2005年12月1日


 
近 況 雑 感

1.

 毎朝通勤のために、江ノ電の駅のベンチから目の前の湘南海岸とそれにつづく太平洋を見ていると、生まれ育った故郷の荒波立つ新潟海岸とそれにつづく日本海を思い出します。特に、冬の季節は、ブルー色とグレー色、静と動、平和と戦争に象徴される違いがあります。
 この相対立する2つの場面を経験している者は、幸せであると同時に重い責任を覚えます。特許の仕事も同じであり、現場に入って発明者らと議論することなしには、いい発明を引き出して内容豊富な明細書を作成することも、強いクレームをまとめることもできないと思います。

 

2.

 さて、今日、関心がやや薄れて来たようですが、特許法35条3項をめぐる職務発明者に与えられる相当の対価の問題については、依然として司法裁判所で紛争が処理されています。この問題は、中村日亜事件に触発されて立上がった元職務発明者が、退社後、時間が経ってから対価請求権を行使しているのが常套ですから、消滅時効にかかって請求棄却の判決を受ける人もいます。
 その中で、私は以前から、「発明力」より「クレーム力」というテーマで、企業が経済的利益をあげたり、実施契約によってロイヤリティを受け取れるのは、発明者の「発明力」からではなく、特許権の「クレーム力」からであると主張しています。この問題は盲点なのです。(特許ニュース 2002年10月17日号,2003年12月22日号,2005年2月24日号)
 そして、最近では、NBL(商事法務)の12月15日号に新しい論説を発表しますから、ぜひ読んで下さい。

 

3.  今月の裁判例コーナーでは、次の5つの事件判決について取り上げます。
(1)輸液バッグ事件(大阪地判平成16年7月15日、大阪高判平成17年7月28日)
   →A−27
(2)検査用照明器具事件(京都地判平成17年8月4日)
   →A−28
(3)前立腺治癒器事件(東京地判平成17年8月31日)
   →A−29
(4)イラスト著作権侵害事件(神戸地判平成17年7月7日)
   →D−45
(5)創作図柄の商品化事件(東京地判平成17年7月20日)
   →D−46

 

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