USHIKI INT'L PATENT OFFICE


 


 
2008年1月1日


 
近 況 雑 感

新年おめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

1.さて、2008年は各種の知的財産権をめぐり、実務界においても産業界においてもそして司法界においても、あっと驚くような大きな花が開くことが望まれます。そして、その花をわが国から世界に発信したいものです。
 
私は、昨年12月18日に判決された旧著作権法時(2003年12月31日まで施行)の映画作品の著作権の存続期間の終期をめぐる文化庁(行政府)対裁判所(司法府)との解釈の対立に決着をみた最高裁の判断法が、意匠法の規定にも何らかの影響を与えはしないだろうかと思っているのです。
 
「登録意匠の範囲」の見出しの条文の中で規定された意匠法24条2項は、2007年4月1日から施行されていますが、意匠法の保護対象と意匠法の存在意義を無視したこのような規定を、われわれは悪法といわずして何んと呼べばよいのでしょうか。意匠法の本質は創作の保護にあることを忘れたこの規定は、国民から批判されても批判され尽くされることはありません。そして、この規定はいつかは司法の判断を受けなければならない運命にあると私は予言したいのです。
 
私は、この新規定を批判した次の論文を、「知財ぷりずむ」(経済産業調査会)の2007年11月号に発表しました。
 
「最高裁判決は絶対なのか−意匠法3条1項・2項の解釈と適用−」
 
そこで、これを今月号のHPに掲載することにしましたので、ごらん下さい。(第1,1−12
 この論文は、すでに「パテント」の2006年10月号に発表した論文
「改正法24条2項への疑問第1,1−9)の続編に相当するものですが、この論文を脱稿する直前に、前記映画作品の著作権の存続期間の解釈をめぐり、東京地裁の平成18年9月11日仮処分決定が出たのです(D−51)。副題に「DVD著作権裁判の教訓」と付記したのはそのためです。この事件には、本訴の東京地裁平成18年10月6日判決(D−52)もあります。
 
一方、新設された意匠法24条2項は、登録意匠と類似するか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起させる美感に基づいて行うと規定したことは、立法者(行政府)が意匠法1条(法の目的)や3条1項・2項(登録要件)の規定の意味をよく理解せず、誤まって解釈していることに原因があると言えるのです。
 
私は、この問題を前記2つの論文で追及したのですが、前記新規定の唯一の根拠となったものは、平成10年改正意匠法施行前の最高裁昭和49年3月19日判決だったのです。この規定は、審議会の答弁にもパブリックコメントを求めた改正要綱にも登場しておらず、国会提出の法律案のまとめの最後になって、特許庁審議室が無理に押し込んだものなのです。
 
読者の皆様におかれましては、この新規定の問題点を、前記拙論を読まれた上で、改めて深く考えていただきたいと思います。


2.今月の裁判例コーナーでは、次の4件です。
(1)外国周知商標「Dona Benta」登録無効事件:知財高裁
   
平成19年5月22日判(認容)→G−61
2)焼き鯖寿司登録無効事件:知財高裁平成19年9月13日判(棄却)
  
G−62
3)イラスト原画の使用許諾範囲逸脱事件:東京地裁平成19年11月16日
   判(認容)→D−57
4)映画の映像素材・DVD製造販売差止等事件:最高裁平成1912月
   18日判(棄却)
D−52−1


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