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2010年9月1日


 
近 況 雑 感


1.私は8月1日号の本欄において、当時住んでいた新潟県長岡市が8月1日夜、米空軍B29の大編隊による集束焼夷弾の空爆を受けて焦土と化した話を書きました。その時、人命は今日わかっているだけでも1500人近く奪われています。そして、長岡市では、65年前のこの夜の大空襲を、現在まで語り続けているのであり、この活動の中心は長岡戦災資料館(長岡駅前)にあり、ここでは多くの写真や残骸が展示されているばかりでなく、「昭和20年の夏の日を忘れない‥‥長岡空襲の体験記録」を、平成16年2月から平成22年3月までに5分冊刊行しています。この「体験記録」には、当時の生地獄のような体験が被害者の口からリアルに語られています。家の周囲が畑や圃場であった場所で体験した私達家族にあっては、家屋や工場などは焼失しましたが、近くの学校のグランドに逃げて一夜を明かしたことから、生命があっただけでもハッピーだったといえるでしょう。

 

2.65年前、8月6日に広島、8月9日に長崎、そして予定の8月15日には新潟に原爆が投下されるより前の1945年7月26日に、わが国政府に対して通告された連合国軍による「ポツダム宣言」が無視されることなく、即受諾されていたならば、そして米空軍が空から撒いた伝単にも「宣言」のことが書いてあったが、8月1日の長岡大空襲も、広島,長崎への原爆投下も、そして激しくなった全国の多くの地方都市への空爆もなかったことになり、日本の歴史を大きく変えることになったと思います。その意味で、B29による多くの地方都市への無差別空爆を許した日本国政府の責任は重大であり、国は生命,財産を失った国民に対して謝罪はもちろん、法的責任を全面的に負うべきなのであります。

 その一例が、昭和20年3月10日に空爆された東京大空襲に対する訴訟事件です。この事件の判決は2009年12月14日に、東京地裁(民44部)で言渡されましたが、当日これについての原告弁護団報告は虎ノ門で行われました。そして、8月14日(土)には東京浅草で、全国から約300名が参加して、「全国空襲被害者連絡協議会(全国空襲連)」の結成大会が開催され、筆者もその参加者の1人でした。

 前記弁護団長の中山武敏弁護士からは、前記東京地裁判決の内容について報告されました。この会には、民主党の衆議院議員首藤信彦氏も出席され、わが国政府への法的責任と補償請求の正当性をサポートする旨の発言をされました。

 この会には、空襲で失った左目に大きな眼帯をした杉山千佐子さん(94才)も登場し体験を話し、救済の必要をアピールされたことが感動的で、その姿の写真は翌朝の新聞にも出ていました。

 また、当日は、激励と呼びかけ人として、作家の早乙女勝元(東京大空襲や日本の空襲についての著書あり)、戦後補償ネットワーク代表の有光健の両氏が登場しました。

 また、空襲被害者としては、全国戦災傷害者連絡会の前記杉山会長のほか、佐世保空襲被害者、沖縄・那覇大空襲被害者の会、日本被爆団協の各代表者から「決意と連帯の言葉」があり、最後に「アピール」が発表されました。

 今回の結成大会は、「差別なき戦後補償を求めて立法化運動をすすめる会」となっていることから、戦後65年を機に、全国の空襲被害者が蒙った被害の責任の所在を明らかにするとともに国に補償を求める訴訟に発展することになるでしょう。

 そもそも当時の天皇を中心とするわが国政府が、連合軍が発表していた「ポツダム宣言」をなぜ無視したのか。なぜ8月15日正午まで玉音放送が延期されなければならなかったのか。その日までにわが国は都市の大小を問わず空襲を受け、国民の生命,財産がことごとく焼き払われたことに対する責任を、わが国政府はきちんととるべきなのです。そのきっかけとなった東京地裁判決は現在、東京高裁に係属中であり、また大阪地裁でも裁判は係属しています。

 われわれは、これらの裁判の推移と立法化の動きに、今後注目していきましょう。また、関心のある方は個人としてこの会に参加することができます。  

 

3.「第1論文コーナー」に、「現行著作権法改正時の宿題」と題したエッセーを掲載しますが、これは、社団法人著作権情報センター(CRIC)発行の2010年9月号の巻頭に掲載されたものです。この問題は、日頃私が考えていたことをこの機会に述べたもので、次の著作権法の大改正時に採り上げることになれば幸甚です。→第1−30(関係論文は第1−25

 

4.今月の裁判例コーナーでは、次の4件を紹介します。
(1)「バケット先端装着具」意匠権侵害差止等請求事件:東京地裁平成
   20年2月19日判決<棄却>→A−43

(2)登録商標「Bio バイオ」不使用取消請求・審決取消請求事件:
   知財高裁平成22年6月28日判決<棄却>→G−105

(3)「シルバーヴィラ」商標権侵害差止等請求事件:東京地裁平成22年
   7月16日判決<認容>→F−25
(4)新規性喪失例外規定適用不可・異議申立棄却決定取消請求事件:
   東京地裁平成22年8月6日判決<棄却>→A−44   

 

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