USHIKI INT'L PATENT OFFICE


 


 
2008年8月1日


 
近 況 雑 感

1.われわれ弁理士という知的財産権の誕生と保護の本流を職業としている者は、実務のかたわら、常に問題意識を持っていると、実務から飛び出してきた未知の問題を解決するために、自分の頭脳で考える努力をしようとするものです。知的財産法の分野は、近年では若い学者が法学会で発表したり、論文などを書いたりしているものの、今から20年以上前までは、自論を展開するために先輩方の著書や論文を探しても、何にも出て来ないことから、外国の文献にアプローチすることになり、そこにも裁判例や学説のないときは、自由に自説をアピールすることができた経験を私はしています。
 
「独占的通常実施権」という用語を最初に使ったのは私であることは、以前にも書いたことがありますが、昭和39年頃の「パテント」誌に出ているはずです。特許権者も実施したいから、専用実施権の設定はできないが、1社だけの独占的な通常実施権なら許諾してもよいとすることは、当事者を規制するという利益はあるから、「範囲」にその旨を記載し、第三者対抗要件である登録をすることは可能であり、適法であるということです。私は、当時の小浜登録課長にも交渉したものです。しかし、学者のような第一線の現場の仕事をしていない者には、理解できないところがあるようです。
 
私が言いたいことは、若い多くの弁理士には仕事の中から飛び出してくるいろいろな難問題を取り上げ、それをテーマとした論文を書いてほしいということです。年に1本位はかけるはずです。現在は、それを発表する場は沢山あるから、それらを積極的に利用することです。そのためには、先輩方の著書や論文を全部読み取ることです。


2.ところで、大学の先生や弁護士が、われわれ弁理士を相手にする講演やパネルデスカッションについて言いたいことがあります。
 
例えば、特許法29条2項に規定する特許要件としての「進歩性」についての発言です。そのようなテーマに対して自分の考え方を発言するのは構まわないけれども、その前に問いたい疑問があります。
 
「あなたは特許や実用新案の明細書やクレームを書いたことがありますか?」と。
 
けだし、そういう実務経験のない人には、発明や考案の「進歩性」の意味がよく理解できないからです。それがわかるのは明細書やクレームを書き、審査官からのアクションに対し彼らと面接して議論し、意見書や手続補正書を書いている実務者である弁理士だけなのです。
 
したがって、そういう実務者の立場を知らない人たちによる発言は、われわれの弁理士の胸を打つことはないのであり、時間のムダになるのです。裁判例の紹介や批判などは、弁理士ならば誰れでもできることなのです。
 
また、「弁護士・弁理士」という肩書の講師は、弁理士登録をしているというだけのことであり、果してわれわれ弁理士を指導する資格があるのかと問い質したいのです。


3.今月の裁判例コーナーでは、次の2件を紹介します。
(1)発光ダイオード付き商品陳列台事件:知財高裁平成20年1月31日判決
   
<棄却>→B2−10
(2)出願時の優先権主張の欠如と補正却下処分事件:東京地裁平成20
   
6月27日判決<請求棄却>→B1−35



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牛 木 内 外 特 許 事 務 所
  弁 理 士  牛 木 理 一
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