2006年4月1日


 
近 況 雑 感

1.

 特許庁は、3月15日に、意匠法を主役とする「意匠法等の一部を改正する法律案」を国会(参議院先議)に提出した。その前に、パブリックコメントの対象となった産構審の意匠制度小委員会の「報告書」において、意匠権侵害罪の刑事罰を「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」としていたのを、「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」と、特許権侵害と商標権侵害の刑事罰に合わせる規定に変更したことが、産構審の知的財産政策部会から指摘されて問題となっている。しかし、知的財産権の侵害に対して刑事罰を規定する国は、世界の先進国には殆んどない。
 それはそれとして、私は本号において、改正意匠法案に対するパブリックコメントとして提出した意見書を掲載することはやめ、ずばり「改正意匠法案を批判する」の論稿を「論文コーナー」に掲載することにした。→
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 議事録を見ると、特許庁の審議室長は、意匠の類似とは結局は商標の類似と同様に需要者の混同であると解し、「トレードマーク・アプローチ」で考えることを明言していることは、十分批判に価いする法律となり、後世に遺恨を残す悪法となるだろうことを覚悟の上なのだろうか。これでは、意匠法は特許法や著作権法と同レベルの「創作保護法」ではなくなり、商標法と同レベルの「出所保護法」として、将来吸収併合されることになるかも知れない。これでは、意匠法の第1条の規定が泣くというものである。
 産構審の意匠小員会や特許庁の意匠課は、一体何をしているのだろうか。<注>

注〉政府内の各法制審議会の委員会は、委員長以下全員が行政府の息のかかった人々の集りかと思いきや、そうでもないことが今朝のNHKのニュースでわかった。それは、BSE輸入肉問題を審議している農水省の審議会の委員会では、農水省が描いたシナリオに反対した委員長がすでに辞任しており、その後何人かの委員も辞任していたことがわかった。それに引きかえ、今回の意匠制度小員会の委員の中には、審議室が作成した改正法案に反対していた人でもやめた人はいない。委員長は中立の立場として改正法案を全部黙認したかたちとなった。(4月4日記)

 

2.

今月の裁判例コーナーは、次の2つの事件を取り上げます。
(1)ダウントップ商品形態事件(知財高判平成17年12月5日)
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2)ピザ商標“PAPA JOHNS”不使用取消事件(知財高判平成17年12月20日)
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3. . 私の「改正意匠法案を批判する」に対して反論や意見があれば、ぜひお知らせ下さい。私としては国会の関係委員会で問題に取り上げてもらいたいと考えています。

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