USHIKI INT'L PATENT OFFICE


 


 
2008年7月1日


 
近 況 雑 感

1.毎年5月,6月は、わが国では各種の学会や大会などが開催される季節です。例えば、当所のカレンダーを見ると、小生が出席した学会としては、著作権法学会が5月24日に旧一橋講堂で、日本工業所有権法学会が6月7日に国士舘大学で、日本マンガ学会が6月21日・22日に松山大学(松山市)で、日本アニメーション学会が6月27日・28日に関西学院大学(西宮市)で、それぞれ研究発表会とともに総会が開かれています。
 
また、大会としては日本漫画家協会が6月13日に東京赤坂で、その前日の6月12日には朝日新聞主催の手塚治虫文化賞の発表会が東京丸の内で行われています。漫画家協会の会では、松本零士氏からわが国の著作権の存続期間の延長の必要性を立ち話ではありますが聴いたものです。
 
これらの会は、いずれも学問研究的拡がりや社会文化的拡がりをもった会ですから、その交流は楽しいものです。


2.ところで、裁判所が犯している誤りを今月も繰返して指摘しておきたいのです。
 
意匠の類否判断は「需要者の混同」を基準としていると解されていますが、一体、意匠法3条1項柱書のどこに「需要者」が登場しているのでしょうか。そこに登場している人物は、「工業上利用することができる意匠の創作をした者」ですから、正に3条2項にいう「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者(当業者)」と同列の者にほかならないのです。
 
法解釈の母港である第1条の規定を対比して見れば、一目瞭然なことです。意匠法は特許法・実用新案法のそれと同様に、「もって産業の発達に寄与することを目的とする」のに対し、商標法だけは「あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」と規定していることの違いを、裁判所はよく承知しておくべきであります。
 
かくすれば、「需要者=混同」と「当業者=創作」のどちらの考え方が正しいかは、自明であるといえるでしょう。
 
なお、もしこの考え方に異論のある読者がおられるならば、いつでもお知らせ下さい。議論しましょう。


3.今月の裁判例コーナーでは、次の4件を紹介します。
(1)パチンコゲーム機等による映画の著作物利用事件:東京地裁
   平成18年12月27日判決<棄却>→D−60
(2)包装用袋の意匠登録出願の分割手続をめぐる審決取消請求事件:
   
知財高裁平成20年4月14日判決<棄却>→B1−34
(3)コーラ飲料容器の立体商標登録出願事件:知財高裁平成20
   
5月29日判決<認容→審決取消>→G−67
(4)ギター弦ブリッジの立体商標登録出願事件:知財高裁平成20
   
6月24日判決<棄却>G−68


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