2005年1月1日


 
近 況 雑 感




 

 

新年おめでとうございます。
 公私ともに波乱に満ちた2004年が過ぎ去り、新しい年を迎えるにあたり、ご挨拶させていただきます。

1.

「昨今の産業界を見ると、知的財産権という名前だけが先行し、その実体は従来と変わっていないように見えます。知的財産権の名前を口にするときは、工業所有権法のすべてをよく知ると同等に著作権法のすべてを知る必要があります。一方は産業法といわれ、他方は文化法といわれて区分されることがあるけれども、この二つの法分野はけっして異質のものではなく、人間の知的創作を保護するという共通の本質をもっているからこそ、知的財産権といわれるのです。この事実を実感をもってもっともよく理解できるのが、意匠法であります。意匠法ほど隣接する周辺法の多い分野はありません。」
  これは、私が1994年(平6)に出版した『意匠法の研究(四訂版)』のはしがきで書いたものですが、今日でも有効な思いです。そして、私は同じはしがきで、次のような予言を書いたものです。
 「わが国意匠法の10年後について主観的な予測をしますと、意匠の創作を保護する法律であることおよび登録要件の実体審査をする現制度は変わりないとしても、その意匠の定義から『美感を起こさせるもの』という要件は削除され、類似意匠の登録要件としての『のみ』は削除され、また意匠権の効力の発生を設定登録を停止条件として出願日に遡及させ、存続期間も出願日から起算することになるでしょう。しかし、イギリス法やEC法案にあるような非登録意匠権制度の導入はないでしょう。ただ、この制度の導入をECがわが国に要求し摩擦が起こることは考えられます。それよりも国内的には著作権法において、最初に著作物であったものが後日量産物品に転用されたときに著作権の効力を制限する規定をおくようにするか、それとも重複的保護をいぜんとして認めるようにするかが、応用美術の保護の問題としてクローズアップしてくるでしょう。」
  しかし、これらの予測は完全に外れましたが、近い将来、実現されそうにも思えません。これでよいのでしょうか。 

                                                        

2.

産構審知的財産政策部会意匠小委員会は、経産省の委託を受けた(財)知的財産研究所が、第2条1項3号を含む不正競争防止法の改正問題の検討を開始したことから、立ち上げられたように思えてなりませんが、委員の顔ぶれを見ると、平成10年法の立法に関係したと思われる人は1人も見当たりません。
  意匠法の改正問題は、前記不正競争防止法の改正とは全く異質の問題であり、積極的に工業デザインの創作を保護する意匠法の立場から、独自に新しい展開が考えられるべきです。
  現在検討しなければならない大問題は、前回も書いたように、意匠権保護を二本立てのスキームで行うかどうかの問題であり、その場合でも、「無審査登録型」を選択するか、「無審査非登録型」を選択するかが問題となります。私が前者の型を提案したのは、英国1988CDPAが非登録デザイン権制度を導入したことを見て、この制度をそのままわが国に導入することは、日本人の性格や文化には親しまないと考えたからです。そして、その登録事務を行うのはあえて特許庁でなく、新たな独立行政法人でもよいのです。
  英国・EU型の非登録デザイン権制度を、わが国では意匠法ではなく、不正競争防止法で規定してしまったことから複雑なねじれ現象が起っており、いまさら立法趣旨の論争があり、デザインの保護が世界と整合しなくなっています。
  また、今年検討しなければならないもう一つの問題は、国際問題でありすでに発効しているヘーグ協定への加盟があると思います。

                         

3.

今年の流行色は「緑」と聞きましたが、平和で自然の豊かな生活が人類にとって続きますよう祈りたいと思います。
  今年も皆様のご支援でこのHPの内容が、活気あふれるものになりますように、ご意見などありましたら、何でもお知らせ下さい。
  皆様のご多幸とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

 

4.

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