2006年3月1日


 
近 況 雑 感

1.  当方のHPもいろいろな方の目に触れているようで、先日、「絶対音感事件」(D-22)の被告Aさんからメールをいただき、この東京地裁判決は控訴されたことを知らないのかとの指摘を受けた。あわてて調べたところ、東京高裁が平成14年4月11日に控訴棄却の判決をしていることを知ったので、返事を出した。結論は変わりなかったが、「引用」がからむ著作権法32条と48条の規定の解釈に若干ずれがあることがわかった。そこで、今月号では、この事件の前記東京高裁判決を紹介するとともに前記東京地裁判決についてのコメントを補正することにした。→D-47

 

2. . 今月の裁判例コーナーは、前記絶対音感事件のほか、次の事件を取り上げます。
 (1)細巾レース意匠権侵害事件(京都地判平成17年6月30日)
    →A-30
 (2)イラスト著作権侵害事件(東京地判平成17年6月23日)
    →D-48
 (3)床束意匠権侵害控訴事件(大阪高判平成17年9月15日)
    →A−31
 (4)「蕎心庵」商標権侵害事件(京都地判平成17年11月24日)
    →F-10
 (5)キャッチフレーズ風商標権侵害事件(東京地判平17年12月21日)
    →F-11

 

3.  意匠法の改正問題を行政府は検討していたところ、その報告書が平成18年2月15日にプレスリリースされた。しかし、その前に昨年12月20〆切で特許庁が募集したパブリックコメントが発表されると思っていたら、その期待は裏切られてしまうという、奇妙な現象が起きている。「報告書」の内容とは、パブリックコメントを反映したものではなく、その前の「案」を外しただけのものである。それでは、何のためのパブリックコメントの募集だったのかわからない。単に体裁をつくるための儀式といわれても仕方あるまい。すると、提出された国民からのパブリックコメントについては、国会の審議の場での論議の対象となるのだろう。
 私もパブリックコメントを提出したが、その他すでに、経済産業調査会の月刊誌「知財ぷりずむ」に平成17年12月号から平成18年3月号まで改正問題について連載し、また「知財管理」平成18年3月号に「新意匠保護制度への提言」を寄稿している。


4.  今年2月1日号の「近況雑感」において、横浜地裁判事(井上薫氏)が常日頃書く判決文が短すぎることを理由に、最高裁判所から苦言が呈されていて、4月の再任時期には再任されることは難しいだろうとの新聞報道を紹介した。これについて、同判事は再任希望を自ら撤回したことから、「裁判官指名諮問委員会」に諮問されることなく、4月の任期切れで退官する見通しとなったことを朝日新聞3月2日38頁が報じていた。
 ところで、最近、音楽や映画などの著作権がからむ法改正の問題が大きく報道されているが、この問題は著作権者の保護を軽くしようとする経済先行の動きであり、文化保護との衝突が見えてならない。「東京国際アニメフェア2006」が3月23日〜26日にビックサイトで開催される。(http://www.taf.metro.tokyo.jp/ja/business/symposium.html)                                

    (4.につき3月3日追記)

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