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2016年6月1日



 
近 況 雑 感

産経新聞の今年4月25日(月)号の文化欄に、「日本の技術力を感じさせ、世界に打って出る『強さ』を持つデザイン」のタテ見出しと、「一つの椅子が企業を変えた」のヨコ見出しで、深沢直人さんの「HIROSHIMA」と命名されたアームチェアが写真入りで紹介されていました。この椅子の素材はオークとピーチとウォルナットの3種類であるという。4月中旬、イタリア・ミラノで開催された世界最大級の国際家具見本市の本会場では、一流ブランドしか選ばれない一等地のエリアに、今年はわが国の家具メーカとして初めてマルニ木工(広島市)が出展を果たしたと報じられています。

 同社の国際的注目度を高めたのは、同社のアートディレクターを務める深沢直人(1956年山梨県生まれ)さんが手掛け、2008年に送り出した「HIROSHIMA」という名称の椅子であります。

 

(産経新聞 平成28年4月25日 11頁)

 深沢さんは現在、日本民芸館館長を務められているとのことですが、家具のデザイナーとメーカーとの関係でいえば、柳宗理さん(1915〜2011)と天童木工、剣持勇さんと(1912〜1972)と秋田木工を挙げることができ、この関係の中で、椅子等の家具についての名作品が生まれているというのです。

 両者の関係は、椅子という製品デザインが美術工芸品(著2条2項)に属するから、美術の著作物として著作権法によって保護されるべきである、という問題とは別です。マルニ木工や天童木工や秋田木工が製作する所定の椅子は、実用品として量産されてきたものですから、意匠登録の対象となっているものであり、当所でもかつて、このうちの2社から意匠登録出願の依頼を受けて登録したことがあります。

 

椅子といえば、「幼児用椅子」で問題となった実用製品における美術性の発揮を把握し、そのような作品に美術の著作物の称号を与えて著作権として保護しようと考えたのが、かつて紹介した「TRIPP TRAPP」事件の知財高裁(2部)判決(D−94−1)でした。

 わが国の著作権法学会においては、この問題を「応用美術」(artistic work applied to the articles)の問題としてとらえているが、意匠法と著作権法とが交錯する分野の法的保護問題について、すでに著作権情報センター附属著作権研究所において、2003年3月に「報告書」を発表しており、その時の委員会の委員長は紋谷暢男先生であったのです。この委員会には、私も委員の1人として研究発表しています。

 しかし、「応用美術」という日本語だけではその真意は全く不明であり、筆者が記載した前記英語訳によって初めてその真意を理解することができるのです。

 すると、その問題は換言すれば、「商品化権」と呼ばれている問題のことなのです。即ち、他人の著作物を自分が製造する製品(物品)に利用する権利のことをいうのです。そうすれば、応用美術の真意は何人にも理解することができると思うのです。

 

今月の「裁判例研究コーナー」では、次の4件について紹介します。

 

(1)特許出願の審査請求期間経過による債務不履行に基づく損害賠償請求事

   件:東京地裁平成28年2月19日(民49部)判決<認容/中間判決>

   ➡J−10

(2)登録意匠「貝吊り下げ具」無効審決取消請求事件:平成28年4月20日

   (4部)判決<請求棄却>➡B2−19 

(3)「フルーツ青汁の商品形態の模倣」不正競争行為差止等請求事件:東京地

   裁平成28年4月28日(民46部)判決<請求棄却>➡C1−72

(4)「ポテトサラダ商品等表示」不正競争行為差止等請求事件:東京地裁平成

   28年4月28日(民46部)判決<請求棄却>➡C2−34

 

     

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