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2016年10月1日



 
近 況 雑 感

本欄の9月1日号の1.で書きました杉山千佐子さんが9月18日に老衰のため死去(101才)したとの記事が全国紙に写真入りで掲載されました。彼女は、昭和20年に名古屋市でB29による空襲を受け左目を失った人ですが、戦後、民間戦傷者の救済を求める「全国戦災障害者連絡会」を立ち上げた先駆者であり、全国でその運動を展開し会長の座にありました。

 今年こそ、戦災を受けた民間の戦傷被害者を救済する立法が成立するだろうと、われわれは期待していた矢先のことであったのです。彼女の長年の犠牲と努力を無にしないためにも、新立法の制定が早期になされるべきであります。

 杉山千佐子さんをしのぶ会は、10月10日、名古屋市で行われるとの報道が全国紙に発表されていました。

           

             (産経新聞2016年9月10日29頁)

 

私は、最近たまたま郷里の新潟燕市の捧吉衛門さんが著作された「日本洋食器史」(叢文社 昭和46年)という本を読んでいましたら、捧さんが当時、神戸の川崎造船社長の松方幸次郎さんを訪ね、燕の工場が洋食器の生産後に出る切り屑を売り込んだというのです。松方さんは、燕産のステンレス鋼のスプーン,フォーク,ナイフを見て、「越後の田舎でよくこんなものができるねえ」と驚いていたということです。この松方さんのことについて私は、9月1日の本欄で触れていたのです。コルビュジェの国立西洋美術館と松方幸次郎さんと捧吉衛門さんとを結んでいる本欄は、不思議な縁があると思います。

 

3.日本音楽著作権協会(JASRAC)は、国内外の約350万曲を管理し、カラオケ,テレビ,ラジオなどに使われる音楽の著作権の使用料を著作権者の代理人として徴収し、著作権者に分配することを業務としている団体であるところ、これは競合他社の参入を排除する独禁法違反の行為であるとして、公正取引委員会からこの方式の排除措置命令が出されていました。この事件は、JASRACは、曲が流れた回数や時間を問わず、各局の放送事業全収入の1.5%の一定額を使用料として徴収する包括契約を結んでいることが違法であるということです。これに対し、JASRACは不服を申し立てていたところ、公取委は私的独占に当たらず違法とはいえないと命令取り消しの審決を出したので、この審決に対し、1曲毎に徴収する方式をとるイーライセンス(現NexTone)が、審決取消訴訟を東京高裁に請求していたのです。

 東京高裁は、2013年に、JASRACの参入妨害を認めて審決を取消し、最高裁も2015年にこの判決を支持したので、公取委はやり直しの審判を開いていましたが、JASRACは9月9日に不服の審判請求を取り下げ、新たな徴収方式として、放送局は楽曲の使用割合(回数と時間)に応じて楽曲を管理する各事業者に使用料を支払う方式に改めることにし、これを今年内にも始めるというのです。(朝日新聞2016年9月15日3頁記事参照)

 結局、JASRACは、各放送局の楽曲の使用料の算定を包括的とはせず、個別的に算定する方式をとることにし、同業他社と競争関係を平等に保持して著作権の管理と使用料の徴収業務を行うという新独禁法の立場をとることにしたのです。すると、今後は個別の使用料をいくらにするかの競争関係に入ると思います。その意味では、JASRACの決断は、音楽著作権者に今後より大きな利益を生むことになると思います。

 

4.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の5件について紹介します。

 

(1)「写真」著作権侵害差止等請求事件:大阪地裁平成28年7月19日(21民

   部)判決<請求認容>➡D−113

(2)「エジソンのお箸」商品形態不正競争行為差止等請求事件:東京地裁平成

   28年2月5日(民40部)判決<請求棄却>/知財高裁平成28年7月27日(4

   部)判決<控訴棄却>➡C1−74

(3)登録商標「クリーンマスター」不使用取消審判請求審決取消請求事件:知

   財高裁平成28年7月27日(4部)判決<請求棄却>➡G−222

(4)登録商標「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」不使用取消審判

   請求審決取消請求事件:知財高裁平成28年8月25日(3部)判決<請求認容

   /審決取消>➡G−223

(5)登録商標「LE MANS」不使用取消審判請求審決取消請求事件:知財

   高裁平成28年9月14日(4部)判決<請求棄却>➡G−224

 

     

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