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2016年3月1日



 
近 況 雑 感

本欄の2月1日号でも書きましたが、(1)消費者庁を徳島へ,(2)文化庁を京都へ,(3)特許庁を長野へという三者の各理由はわかりませんが、(1)と(2)とは実現可能性は大であると新聞は報じています。しかし、その理由は、(2)については京都府知事や京都市長から強い要請があったといわれていますが、(1)と(3)とについてはそのような要請の声は聞こえて来ない。(3)についてあえて憶測すれば、長野県自身の元特許庁長官の荒井寿光さんが動いているかも。現在の消費者庁長官は元文化庁著作権課長の坂東久美子さんです。

 ところで、次の文化庁長官は、現在東京芸術大学長で佐渡市出身の金工家の宮田亮平さんに決まったという。ただ文化庁という行政府が京都へ移転するのは数年後とのことですが、その中の文化部や文化財部は京都でも、著作権課を含む長官官房は東京にあるべきです。

 では、特許庁はどうなるのでしょうか。もちろん東京にあるべきです。

 実は、韓国では10年以上前に特許庁の所在地はソウル市とプサン市との中間地にあるデジョン市(大田市)に移転しています。その大田市から(社)大田弁理士協議会(朴会長)一行の弁理士らが来日され、2月16日に新宿のホテルで一部弁理士との間で弁理士交流会が開かれました。これは韓国側による一種のPR会でした。

 

2.本欄の今年1月1日号において、太宰治(本名・津島修治 1909-1948)さんのことを一寸触れましたが、彼には子供がいました。その1人の次女津島佑子(本名・津島里子)さんが2月18日に死去されました(68才)。彼女は父親が死去したときは1才でしたが、北杜夫や佐藤愛子らが参加した同人誌「文芸首都」に加わり、1972年に発表した「狐をはらむ」で芥川賞候補になって注目を集めたといわれています。その佑子さんは、父親のことを「認めていません」と言っていたことを覚えていると、作家の黒井千次さんは語っていますが、その思いは、作家としては認めても父親としては認めないという複雑な心情からでありましょう。

 もう1人、懐かしい哲学者の名前が朝日新聞2月22日(月)の「文化・文芸」欄(32頁)に掲載されていました。それはセーレン・キルケゴール(S. A. Kierkegaard)であり、「今こそ キルケゴール」と題された記事です。キルケゴールは実在哲学の祖といわれていますが、「自己の存在の不安や絶望を見つめつつ、神の前にひとりで立つ『単独者』の存在(神の前の実在)と罪を考察した」キルケゴールの著作全集(全15巻)を、福岡市の創言社が2011年8月に完結出版したのは、大谷長(故人)大阪外大名誉教授からの依頼であったという。すでに出版されていたキルケゴールの多くの著作は、独語や英語からの重訳ばかりで、誤訳や誤読も目立つことから、重訳ではデンマーク精神は伝わりにくいと、原本からの直訳刊行をしたのが前記全集であったというのです。

 その昔、私は大学2年時の一般教養科目で、斉藤信治先生の「西洋哲学」を選択しましたが、斉藤先生はキルケゴールの「死に至る病」の翻訳書の初版を1939年に岩波文庫から出版されており、昨年5月には104刷が刊行され、累計65万部になると朝日新聞は伝えています。斉藤先生は1977年(昭和52年)1月1日に酒田市の自宅で心不全のため死去(69才)されましたが、「昭52元旦」と書かれた賀状を私は今でも保存しています。この賀状には、「帰郷して大火の跡にたたずみ、悠久の鳥海の峰を仰ぎました。拙宅は無事、三女宅全焼」と記載されていました。

 なお、以前にも本欄に書きましたが、大学4年時に私は、斉藤先生が文学部大学院で行われたカントの「実践理性批判」の講義を受講し、法哲学の基礎を学んだ次第で、今でも知的財産法の研究と実務を行う時にその基礎は生きています。

 前記記事を書いた朝日新聞の小泉信一編集委員は、「人間疎外に抗し、主体の真理を唱えたキルケゴール。デジタル社会での主体のあり方を考える上でも学ぶべきことは多い。」と記載しています。同感です。

 

3.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の4件について紹介します。

 

(1)登録意匠「体組成計」意匠権侵害損害賠償請求事件:東京地裁平成27年

   2月26日(民47部)判決<請求認容>➡知財高裁平成28年1月14日(2部)

   <和解>➡A−66

(2)出願商標「エリエール i:na」拒絶審決取消請求事件:知財高裁平成

   28年1月28日(3部)判決<認容/審決取消>➡G−213

(3)登録商標「なごみ」商標権侵害・損害賠償請求事件:東京地裁平成28年

   2月9日(民46部)判決<認容>➡F−59

(4)登録商標「デュアルスキャン Dual Scan」無効審決取消請求事

   件:知財高裁平成28年2月17日(2部)判決<審決取消>➡G−214

 

     

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