USHIKI INT'L PATENT OFFICE


 

 
 
2012年9月1日


 
近 況 雑 感

 

1.筆者は近年、毎日降圧剤を服用しているが、主治医から書いてもらった処方箋を持って薬局へ行くと、ゼネリック薬のことを尋ねられるから、安価でもあり、最近はそれにしている。特許権が存続期間の延長終了によってもそれ以上の延長ができないことを狙って、ライバル会社が同一成分から成る薬剤を製造し始めるが、特許権の存続期間は、医薬品に限らず、もっと延長すべきではないかと、筆者は実務を通じて日頃より思っている。それは、著作権の存続期間の長さと比較して痛感するのである。

 その中にあって、前記したゼネリックドラッグに対しては、特許権が消滅した後でも保護すべき法律があることを見つけた。それは不正競争防止法である。GDメーカーは、薬剤自体のコピーを合法的に許されると解釈することは良しとしても、そのタブレットを収容している包装容器の色彩までコピーしていることは許されるべきではないだろう。

 すると、そのような行為は、不競法2条1項2号の著名な商品等表示に該当するおそれがある。したがって、GDメーカーはその面の保護が及ぶことについて配慮すべきであるし、元特許権者メーカーは、攻撃の手段として活用できることを検討してよいであろう。

 

2.毎年夏になると、米国から日本へやって来る著名なミュージシャンがいる。彼らは、今年で来日50周年になるという。その名は、“The Ventuers”である。(“The Beatles”が初来日したのは、その2年後)このグループは、1958年にシアトルで出会った2人のギタリスト、Don WilsonとBob Bogleが始まりで、後に、ドラムのMel TaylorとギターのNokie Edwardsが加わり、黄金時代の1962年に初来日した。今日では、すでにBobとMelは死去し、Nokieは去り、ギターはGerry McgeeとBob Spoldingが入り、ドラムは息子のLeon Tayloyがやっている。「テケテケ」節で有名なリーダーのDonは1933年生まれの79才で、彼のことは読売新聞平成24年8月9日の「顔」欄でも紹介された。

 ところで、ビートルズなどと違ってインストルメンタルプレーヤーのミュージシャンにおいて重要なものは歌声ではなく楽器であり、楽器の品質次第で、彼らの腕の良し悪しが決まるといっても過言ではない。3人のギタリストがステージで使用していたギターはいずれもF社製のものであり、“The Venture”の表示を入れた広告をしているA社のものではなかった。もちろんF社製であっても、彼らは自分の希望に合わせたギターに調整をしたものを使用しているはずである。

 筆者が8月11日に入った相模原市のホールには、ミキサーの用意はなく、すべてアンプを通しての生演奏でベンチャーズサウンドは完璧なものあった。

 彼らは、今夏は7月12日から9月17日までの間、北海道から沖縄まで全国48箇所にかけて演奏旅行を続けているが、今年は特に多い数である。これによって、今年の日本列島は、ますます残暑が厳しくなることであろう。

 

3.アップル社対サムスン社の特許権侵害訴訟の裁判員評決が、最近、米国カリフォルニア州サンノゼの連邦訴訟裁判所でなされ、アップル社の特許権をサムスン社が侵害しているとの評決であった。わが国と違い、米国では刑事裁判のみならず、民事裁判でも、裁判員が評決する制度があることについては周知であるが、デザインを含む特許権事件ではある程度の専門的知識と知恵が要求され、また多量の資料や証拠を読了して判断しなければならないから、一般市民にとってその負担は極めて大きいと想像する。彼らは、それをどのように克服して妥当な結論を出しているのだろうか。

 両社の紛争は、わが国でも8月31日に東京地裁(民40)で、アップル社による請求棄却の判決言渡しがあった。したがって、詳細については、当HPでも論評をまじえて紹介したいと思うが、両社間には係属中の事件は他にも多くあると聞く。そして、この両社の特許戦争は、世界中に普及しているiPadやスマホの製造販売に影響を与えることになるだろう。

 なお、この事件番号は平成23(ワ)27941であり、アップル社の特許権は、特許第4204977号である。

 

今月の裁判例研究コーナーでは、次の8件を紹介します。

(1)発信者情報開示請求事件:東京地裁平成24年6月28日(民47部)判決

   <請求認容>➡C2−21

(2)「花柳流」等名称抹消等請求事件:東京地裁平成24年6月29日(民46

   部)判決<請求認容>➡C2−22

(3)「エーシーアダプタ」意匠権侵害差止等請求事件:東京地裁平成24年6

   月29日(民46部)判決<認容>➡A−52

(4)出願意匠「自動二輪用タイヤ」拒絶審決取消請求事件:知財高裁平成

   24年7月18日(2部)判決<請求認容/審決取消>➡B1−49

(5)出願商標「POWERWEB」拒絶審決取消請求事件:知財高裁平成

   24年7月19日(3部)判決<請求認容/審決取消>➡G−147

(6)登録商標「SA 's サンエムズ」登録無効審決取消請求事件:

   知財高裁平成24年7月26日(1部)判決<請求棄却>➡G−148

(7)登録商標「3ms(logo)」登録無効審決取消請求事件:知財高裁平

   成24年7月26日(1部)判決<請求認容/審決取消>➡G−149

(8)商標権・著作権侵害差止等請求事件:東京地裁平成24年7月31日(民46

   部)判決<一部認容>➡F−34

 

 

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