2003年 8月 1日 


 
近 況 雑 感



 

1.暑中お見舞い申し上げます、と言いたいところですが、今年は異常気象によって真夏の太陽が日本列島を照らす時間が極端に短いようです。これでは、自然と共生することにいつも留意してきたわれわれ日本人の心身にも悪影響を与えることになりそうです。政治も経済も元気のない中で、司法や知的財産制度は元気がよいようです。

2.司法改革制度特集を組んだ朝日新聞6月23日号に、東京地裁民事29部の飯村敏明判事が「法廷から」というコラムで、「かえでの木事件」(H−7)を取り上げています。同判事がここで言いたいことは、判決文には必要最小限の内容しか書けないので、負けた当事者はどうすればよいのか、第三者は判決をどう読むべきかなどは書かれることはないが、一言でも触れた方が当事者の納得が得られ、第三者の誤解を避けるのに役立つ場合もあるから、この事件判決ではそうしたということです。そして、自分が所有権を有する「かえでの木」を、被告が撮影して写真集を出版したことを禁止せよとの請求は認められない。しかし、「原告が、カエデの生育環境の悪化を防止しようとするのであれば、所有地内にさくを設けるなどして目的を達することもできる。第三者が原告の所有地に入って何をしても許されることを意味する判決ではないという趣旨も書き添えた。」と言われています。
 そこで、私は、このHPのH−7を読みなおして、判決文に裁判官によるアドバイスがあったかどうかを確認したところ、確かに最後に、なお書きで付言されていました。そして、この付言は、本論ではなかったから、私は何もコメントすることはしませんでしたが、今回の飯村判事の説明で、判決批評する者は判決文の裏を読むことの大切さを学んだ次第です。

3. 「著作権法の一部改正法」が今年6月18日に公布されましたが、この中でもっとも大きな改正は、映画の著作権の存続期間が、公表後50年から70年に延長されたことです。映画の著作権については、米国やEU諸国では著作者の死後70年となっていますが、わが国では、なお公表後となっています。アニメも映画の著作物ですから、そこに登場するキャラクターは、公表後の保護期間の適用となりますが、漫画(静止画)の著作権の保護期間が著作者の死後50年との間にギャップは残ることにはなります。

4. 今回は、次の2つの裁判例を紹介します。
(1)「減速機」事件の東京高裁判決・・・・・・A−18(追補)
(2)「花粉のど飴」事件の東京地裁判決・・・・F−7
 来月はもう少し多くの裁判例を紹介することができると思います。また、新しい著書『意匠権侵害−理論と実務−』の全容を紹介をさせていただきたいと思います。

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