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2008年5月1日


 
近 況 雑 感

1.今年も5月3日の「憲法記念日」がやって来ました。昨年の同日の「近況雑感」を開いて見ると、やはり同じ文句で初めていました。
 
今年の憲法記念日の話題はといえば、名古屋高裁が4月17日に出した「航空自衛隊のイラクへの派遣活動」に対する憲法9条違反の判断です。久し振りに裁判所が憲法9条問題を真向うからとらえて判断を示したことに、私は、かつて「長沼ナイキ基地訴訟」で自衛隊の違憲判決(1973年)を出した札幌地裁の福島重雄判事のことを思い出していました。
 
ところが、奇しくも、朝日新聞2008年5月1日(木)の「私の視点」に、福島判事が意見を発表していたことに出会ったのです。同判事は、その後、最高裁人事では冷遇を受けていたようで、1989年には定年まで6年を残して退官され、現在、富山市で弁護士をされているという。
 
前記名古屋高裁の違憲判断については、福田首相は「傍論」と言ったり、主文に影響しない「蛇足」だと発言する者もいましたが、この高裁判決の場合は、「原告が主張するような憲法違反があるかどうかという事実認定をまず確定したうえで、その事実に基づいて原告に訴えるだけの権利、利益があるのかどうかを判断した手法は、裁判のあり方としては常道であり、なんら問題はない。」と福島元判事は言われています。
 
国民間に憲法の改正論議を高めるためには、それを議論するための裁判所のいろいろな判断が国民の前に示されることが肝要なのです。現在、最高裁が考えている国防など高度に政治性のある国家行為に、司法は判断権を有しないという「統括行為論」は、最高裁自から憲法81条の規定に違反し、司法の立場を放棄していると批判されても仕方ありません。したがって、このような国家からは憲法改正論議は育たないと思います。

2.「傍論」とか「蛇足」とか言いますが、私がすでにこのHPで取り上げた「かえでの木事件」(H−7)、「包装用容器事件」(B1−30),(B1−31)、「シュープ事件」(G−63)、「AJ事件」(G−65)などの裁判所の判断も、「付言」や「念のため」として裁判所が、特に敗訴した当事者に向って積極的に司法の考え方を示しているのであって、けっして蛇足のような性質のものではありません。
 
その意味では、たとえ傍論といわれるものではあっても、今後の民事訴訟や行政訴訟の進歩のために、裁判所から積極的なアドバイスとしての「付言」を期待したいのです。それによって、われわれ実務家はそれを教材として、依頼者が結果として正しい判断を受けられる努力をしたいと思うのです。

3.今月の裁判例は、次の1件です。
(1)商標「AJ」商標法3条1項事件:知財高裁平成20年3月27日判決
   
<認容→審決取消>→G−65

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