2007年5月1日


 
近 況 雑 感

今年も5月3日の憲法記念日がやって来ました。日本国憲法が昭和22年(1947)5月3日に施行されて以来、今年ちょうど60年の還暦に当たることから、特別な行事が行われるかと思いきや、逆にこの憲法を改正する動きが自民党を中心にして国会内で盛んな今日この頃です。しかし、国民の関心は低いようです。
 新憲法が施行された頃、私は新制中学1年生でしたが、社会科の時間では「新しい憲法のはなし」という副読本で勉強して以来、大学では佐藤功、佐藤達夫といった、金森徳次郎直下で新憲法の草案作りに関与された先生方の熱烈な講義を受けて、すっかり憲法が好きになりました。
 このことから言いたいことは、何よりも大切なことは、教育とは現場をよく知っている者が行うものだということであり、それを教えられた者が次の時代に引き継いで教育していくということです。この実感は、大学院で教えていて学生の対応を見るとよくわかります。
 ところで、日本国憲法の中にはいくつかの中心柱がありますが、最大の柱は第2章第9条の戦争放棄の規定です。これこそ世界の鏡となり得る規定ですから、われわれ国民も政府も誇りをもって世界に向って戦争の放棄と恒久平和のメッセージが送れる立場にあるのです。今やその思いを新たに持つべき時です。
 また、主権在民,国民の基本的人権等を規定した第3章の中に忘れられているのが第15条の公務員の地位に関する規定です。その第2項には、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」と規定します。ここに公務員とは、国会議員はもちろん、国家公務員といわれる者も含まれ、この規定から彼らは「パブリック・サーバント(公僕)」と呼ばれているのですが、今日これを心得ている公務員は何人いるでしょうか。だから、彼らに対して国民は黙っているべきではありません。

.知的財産権の保護についての規定を、現行の第29条とは別におくべきだとの憲法改正論議が日本弁理士会から上がっていますが、同第2項には、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」と規定する財産権の中には、知的財産権も当然含まれると解せますから、今日、知的財産基本法(平成14)が制定されていることを考えると、無用な主張といえます。
 われわれは今や、憲法記念日に際し、知的財産法の憲法というべき知的財産基本法をよく読んでみるのがよいと思います。



.今月の裁判例は、次の2件です。
(1)バーバリー商標権侵害事件:東京地裁平成18年12月26日
     判決
F−14
(2)「本生」商標登録出願事件:
知財高裁平成19年3月28日判決
   →
G−53

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