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2012年4月1日


 
近 況 雑 感

 

1.毎年4月1日といえば、わが国では新年度の始まりに当たることから、記念する日ということになるところ、これよりやや早いが3月12日には、知財高裁の第4代目の所長(第1部)に飯村敏明判事(第3部裁判長)が就任されました。これは、前所長の中野哲弘判事(第1部裁判長)が定年退職されたことに伴う人事異動です。しかし、筆者としては、同判事には法学会や研究会などいろいろな場で接していたことから、予想されていたとはいえ、待望の就任であった。同判事が、例えば第3部時代にやられた判決の中には、このHPで取り上げたくなる注目すべき事件がいろいろとありました。

 最近では、「切り餅」特許権侵害をめぐる東京地判平成22年11月30日請求棄却を覆した知財高裁平成23年9月7日の控訴認容の中間判決(特許権侵害による差止請求を認容)と、これにつづく平成24年3月22日の特許権侵害による損害賠償請求額の判決です。原告(控訴人)は、中間判決後には最初の損害賠償請求額の15億円を4倍近い59億円に昇額しましたが、この金額は、控訴審の審理終結時点までの計算によるものであるでしょうから、裁判所からは和解のすすめもありました。しかし、それには両者の差額が大きく双方の歩み寄りがなく成立しなかったことから、裁判所は判決に入り、8億円強の金額を算定したのです。この事件判決については、本欄の5月1日号で紹介したいと思います。

 

 

2.ところで、3月1日号で紹介しました新潟県長岡市を舞台にした大林宣彦監督の 映画「この空の花―長岡花火物語」の中でも実写で登場している七里アイさん(88)が3月15日に逝去されたとの記事が新潟日報に出ていました。彼女は昭和20年8月1日夜の長岡空襲時に、火だるまの1才半になる長女美智子さんを背負って近くの柿川という小川に入ったが、息絶えてしまったということです。この母子像は、長岡戦災資料館の入口に建立してあり、同館の案内用小冊子の表紙を飾っています。この七里さんは生前、2月15日に東京で行われた前記映画の試写会に病院から抜け出して出席したという。死因は胃がんであった。この映画は、まず地元の新潟県内で4月7日に封切られます。(筆者の家族も長岡で被災しました。)

 

 米軍による空襲といえば、神戸で昭和20年6月5日の空襲で母親も家も失い、まだ喋れない1歳4か月の妹を連れて戦後をさまよった思い出をもつ野坂昭如さん(82)の近況記事を、朝日新聞3月13日(夕刊)の「時の回廊」で読みました。彼が書いた「火垂るの墓」(直木賞・新潮文庫)を原作とした映画を、4年ほど前に見た時の感動を忘れることができない筆者は、その後、彼の近況を知りたいと思っていました。この寄稿記事で、彼が2003年に脳梗塞で倒れた後の様子を知ることができましたが、映画では、4才の妹が14才の兄にいろいろ喋り、兄は飢えた妹に最後まで優しい姿を見せていた。

 しかし、実際はそうではなく、わずかな米を粥にして寝ている妹に与えるが、最後には粥をすする力も妹になく餓死したというのです。映画では、浮浪児となった2人が森の洞窟の中で寝起きしていた、近くの池に飛び交う蛍の見える場所に妹の墓を作り埋葬したのです。この妹の節子さんがもし現在生きていれば68才位でしょうか。すると、奇しくも前記美智子さんも同じ年頃になるでしょう。

 この野坂さんの出身地は、当時東京都庁に勤務していた父相如さん(後に新潟県副知事になった人)の関係で、鎌倉市となっています。その父が息子のことを書いている本がありますが、その逆の本はよくあっても、これは珍しい本です。珍しいついでに、野坂さんが昭和50年4月に出版した「生誕の時を求めて」(中央公論社)の小説の装幀を池田満寿夫さんがしています。

 

 

2.さて、今月の裁判例コーナーでは、次の6件を紹介します。

(1)登録商標「Chupa Chups/チュッパ チャプス」商標権等侵害差止等請

  求事件:東京地裁平成22年8月31日(民46部)判決<棄却>➡F−31

  (別紙)

(2)「北朝鮮映画」著作権侵害差止等請求事件:最高裁平成23年12月8日

  (一小)判決<請求棄却>➡D−75

(3)登録意匠「蒸気モップ」意匠権侵害損害賠償等請求事件:東京地裁平

  成23年12月27日(民47部)判決<認容>➡A−48

(4)登録商標「KAMUI」侵害差止等請求事件:東京地裁平成24年1月

  24日(民47部)判決<棄却>➡F−32

(5)「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」特許権侵害差止請求事

  件:知財高裁平成24年1月27日(大合議部)判決<控訴棄却>➡E−8

 

 

 

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