2004年11月 8日


 
近 況 雑 感




 

1.

 先月号の本欄では、経済産業省の委託を受けた知的財産研究所が、現行不正競争防止法2条1項3号の規定についての改正論議をしていることをお知らせしましたが、不競法によって意匠法の領域を侵食しようとすることは、法の目的が本質的に違うからどだい無理な話です。意匠法の世界は、パテント・アプローチかコピーライト・アプローチかデザイン・アプローチを哲学とするものであって、その他のアプローチはナンセンスです。
  かといって、意匠法は現状通りでよいわけにもいかないので、特許庁の産構審部会でも、ようやく改正論議を始めたことはお知らせしました。
  意匠法の改正問題は、不競法の改正問題など気にせずに、独自に新しい展開を考えればよいのですが、特許庁にはその意識や思考力が稀薄なようです。
  現在検討しなければならない大問題は、意匠権保護制度を二本立てで行う問題であり、その場合でも、「無審査登録型」を選択するか、「無審査非登録型」を選択するかです。後者は、英国・EU型であり、前者は私の提案で、韓国が採用した制度です。私がこの型を提案したのは、英国1988CDPAが非登録デザイン権制度を導入したことを見て、この制度をそのままわが国に導入することは、日本人の性格や文化には親しまないと考え、特許庁という政府機関が登録事務(一種の寄託)を行う方が妥当だろうと考えて提案したのです。どのコースを選ぶかは出願人次第です。
  英国・EU型の非登録デザイン権制度を、わが国では意匠法ではなく、不競法2条1項3号で規定してしまったことからねじれ現象が起こっており、デザイン(商品形態)の保護が世界と整合しなくなっているのです。3号類型が不正競争行為の占呪から逃れるためには、「非登録デザイン権」制度を意匠法に導入し、英国・EU型に合わせることを考えることから始めなければならないのですが。
  デザインは創作ですが、それが長年使用されると、デザインがブランド化して顧客吸引力を発揮することから、「もののパブリシティ権」を獲得するに至ります。それを、わが国では不競法2条1項1号・2号で保護しているのであり、妥当です。

2.

 今回は、商標登録の無効審判をめぐる審決取消訴訟、及び漫画家の名誉毀損訴訟の3件を取り上げます。
(1) 国際自由学園事件(東京高判平成16年8月31日)
G−35
(2) インディアンモーターサイクル事件(東京地判平成15年
12月26日)→F−6
(3) 新ゴーマニズム宣言事件(最高判平16年7月15日)
    →D−27

3.

今月号は、10月中に公私多忙な日々が続いたため、発行がおそくなりましたことをお赦し下さい。

4.

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