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2013年12月1日



 
近 況 雑 感

 

1.2013年(平成25年)はまた師走の月となりました。時は人を待たずといいますが、時間は何人に対しても公平に与えられ、黙って流れて行きます。その時間を人はどのように消費するかは自由であっても、その中には人の死があり、与えられた生命の終わりがあります。

 

2.今年も、皆さんもよく知っている有名人の中には、先月号では94才でなくなった漫画家の「やなせたかし」さんがいますが、今月号でも何人かの有名人の死をお知らせしなければなりません。

(1) まず岩谷時子さんが97才で10月25日に亡くなられました。彼女は、宝塚時代は音楽担当者として舞台の踊り子や歌手たちを支えた教師であり、越路吹雪が引退して独立した時には、マネージャーを兼ねて一緒に上京されました。その後、ミュージカルの「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」における訳詞は、彼女が日本語の歌詞として創作していたという評判でした。加山雄三さんが歌う「夜空の星」や「君といつまでも」も、岩谷さんの作詞です。

(2) さらに、歌手といえば島倉千代子さんは11月8日に75歳で肝臓がんで亡くなりました。彼女は映画に登場した女優としても有名でしたが、「この世の花」(1955)でデビューして以来、「東京だよおっ母さん」(1957)や「からたち日記」(1958)や「人生いろいろ」(1987)などの誰れもが知っている大ヒット曲の国民的歌手の一人であったと思います。彼女は10月に一時退院した時、自分の部屋をスタジオにして11月5日に新曲「からたちの小径」を無事録音し、その3日後に帰らぬ人となりました。

(3) 私はもう1人の有名な女性歌手を紹介します。アルゼンチンタンゴの藤沢嵐子さんです。彼女は引退後は、新潟県長岡市にいる友人宅に移住していたと言われていましたが、8月22日に亡くなられました。88才でした。

(4) ちょうど今年の日本シリーズ(楽天イーグルスv.読売ジャイアンツ)戦の最中の10月下旬には川上哲治さんが、93才で死去されました。「川上哲治」といえば、その氏名はかつて商標登録された事実があり、私の旧著「商品化権」279頁(六法出版社 1980年)には、「ピカソ」や「聖徳太子」と並んで事例として紹介しています。

(5) また、ブランドやイラストなどにも広く関係する広告評論家として有名な天野祐吉さんが10月20日に亡くなられました。80才です。私は彼の批評を新聞や雑誌などで読んでいますが、エスプリの効いた文章は他人には真似できないものがありました。彼も東京大空襲の被災者でした。

(6) 11月25日には、堤清二(辻井喬)さんが86才で死去されましたが、西武百貨店はじめセゾングループの創設者であると同時に詩人・作家としても有名であり、静かな口調の講演をかつて私は聴いたことがあります。清二さんの異母弟の堤義明さん(西武鉄道等)の母親は、新潟市出身の弁護士で衆議院議員の娘でした。

(7) 新潟市出身の衆議院議員といえば、私は、10月13日に96才で亡くなられた政治家の名前をあげたい。その人は小沢辰男さんで、同じ新潟県出身で元首相の故田中角栄の側近中の側近であり、東京新潟県人会の会長を長らくされており、私もかつて東京新潟県人会の総会の席で、同県出身の遠藤実(作曲家)さんらと同席で祝賀を受けた時の会長でした。その年には、遠藤さんは紫綬褒章、私は黄綬褒章を受けていました。小沢辰男さんは厚生省出身ということもあって、厚生大臣を勤められました。

(8) 作家の山崎豊子さんは9月末頃に死去されていますが、多くの話題作を発表されています。その中には、他人の作品中の文章を無断借用し著作権侵害を起こして話題になったこともありましたので、私はその面からも注目していた人でした。

 

私は10月20日に仕事で新潟へ行った時、遠藤実の音楽記念館「実唱館」へ行ってみましたが、そのとき静岡からの団体バスが来ており、大部屋の中ではカラオケをやっていました。この場所は、越後線の巻という駅から車で15分くらいの越前浜という海岸に近く、近くには「カーブドッチ」という今や有名になったワイナリーがあり、そこでは砂地にブドウ作りから始めてワインを生産するという事業を始めた人がいます。

 遠藤実さんといえば、日本音楽著作権協会(JASRAC)の会長を長くやられた人ですが、このJASRACに関する記事が、11月1日の朝日新聞の第一面トップに出ていたのには驚きました。これは、著作権問題にからむJASRACの使用料徴収方式は、同業者の新規参入を実質的に排除することになるから、公取委(審査部)が、独禁法違反でJASRACに出した排除措置命令を無効とした審決は違法であるとして、審決取消の判決を東京高裁がしたとの記事です。

