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2007年7月1日


 
近 況 雑 感

5月,6月は各地でいろいろな学会の年次大会や研究発表会が開かれることは6月号でお知らせしました。この中で6月23日・24日に大阪芸術大学(大阪府南河内郡河南町東山)で開かれた日本アニメーション学会の初日に行われた、大会名誉実行委員長で同大学キャラクター造形学科長の小池一夫さんの1時間に及ぶ基調講演「これからのコンテンツビジネスについて」は印象的でした。講演の中で小池さんは、アニメやマンガやゲームの日本からの国際的発信にからむ著作権をはじめとする知的財産権の重要性を強調されていたほか、著作権侵害罪(著119条等)は親告罪(著1231項)から非親告罪になることが政府で現在検討されているなどと発言されていました。
  小池一夫さんといえば「子連れ狼」などの原作者として著名な作家ですが、この小池劇作村塾からは、高橋留美子や原哲夫などの有名漫画家が育っています。この小池さんは昭和34年中央大学法学部卒業という学歴であり、弁護士を狙っていたという人です。
  また、この学会の注目すべき特別講演としては、松本夏樹さんによる「明治期に制作されたアニメーションフィルムの発見について」の発表と映写がありました。これは京都の個人の古い土蔵からの処分品の中にあったという骨董品ですが、手まわしの映写機で8mmフィルムがスクリーンに映写されました。もちろんサイレントです。これは、わが国の定説をくつがえす歴史的な発見のようです。
 シンポジウムでは、「関西発の産学官のアニメ関係者によるアニメ展望」について議論され、東京発とは違う情熱を感じましたが、クリエーターの中には東京へ向う人も多いということでした。

日本マンガ学会は6月16日・17日に京都精華大学と京都国際マンガミュージアムで開かれましたし、16日には日本工業所有権法学会が同志社大学で開かれました。しかし、16日の懇親会は、私はマンガ学会の方を選びました。マンガ家はいませんが、法律などとは無縁な立場の人々と話をすることは、突っ込み次第ではいろいろと面白い話に展開していくのです。互いに広い意味での文理シナジー効果があります。
 シンポジウムでは、「世界における日本マンガ事情」が、日本語のできる外国人も含めて、アメリカ,ヨーロッパ,東アジアにおける現況について発表されました。これによって、世界各地における日本マンガの浸透ぶりがわかりましたが、翻訳料の安さから翻訳のまずさが大きなネックになっているということでした。日本文化の世界への発進のためには、日本語の外国語への上手な翻訳が必須であり、そのためには翻訳料をけちってはならないのです。

今月号では、次の2種類のものを紹介します。
3.1
 論文コーナーでは、6月22日夜、KTK(関西特許研究会)の意匠商標部会に呼ばれて、「商品化権をめぐる著作権法と意匠法との交錯−英国法の歴史からわが国を見る−」と題した講義をしたときのテキストを掲載します。この機会は、私の知己の立岡浩花園大学准教授が、前記部会代表の垣木晴彦弁理士と友人という関係で与えられましたので、感謝しています。
 今回の講義内容は、私がかつて小野昌延先生の古稀記念論文集「知的財産法の系譜」(青村書院2002)に寄稿した論文を詰めたものですが、今や知る人も少なくなった昭和45年著作権法の改正時に与えた英国著作権法10条(1956年)の影響について、関西の弁理士の方々に知ってもらうことができました。→
第1−25
3.2
 今月の裁判例コーナーでは、次の2件について紹介します。
(1)「ゲーム機意匠事件」:知財高裁平18(行ケ)10367
       平成19年1月30日(4部)判決〈棄却〉
B1−27   ・意匠法3条2項の適用の可否が問題

(2)「POUT(パウト)商標事件」:知財高裁平18(行ケ)
 10543 平成19年6月27日(4部)判決〈認容〉
 →
−54
・欧文字標章の称呼が問題

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