2007年2月1日


 
近 況 雑 感

1.平成16年改正意匠法は4月1日の施行を待つばかりであるけれども、肝心な実務の要となる「施行規則」がまだ発表されていないばかりか、特許庁は1月30日にようやくそれについての「パブリックコメント」の募集を開始し、2月28日まで意見を集めようとしています。しかし、特許庁のこのような遅い対処は、法制度の利用者である国民の立場に立たない行政府の冷たさを感じます。
 特に、意匠法2条2項の改正にともなう「画面デザイン」についての手続上の明細が依然として不明です。この問題は、たまたま1月30日に発表されたマイクロソフトのOS「ウィンドウズ」の最新バージョンである「Vista」が搭載している画面デザインも関係するでしょうから、気になるところです。
 前記のパブリックコメントの募集は単なる格好であって、すでに「施行規則」の様式に登場する規定は出来上がっているのかも知れませんが、4月1日の施行までの準備期間は、国民側にとってはあまりにも短すぎます。
 なお、今回の「施行規制」案の中には、従来から存した第6条第3項の規定の削除は含まれていませんから、「登録意匠の範囲を定める場合においては、特徴記載書の記載を考慮してはならない。」という誠に奇妙な規定は、依然として残ることになりそうです。すると、この政令規定は本法に違反していることから、違憲性があるということになるのです。



2.私は、「パテント」2006年10月号に「改正意匠法24条2項への疑問」と題した論文を発表しましたけれども、この続篇ともいうべき論説「意匠法3条2項が規定すること−3条1項との関係について」を「特許ニュース」今年2月15日号に発表することにしていますから、読んでいただきたい。ここでは、正に意匠法の本質を突いた主張をしています。
 なお、「ジュリスト」2007年1月1日・15日号の牧野利秋元東京高裁判事(現弁護士)による改正意匠法に関する解説では、24条2項の規定に反対する私の考え方をサポートされており、一読に価いします。「創作説」なるものは、説以前の意匠の本質を説く思想であり、意匠法の哲学は創作に始まり創作に終わるのです。混同なるものは、異次元の世界のものです。

3.今月の裁判例コーナーでは、次の2つを紹介しています。 
(1)ひよこ立体商標事件:知財高判平成18年11月29日
     (審決取消→登録無効)→G−51
(2)種苗生産・譲渡行為差止請求事件:知財高判平成18年12月21日
      (控訴棄却)→J−1 
 なお、このうちの(2)は種苗法に関する訴訟であり、「育成者権」の存否が争われたもので、当所としてはHPで初めて取り上げる事案です。育成者権というと、発明者権と同じもののようですが、基本的には特許権侵害や意匠権侵害と同様の考え方で立法されています。しかし、わが国政府の管轄は特許庁ではなく農水省です。
 また、この事件をきっかけに、第1.2知的財産法の体系図を見直し、以前出していたものを若干修正しましたので、お知らせします。

4.当所では、法学部出身で特許明細書を作成している弁理士を募集しますので、希望者はお知らせ下さい。意匠法に関心があればもっと結構です。
5.このホームページに掲載されている私の論文,論説には、著作権が与えられていますので、無断複製を禁止します。引用される場合には、必ずこの出所を明記して下さるようにお願いします。 All Rights Reserved.

 
牛 木 内 外 特 許 事 務 所
  弁 理 士  牛 木 理 一
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