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2009年10月1日


 
近 況 雑 感

1.筆者は、最近、遠藤実さんの自伝「涙の川を渉るとき」(日本経済新聞出版社)を読んだり、赤塚不二夫さんの作品展を銀座松屋DPで見たりして、同郷のこともあり、ペンをとりたくなった。遠藤実と赤塚不二夫といえば、新潟県,それも旧新潟市の近郊出身者ということで誇れる県人であるところ、2人とも2008年(平成20年)に、遠藤さんは12月6日(77才)に、赤塚さんは8月2日(72才)にこの世を去っている。

 2人の共通点は、遠藤さんは1932年7月の東京生まれたが、米軍空襲の東京から昭和18年に父の実家のある新潟市(曽根)に疎開したこと、赤塚さんは1935年9月の満州生まれで、戦後母親の実家のある奈良県へ引き揚げたが、昭和25年にはシベリア帰りの父の実家のある新潟市(赤塚)に引越したこと、曽根町と赤塚町とは隣り町であったが、遠藤さんは昭和24年7月にはすでに上京していた。

 遠藤さんは歌謡曲の作詞・作曲家として有名になり、赤塚さんはマンガ家として有名になり、死後もCDや本は売れている。いずれも著作権の使用料は彼らの遺族に入ってくる。

 著作権の保護期間は、個人の死去から50年間である(著51条2項)が、現在、松本零士さんたちは米国並みの70年以上に延長する運動をしている。この保護期間の延長のことは、フェアユース問題とともに、現行著作権法改正の大きなテーマである。 

 

2.グーグルGoogleによる出版書の無断複製がからむ著作権問題は、2004年にGoogle Print(後にGoogle Book Searchと改称)がサービスを始めると発表し、米国と英国の幾つかの図書館と契約を結び、絶版の書物をデジタル化し誰でも書名を検索して読むことができるようにした。書物は1冊丸ごとでも数ページのみという「下見」の形でも、アクセスできることになった。10年間で1500万冊をデジタル化するというGoogleの目標は、データベースに700万冊が入れられた2008年10月までには十分達成が見込まれた。

 しかし、当然のことながら、Googleの計画に否定的に反応した著者もおり、2005年にはこの大検索エンジン社に対し the Association of American Publishers と the Authors Guildから2つの訴訟事件が起された。

 この2訴訟の申し立ての範囲は類似していて、Googleは、原告の著作を商業的利益のためにデジタル方式で複製し、その作品のコピーを公に配布し展示したことに反対するものである。

 これに対し、Googleは、同社の行為は公正使用の原則(the fair use doctrine)に該当すると反論した。

 関連する法的問題の重大さから、この訴訟は、学者,弁護士,出版社そしてデジタル著作権問題に関わる人々の大きな関心を集めた。しかし、2008年10月には関係者間で合意に達し和解案が成立したと発表し、法廷の場での決着は一応打ち切られた。そして、2009年9月末が、和解案に参否の期限となっている。

 わが国でもこの問題は、筆者が所属している日本マンガ学会でも話題となっており、著作権をめぐる問題は米国だけでなく、全世界の問題となってくるから、これからも注目し、このコーナーにおいて今後の動向を詳細に取り上げることにしたい。

 

3.今月の裁判例コーナーでは、次の1件の判決事件を紹介しますが、これとは別に、2008年8月1日号で紹介しました東京地判平成20年6月27日における行政事件「出願時の優先権の主張の欠如と補正却下処分」(B1−35)に対する控訴審の判決言渡が、平成21年3月26日にあったことがわかったので、これを加えて紹介する。
(1)「輪ゴム」意匠出願・審決取消請求事件:知財高裁平成21年7月21
   
判決<認容・審決取消>→B1−40

(2)却下処分取消請求控訴事件:知財高裁平成21年3月26判決<棄却>
   
B1−35−1

 

4.小野昌延先生の喜寿記念として『知的財産法最高裁判例評釈大系』(全三巻)が今年9月に出版され、筆者も意匠法の部で、「意匠の不完全利用」について扱った「豆乳仕上機事件」を担当した。そこで、これを本HPの第2−J−4で紹介することにした。ただ、ここに紹介した判決内容は基本的には名古屋地裁のものであり、拙著「意匠権侵害−理論と実際」674頁(経済産業調査会2003)においても取扱っている。

 

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