USHIKI INT'L PATENT OFFICE


 


 
2008年4月1日


 
近 況 雑 感

1.知的財産権に関するシンポジュウムや外部団体の委員会などに出席したときに、いつも嫌な思いをすることがある。それは、弁理士と並んで出席している弁護士の中に「弁護士・弁理士」の2つの肩書が付いていることである。弁理士登録をしているから問題ないはずという弁護士に対し、「あなたは弁理士の仕事をしていますか。」と尋ねたことはないが、異句同音に「していません。」と答える者が大多数だろう。ではなぜと聞きたいが、おそらく弁理士会が入手するいろいろな「内部情報」の入手と答える人が多いだろう。
 
この件についてかつて、関西のO弁護士に尋ねたことがあったが、同先生は「自分は弁理士登録をしません。」と答えられ、弁理士の仕事をどうしてもやるというのであれば、弁理士法7条2号を引用すればよいと答えられていた。この先生は、不正競争防止法や商標法に関する著書や論文のある大家である。

2.全弁理士に対してこの4月1日から、「義務研修」なるものが始まった。その詳細はおくとして、この義務研修の対象には弁理士登録をしている弁護士も例外ではない。したがって、弁理士業務の経験の全くない弁護士こそ、まず義務研修の履行を必要とする者である。
 
この義務研修なるものは、改正弁理士法25条に規定されたことに基くものであるが、立法時には十分な審議や弁理士会会員の声など聴取することなしに、いつの間にか出来た制度のようである。このような制度が出来たのは、政府による最近の弁理士試験合格者数の増員政策と無関係ではなく、しかも実務経験のない選択科目免除の高学歴の平均年齢35才以上という傾向と関係がある。このような最近の動向のとばっちりを受けているのが、われわれベテランの弁理士であり、ミソもクソも一緒にするのが公平だというような制度がこんどの義務研修である。しかも、5年間、繰り返し行うというのである。
 
このような研修制度を有する国は、他にあると聞いたことがない。

3.今月の裁判例コーナーでは、次の4件の裁判例を紹介する。(2)は「念のため」判決であり、前回までの「付言」判決と同じ部によるものであるが、拒絶査定不服の審判制度の「続審性」を、特許庁審判部はよく承知して審理すべきであることを重ねて批判している。この批判は、特許庁審判官のレベルの低さを指摘していると同時に審理の違法性を指摘しているのであるから、その意味で特許庁では早く再教育が行われるべきであろう。これは、出訴されなかった多くの査定不服審判請求事件の埋もれた審決の不当性を、こんご是正していくためにも意味がある。
(1)カーディガン等の商品形態模倣事件:東京地判平成19年7月17日
   
判決<一部認容>→C1−38
(2)登録商標「Shoop」無効審決取消請求事件:知財高判平成19
   
11月28日判決<認容→取消>→G−63
(3)NUK対LUKの商標類否事件:知財高判平成20年2月21日
   
判決<棄却>→G−64
(4)社会保険庁LANシステム電子掲示板事件:東京地判平成20
   
2月26日判決認容>→D−59

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