2006年8月1日


 
近 況 雑 感

1.

 「本件改正法附則2条の適用関係に関する文化庁の上記見解は、従前司法判断を受けたものではなく、これが法的に誤ったものである以上、誤った解釈を前提とする運用を将来においても維持することが、法的安定性に資することにはならない。」
 この歯切れのよい司法の判断は、平成18年7月11日,東京地裁民事47部が行った映画DVDの製造頒布行為の著作権侵害を理由として差止め等を求める仮処分事件における申立却下の決定理由の一部である。司法裁判所には、新立法規定について行政府が行った解釈の是非を審査する権限があることは憲法が保障しているところ、本件は正にその見本を示したものである。(この裁判例については、「特許ニュース」平成18年8月9日号に紹介した後、本HPの9月1日号に掲載する予定。)

 

2.

 上記DVD事件における裁判所の判断は、映画の著作権の保護期間が公表後50年から70年に改正され、平成16年1月1日から施行された平成15年法の適用をめぐるものであるが、このような問題は、平成19年4月1日から施行される改正意匠法の24条2項の適用をめぐって今後起り得る気配がただよっている。この規定は、侵害裁判所は拘束されても、出願系事案を扱う特許庁や知財高裁は拘束されないのではないかという疑問である。また、侵害裁判所を拘束しようとしているようであるが、過去に蓄積された侵害事件の多くの裁判例との矛盾を裁判所に突かれたらどうなるかである。
 私は、今後これらの問題点を公に指摘して、改正意匠法24条2項の悪法性を追及したいと考えている。その意味でも、今回のDVD事件の東京地裁の判断の教訓は大きい。

 

3.

今月は、次の3つの裁判例について紹介する。
1)学位論文事件:
  さいたま地判平成
161224/知財高判平成17525日→D−49
2)サーバの発信情報開示事件:
  東京地判平成
18426F−13
3)ショルダー・ヒップバッグ兼用鞄事件:
  東京地判平成
18426日→C1−35

 

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