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2016年4月1日



 
近 況 雑 感

今年3月には2つの思い出深い出来事がありました。一つは満71年前の3月10日の1945年(昭和20年)の米軍B29による東京大空襲で死者10万人超の被害を受けたこと、二つは満5年前の3月11日の2011年(平成24年)の三陸沖を震源地とする東日本大震災で多数の人命と財産を失った被害を受けたこと、にする日本政府の対応についてです。

 しかし、これらの人命・財産等に対する損害を国家が賠償するという声が、日本政府から出ているという政治的な話は聞いたことはありません。なぜでしょうか。震災被害は不可抗力事だから仕方ないにせよ、空襲被害は不可抗力事ではないから、国民が蒙った損害に対して戦争責任者である日本政府がその立場上から賠償責任を負うのは当然であると思います。

 日本列島中の南端にある沖縄県においては、1944年10月には米軍機による那覇大空襲が始まり、1945年4月には米軍は沖縄本島中部の北谷や読谷海岸に上陸しましたから、沖縄島内は戦場と化したのです。

 戦場化を予想してか、日本政府は1944年7月には学童疎開を命じ、対馬丸や白川丸などは那覇港と鹿児島港を何回か往復しましたが、対馬丸は8月に出港後、米潜水艦の襲撃を受け沈没したのです。

 その結果、日本政府は、1944年3月に沖縄守備軍として第32軍を新設・配備しましたが、同司令部は首里を放棄し南部に向けて撤退しました。挙句の果て、6月23日牛島中将司令官は自決したことから、日本軍としては組織的対戦を放棄したのです。

 これでは、自国民を守護すべき義務を有する日本政府の責任放棄ですから、国民の生命・財産を喪失させたことに対する損害賠償責任は、当然負う義務を有するとすべきです。そのためには、連合国へのポツダム宣言の受諾をもっと早くすべきであったのに、それをしなかったことによる賠償責任は加算されて然るべきであります。

 

2.ところが、3月17日(水)の全国紙によると、那覇地裁は3月16日に、沖縄戦で被害を受けた住民と遺族79人に対し、「日本国憲法施行前の国の権利行使については、損害賠償は認められない」として、訴えを棄却する判決を言い渡したのです。

 原告側は控訴する方針というが、国に1人当たり1100万円の損害賠償と謝罪を求めたのであり、前記した日本国政府下の軍部が沖縄現地で執った消極的な法律行為は、たとえ異常事態下であったとはいえ、国民の生命、財産を保護することを使命とする「条理」に反する行為というべきではないでしょうか。

 したがって、控訴審においては、現行憲法施行の前後を問わず、日本国政府が過去に犯した国民に対する生命・財産等の損害に対する賠償を条理に基づいて負うべきである、との主張を肯認する判決をすべきです。

 

 

 (朝日新聞2016年3月17日(木)13版)

 

 なお、私が最近読んだ書物に「子供におくる本・沖縄は戦場だった」(らくだ出版 2007年)があります。この本を読めば、米軍は、住民の生活の場に攻撃をかけて来た事実が明らかであり、これに対し日本軍は全く応戦せず,防衛をしていないのです。 

 

3.遂に出たジェネリック医薬品に対する特許権侵害を認めた3月25日の知財高裁(大合議部)判決については、次の5月号で紹介することにします。

 後発医薬品メーカーの被控訴人(被告)3社を相手に中外製薬株式会社が提起した特許権侵害差止等請求事件で、裁判所は東京地裁の一審判決を容認し、後発薬には製品の本質的部分に先発薬との違いはないと判断されたのです。

 

 

4.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の5件について紹介します。

 

(1)育成者権侵害差止等請求事件:東京地裁平成26年11月28日(民29部)判決

   <請求棄却>➡J−9

(2)「イラスト」著作権侵害差止等請求事件:東京地裁平成28年1月21日(民

   46部)判決<請求棄却>➡D−108

(3)「発光ダイオード特許権」侵害のプレスリリース・不競法2条1項14号

   不正競争損害賠償請求控訴・同附帯控訴事件:知財高裁平成28年2月9日

   (1部)判決<控訴認容/付帯控訴棄却>➡C2−31−1 

(4)「カタログ編集著作物」著作権・著作者人格権侵害損害賠償請求事件:東

   京地裁平成28年2月16日(民46部)判決<一部認容>➡D−109

(5)特許出願「加圧加振試験機」の審査請求期間経過による債務不履行に基づ  

   く損害賠償請求事件:東京地裁平成28年2月19日(民29部)判決<認容>

   ➡E−21

 

     

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