USHIKI INT'L PATENT OFFICE


 


 
2007年10月1日


 
近 況 雑 感

1.9月号では、通常の司法試験合格者が1年半の司法研修所の修習後に行われる修了試験に、71人の司法修習生が不合格となったニュースを紹介しましたが、こんどは新司法試験制度による合格者が9月14日に発表され、法科大学院(ロースクール)修了者による合格者の中で、法学部出身者でない非法学系出身の合格率は32%だったというニュースが報じられています。非法学系の出身者は、理工系出身者が多かろうと思ます。
 そこで、わが国の弁理士の一人として考えることは、
現在の弁理士試験制度も新司法試験制度も、理念の見えない中途半端なもののように見えるということです。
 わが国の新司法制度の理念
の一つに、理工系出身の法曹人や裁判官の誕生にあり、彼らが3年間のロースクール生活を過すことによって法律学の基礎やリーガルマインドを確実に身につけることを期待しているのであれば、米国の制度に倣って、そのような者にこそ期待できる知的財産権訴訟専門の「特許弁護士」や「特許裁判官」の誕生のための司法試験制度を創設すべきであると思います。
 「特許弁護士」の制度を設けるならば、最近弁理士法に導入されたわが国特有の「付記訴訟代理人」という中途半端な資格制度は不要なものとなります。
 訴訟代理人といえば、弁理士は知財高裁への審決取消訴訟では単独で訴訟代理人となり得る資格を有するのに、権利侵害訴訟では常に弁護士との共同代理でなければならないということは、前記司法試験とのバランスを考えれば当然のことで
しょう。けだし、弁理士は法律オンリーの司法試験という難関を突破している者ではないからです。
 しかし、弁護士との共同代理という条件であれば、民事訴訟法上弁理士に従来から与えられている補佐人制度と実質的に変わりはありません。

 その意味で、新司法試験制度と付記訴訟代理人制度とは、今や「特許弁護士」制度を明確な目標において、総合的な見直し検討が必要となっていると思ます。

2.今年の弁理士試験の論文合格者の発表が9月20日にあったが、全員で589名(昨年655名)(22.3%)で、このうち理工系508名(86.2%)、法文系73名(12.4%)で、その平均年齢は35.4才(昨年33.5才)という。また、学生はたった18名(3.1%)であるということです。
 驚くべきは平均年令の高さと学生合格数の低さであり、最近の傾向は、今から40年以上前とは全く様変わりした現象が続いています。
 ちなみに、新司法試験制度による今年の合格者数は1851名で、その平均年令は29.2才です。
 すると、これら新人弁理士たちの将来について、現在の弁理士試験制度は、どのような理念と見通しを予見して発足したのか全くわかりません。本来、自由業である弁理士を職業とする彼らの多くは、その仕事を始めた時、これは不自由な職業であることにはじめて気が付くことになるかも知れませんし、独立して事務所を開業するのではなく、サラリーマン弁理士で過した方が楽だと思うようになることでしょう。


3.今月の裁判例コーナーでは、次の3つの著作権の判決事件を取り上げます。
1チャップリン監督映画の著作権侵害事件:東京地判平成198
     29日→D−54
2)黒沢明監督映画の著作権侵害事件:東京地判平成19914
     →
D−55
3)漫画インターネット配信事件:東京地判平成19913日
     →
D−56
 
(4) 登録商標「東京メトロ」不使用取消審決事件:知財高判平成19年9月
     27日
G−57

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