USHIKI INT'L PATENT OFFICE


 

 
 
2010年12月1日


 
近 況 雑 感


1.インターネット・システムの開発者は英国のブラウン博士、カラオケ・システムの開発者はわが国の井上大祐氏であることは、世界でも有名な話題となっているけれども、いずれもこれらのシステムについての特許権は取得していないことでも有名人です。この2人に共通していることは、いずれも特定の企業や団体に所属しておらず、個人で開発に熱中されていたところにあります。

 弁理士という職業人の目から見ると、せっかく莫大な商業的利益を挙げるチャンスがあったのに、その手段としての発明の特許出願化をしなかったことへの人間性の偉大さに頭が下がる思いです。

 同じ人間性は、わが国の今年の2人のノーベル化学賞受賞者の先生方にも共通しているところであり、発明には関心高くても、特許を取るということにはあまり関心がなかったようです。

 しかし、そのいずれを選択するのが人間としての正しい道といえるのかは、私にはわかりませんが、特許制度というものがこの人の世に存在する以上は、自分の発明した新しい技術やシステムは開放せず、まず特許出願をして発明者であることを明確にしておき、特許化への道を選ぶべきではないかと思います。

 

2.今年も師走がやって来ましたが、注目の映画「宇宙戦艦ヤマト」の実写版が本日から封切りされています。しかし、この映画に、マンガの原作者である松本零士氏の名前が出ているかどうか不明です。この実写版はアニメ版と同様、マンガの原作品から見れば翻案であり、二次的著作物というものですから、著作権法27条,28条による制限を受けることになり、原作者の許諾なしには製作できないはずです。しかし、封切り前に製作者の西崎義展氏は1人でこの地球の海に沈んでしまい、救助する者はいなかったようです。

 

3.このHPの裁判例コーナーのG−74において、登録商標「Sure」に対する不使用取消審決の取消請求事件を紹介しましたが、知財高裁による審決取り消しの判決により特許庁審判部に差し戻しされた結果、本件商標は最終的に登録の取り消し審決を受けましたので、その審決理由をG−74の最後部分に追加しました。

 なお、情報によると、本件商標の商標権者は不使用による取り消しを免れるために、特許庁審判部に虚偽の書類を提出し、使用しているように装ったとして、警視庁生活経済課及び蔵前署が、11月6日に、商標法79条の詐欺罪容疑で関係者を逮捕したということです。逮捕の容疑は、2006年7月から2007年11月にかけ、約40年前に商標登録した「SURE」などの商標を、スピーカーに使用していることを示す虚偽の納品書などを特許庁に提出し、米国の音響機器メーカーによる不使用取消請求を認めない審決を受けた疑いであるということです。(時事通信社ドッドコム2010年11月16日)

 

4.今月の裁判例コーナーは、次の4件を紹介します。このうちC2−18の「図形標章の不競法違反控訴事件」は、すでに紹介した東京地裁判決C2−15の控訴審判決です。
(1)鑑定証書用複製絵画の著作権侵害事件:東京地裁平成22年5月19日
   判決<一部認容>/知財高裁平成22年10月13日判決<控訴認容/
   控訴人敗訴部分取消>→D−67

(2)ペ・ヨンジュン写真事件:東京地裁平成22年10月21日判決<一部認
   容>→H−13

(3)出願商標「喜多方ラーメン」拒絶審決取消請求事件:知財高裁平成
   22年11月15日判決<請求棄却>G−112

(4)図形標章の不競法違反控訴事件:知財高裁平成22年11月29日判決
   
<控訴棄却>→C2−18

 

 

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