2006年9月1日


 
近 況 雑 感

1.

 2007年4月1日から施行される改正意匠法の規定の中には、「物品の部分」の範囲の拡大(意2条2項)、同一出願人による先後願の意匠登録出願のうち、先願が全体意匠で後願が部分意匠の場合における後願排除の条件の緩和(意3条の2但書)、関連意匠の出願条件の緩和(意10条1項)、意匠権の存続期間を設定登録日から20年間(意21条)に見られるように、意匠法の利用者にとっては歓迎できるものはあっても、24条2項のような歓迎されないものもあります。この規定が歓迎されない理由として、次の四つをあげることができます。
(1)意匠法の目的に反する規定であり、意匠法は特許法及び実用新案法と同様に、創作へのインセンティブ法であることを忘れている。
(2)唯一引用の最高裁の判決例は、出願系のものであって侵害系のものではなく、しかも意匠の類否判断は創作に基づくべきものであって、混同に基づくべきものでないことを、最高裁も理解していたことを忘れている。
(3)意匠の類否判断の内容は、特許庁の審査で行われるそれと、侵害裁判所の審理で行われるそれとは根本的に違うことを忘れている。しかるに、24条2項の適用は専ら意匠権侵害の場合に限られ、出願意匠に対する適用は予想されていないこと。→総則規定としなかったことが、そもそもの間違い。
(4)意匠の類否判断は、まず物品の同一又は類似の問題から入らなければならないが、これを考えることを忘れている。

                            

2.

 改正意匠法24条2項に対する司法からの批判は、映画DVD製造等の仮処分事件をめぐる東京地裁の決定や、中村修二対日亜化学工業(株)の職務発明者の相当の対価請求訴訟をめぐる東京高裁の和解における考え方が教訓として生きています。読者のみなさんも、この問題について一緒に考えてみませんか。  
                                        

3.

今月は、次の2つの裁判例について紹介します。
1)江戸風俗画事件:
  東京地判平成
18511日(民46)→D−50
2)映画DVD製造等仮処分事件:
  東京地決平成
18711
日(民47)→D−51
                      

4.  当方の“PROFILE”の中で、昨年3月に多くの友人から寄稿され発明協会から出版していただいた古稀記念論文集「意匠法と周辺法の現代的課題」について、目次とともに紹介していますので、ごらん下さい。わが国ではこの分野の論文集としてはユニークな内容が収集されていますから、今日的な課題について実務と学問研究の両面からの展開が見ものです。
 33のテーマが花開いており、その中の2編はマックス・プランク研究所(ミュンヘン)の研究員であるドイツとオランダの先生方からの寄稿です。もちろん日本語訳文があります。

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