月

   28日(民47部)判決<請求棄却>➡D−124 (別紙)

(4)「パンダ・イラスト」著作権侵害差止等請求事件:東京地裁平成31年3月

   13日(民29部)判決<請求認容>➡D−125

(5)登録商標「Tea Coffee」商標権侵害損害賠償請求事件:大阪地

   裁平成31年3月14日(26民部)判決<請求棄却>➡F−76

(6)出願意匠「Handle for electric toothbrush」拒絶審決取消請求事件:知

   財高裁平成31年4月1日(4部)判決<請求棄却>➡B1−65

 

 

6.このHPに掲載されている私の論文,論説には著作権が与えられていますので、無断複製を禁止いたします。引用される場合には、必ずその出所を明記して下さるようにお願いいたします。 All Rights Reserved.


 
    牛 木 内 外 特 許 事 務 所
  弁 理 士  牛   木   理   一

〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町3丁目27番地
大洋ビル4階(秋葉原駅東口5分)
(併設)有限会社 IPビジネスコンサルティング
TEL:03−3866−3503
FAX:03−3866−8319
 e-mail:upat@blue.ocn.ne.jp