 この事件で争点は、JASRACとの契約は、TV局などが使用する楽曲についての使用料を一曲毎ではなく、一定額で使い放題にするという「包括徴収」方式では、イーライセンス社など他の著作権管理会社が行っている事業活動の継続や新規参入を著しく困難にしていると認められるから、他の事業者の事業活動を排除する効果を持つと判断したのです。そうすると、この判決は結果として、公取委(審査部)が最初に出した排除措置命令を有効とすることに戻ることになりましょう。

 この事件判決については、本号で取り上げて論評しています。

 

4.ところで、私は英国知的財産庁が発表した「CDPA1988第52条」の廃止に対するパブコメに応募しました。この法規定の廃止問題に対する詳細な情報は、早稲田大学法学部の上野達弘教授から入手していました。

 実は、CDPA1988第52条について、わが国で最初に紹介した者は私です。私は1974年(昭和49年)12月に「意匠法の研究」(初版・発明協会)を刊行しましたが、その第3篇意匠周辺法の「第1章 意匠法と著作権法の間(英国の考え方を中心に)」を論じ、歴史的動向を紹介しています。

 そこでは、(1) 1911年著作権法前,(2) 1911年著作権法後,(3) 1952年グレゴリー勧告書,(4) 1956年著作権法の制定,(5) 1962年ジョンストン勧告書,(6) 1968年デザイン著作権法の制定までの紹介ですが、その後の1994年(平成6年)3月刊行の四訂版になりますと、

 さらに、(7) 1977年フィットフォード勧告書,(8) 1981年政府諮問書(第1グリーンペーパー),(9) 1983年政府報告書(第2グリーンペーパー),(10) 1986年政府報告書(ホワイトペーパー),(11) 1988年著作権・デザイン・特許法(CDPA)を紹介し終了しています。

 したがって、英国における著作権法と意匠法(登録デザイン法)との関係の立法上の歴史を簡潔に解説しているものとしては、前記拙著以外には見当たりません。(これらの著書は、MPIの閲覧室にも置いてありました。)

 前記(11)CDPA1988の第52条の規定だけが、特に現在,repeal, abolishと言われてパブコメの対象となっているのであり、世界中,特にECから注目されているのです。皆さんの中に、もしこれについての新しい情報をお持ちでしたら、ぜひお知らせ下さい。

 私は、世界中に向けて発表された英国知的財産庁のパブコメに対して応募し、〆切の11月27日にメールで提出しました。これについては、第1.4「国際条約等」の「1.」において掲載しました。

 また、第1.3の「3.」には、平成24年12月にわが国の産業構造審議会商標制度小委員会が発表した「商標制度の在り方について」に対するパブコメに今年1月16日に提出した意見書を発表しています。この中で私は、故日隅一雄弁護士による政府の審議会や有識者会議なるものに対する批判も紹介しています。

 

 

今月の「裁判例研究コーナー」では、次の7件について紹介します。

 

(1)「イラスト」著作権侵害損害賠償請求事件:大阪地裁平成25年7月16日

   (26民部)判決<請求棄却>➡D−87

(2)商品販売等差止請求権不存在確認請求事件:東京高裁平成25年9月5日(2

   部)判決<控訴棄却>➡F−41

(3)「資料」著作権侵害差止等請求事件:東京地裁平成25年9月12日(民47

   部)判決<一部認容>➡D−88

(4)「プログラム」著作物の著作権侵害損害賠償請求事件:東京地裁平成25

   年9月24日(民47部)判決<請求棄却>➡D−89

(5)登録商標「シュ-クリーン」商標権侵害行為差止等請求事件:東京地裁平

   成25年10月18日(民40部)判決<請求棄却> F−42

(6)「JASRAC」独禁法違反審決取消等請求事件:東京高裁平成25年11

   月1日(特別合議部)判決<審決取消>➡J−7

(7)出願意匠「包装容器」拒絶審決取消請求事件:知財高裁平成2511月14

   日(4部)判決<請求棄却>➡B1−51

 

 第1論文コーナー

(1)CDPA1988第52条の廃止に反対する:2013年11月27日提出

    ➡第1.4−1 英文日文

(2)産業構造審議会 知的財産政策部会 商標制度小委員会 報告書 

   「商標制度の在り方について」(案)に対する意見書:平成25年1月16日

   提出➡第1.3−3

 

 

6.このHPに掲載されている私の論文,論説には著作権が与えられていますので、無断複製を禁止します。引用される場合には、必ずその出所を明記して下さるようにお願いいたします。 All Rights Reserved.


 
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