2005年10月1日
10月5日


 
近 況 雑 感

1.

 私は長年、朝日新聞しか購読していないので、同紙が報ずる知的財産に関係する記事は、他紙においても報じられていましょうが、この1週間は特に目立ちます。以下の記事はいずれも同紙の朝刊です。

(1)9月25日(日)の2頁では、小学校向けの教科書とそのテスト問題を報じています。著作権法33条,35条,36条の適用による公表著作物の教科書使用やその複製の場合の補償金支払をめぐる利害の衝突から来るテスト問題の作り方についての記事。

(2)同日の37頁の「ことばの談話室」には、普通名称と思われていた“デジカメ”や“セロテープ”の名称は、一企業の登録商標であるという記事。では、現在出願中という「モッタイナイ」はどうなるのでしょうか。

(3)9月27日(火)の11頁には、ブランド力、特許・技術力などの知的財産の価値を数値で評価することを、京都大学と大和証券グループが共同で検討するという記事。

(4)同日36頁には「六本木・アキバ進む再開発‐デザイン・ミュージアム」として、わが秋葉原にも慶応大学と秋葉原再開発協議会で実行委員会を作って、来春オープンの超高層ビル「秋葉原UDX」にデザイン美術館を開設するという記事。

(5)9月28日(水)には、銀座を歩いていた女性を無断で写真撮影し、その写真を日本ファッション協会らがHPに無断掲載し、その後さらに第三者が「2ちゃんねる」にその写真を中傷書き込みとともに転載した事件に対し、東京地裁が肖像権侵害を認め、損害賠償を命ずる判決をしたという記事。→D‐43参照

(6)9月29日(木)38頁には、米リーグのイチロー選手のプレー写真を、台湾の運動用品メーカーが自社の広告宣伝に使っていることに対し、台北市の裁判所に肖像権侵害で訴えたという記事。

 

2.

 今月の裁判例は、次の4件の裁判例を紹介します。

(1)ちゃんねる事件(東京地判平成16年3月11日・東京高判平成17年3月3日) →D−43

(2)VALENTINO無効除斥期間事件(東京高判平成15年9月29日,最高判平成17年7月11日) →G−42

(3)フィギュア模型控訴事件(大阪高判平成17年7月28日) →D−44 (D−40)

(4)ノーワックス品質誤認表示事件(東京地判平成16年9月15日,知財高判平成17年8月10日) →C1−28

なお、A−25で紹介しました大阪地判平成17年1月17日の「床束」意匠権侵害事件の控訴審は、平成17年9月15日に控訴棄却の判決がありましたので、付言しておきます。
 

 

3.

 私は、今まで断片的に発表してきた企業の「職務発明」をめぐる特許法35条の問題について、中村修二対日亜化学工業事件の東京地裁判決→知財高裁和解で決着した後でも残された問題として、弁理士自身ですら考えつかないでいる弁理士の「クレーム力」への評価をアピールした拙文をまとめましたので、近日中に雑誌に発表します。
 「発明力」より「クレーム力」であり、これによって職務発明者は相当な対価を、特許権者は独占による経済的利益を獲得することができるにもかかわらず、その「クレーム」を作成して出願した特許代理人の弁理士は、代理手数料以外に何の経済的利益を受けなくてもよいのかという問題を提起しているのです。
 それにしても、こういう声は、われわれ弁理士の中から大きく上げられなければならないのに、おとなしいのは不思議なことです。

 

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