2005年7月1日


 
近 況 雑 感

1.

 毎年、5月・6月になると、文系・理系のいろいろな学会の年次総会が全国各地で開かれるが、私が所属するいくつかの学会も、各地の大学等で、大会や研究会やシンポジウムが開催され、多数の関係者が集まった。

 5月20日には“文理シナジー学会”が上野文化会館で、5月21日には“日本著作権法学会”が一橋講堂(学術総合研究センター)で、6月4日には“日本工業所有権法学会”が北海道大学で、6月18日・19日には“日本マンガ学会”が京都精華大学で、6月25日・26日には“日本アニメーション学会”が多摩美術大学(八王子市)で開かれた。「学会」である以上、マンガでもアニメでも学術的研究の対象として関係者は考えている。

 その中で私が最も注目したのは、日本アニメ学会の1日目に行われた記念講演のうち、文化庁文化部長の寺脇研氏の講演であった。同氏は、アニメやマンガをはじめとする各種のコンテンツが、ともすればカネもうけに結びつくビジネスとしてとらえられている今日の風潮がある中で、それらが子供の成長とともにある精神文化と考えるべきであることを協調されたことだ。

 昨年6月4日に公布された通称「コンテンツ法」は、議員立法で制定された法律ではあっても、経済産業省の主導で運用されることになり、知的財産基本法の基本理念にのっとっているという。

 しかし、この基本法もその第1条で、「我が国産業の国際競争力の強化を図ることの必要性」を念頭に置くことをアピールしているのを見ると、「知的財産」の基本法とはいっても、その本質にある子供らの精神文化の涵養というマンガやアニメの文化的作品の存在意義を忘却し、専ら金銭に結びつくことを強く意識しているものだ。

 ということは、子供の頃からマンガを読むことやアニメを見ることを、勉強の邪魔になると親から言われ避けて来た経産省の役人達が机上で作った法律であるといっても過言ではない。映画評論家でもある寺脇研氏の講演を聞いて、「コンテンツ法」に対して持っていた私の疑問ともやもやした思いが、けっして間違っていなかったことを嬉しく思った。

 今年の第7回日本アニメ学会のテーマは「アニメーションをデザインする」であった(写真)が、この意味について大会実行委員長は、このデザインに、構想する/計画する/放映するの4番目に、「意匠する。」という表現あげていたのには驚いた。私は、1974年に初版を出した『意匠法の研究』の冒頭で考えた“デザイン”の定義のいろいろを思い出したものだ。

 私は現在、マンガ学会とアニメ学会の中にある「著作権研究部会」の座長をしているが、著作権問題に対してクリエーターの関心がまだ弱いのが残念だ。今年度はいずれも5回位開いて、いずれの分野においても注目されている著作権問題について検討していくつもりだ。


2.  前回予告したとおり、韓国が7月1日から施行する新「デザイン保護法」の中の“タイプフェイス(印刷用文字書体)”の保護について、目次 第3ニュースコーナー において紹介する。ここで紹介する関係資料は、金・張特許法律事務所(KIMCHANG)から提供を受けたものであるが、施行規則上の「別表」については割愛した。

 

3.

 今月は、次の2つの裁判例について紹介する

(1)不正競争防止法事件(マンホール用ステップの形態)

   東京地判平成17年2月15日→C1−27

(2)意匠審決取消訴訟事件(花壇用ブロック)

   東京高判平成17年3月30日→B1−20

 

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