USHIKI INT'L PATENT OFFICE


 


 
2007年12月1日


 
近 況 雑 感

1.今年の弁理士試験の最終合格者の統計が特許庁から発表されていますが、理工系が86.3%(昨年83.9%)を占め、法文系が12.4%(昨年12.6%)となっていることは驚異な事実です。これは、平均年令35.3才(昨年33.6才)という高令とも関係がありそうですが、大卒10年経過後のエンジニアにとっては唯一の自由業として、将来性がありそうに見える職業なのかも知れません。
 しかし、彼らには一専門分野の知識はあっても、果して工業所有権法という法分野についての知識や応用能力はどの程度あるのでしょうか。受験のための勉強しかしていないと思われる彼らに、われわれ先輩は将来をどの程度期待してよいのかわかりません。

 
そこで考えることは、私は以前にも書いたように、理工系の弁理士試験合格者が法科大学院(ロースクール)に入学し、3年間法律学の基礎を学習し、法的なものの考え方を身につけて司法試験に挑戦し、これに合格することです。すると、彼らこそ真の“特許弁護士(Patent Attorney)”として将来の活躍が期待できるのです。
 
わが国の司法制度はこのように改革していかなければ、法曹人口や弁理士人口を増すだけでは国民の利益とはならないのです。

2.ところで、特許庁でも弁理士会でもそして弁理士個人でも、「知財」という言葉を「特許」の代名詞のように平気で使っていることはいただけません。
 知的財産権(Intellectual property)の略である「知財」といえば、著作権の存在を忘れては無意味です。知財法から商標法や不競法は忘れても、著作権法を忘れてはなりません。だから、商標法や不競法から意匠法にアプローチしてくる学者も法文系弁理士も、意匠法は特許法や著作権法と同様に創作保護法に属するものであることを忘れて、競業法の中で考えようとしている誤りを犯しているのです。これでは「意匠の類似」の意味をいつまでも理解することができず、意匠は難しいなどと言って、それ以上前へ進もうとしないのです。

 
意匠法を競業法の中で考えている者は、まず意匠法の目的をよく考え、意匠法を基本から学習すべきです。そしてインダストリアルデザインの保護に関する2つのアプローチ、Patent approachとCopyright approachを学ぶべきです。そして、もう一つはDesign approachを学ぶことです。


3.今月の裁判例コーナーでは、次の2つの事件を扱います。いずれも、商標登録出願系の事件です。
1)登録商標の一部取消し部分の取消し事件:知財高裁平成19年7月12日   判決 (認容)→G−59
2)商標「新しいタイプの居酒屋」事件:知財高裁平成19年11月22日判決    (棄却)→G−60

 なお、今年もこの裁判例コーナーでは多くの注目すべき事案を取扱いましたが、来年からはその〔論説〕においてもっと学問的な議論を展開してみたいと思っています。

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牛 木 内 外 特 許 事 務 所
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