2003年 6月 1日
 


 
近 況 雑 感



 
1.私も委員の1人でありました(社)日本著作権情報センター附属著作権研究所主宰の「応用美術委員会」は、紋谷成蹊大学教授を座長に2001年6月から2003年3月までの2年間にわたり、「著作権法と意匠法との交錯問題」に関する調査研究をして来ましたが、その成果の「報告書」を今年5月に発表しました。この委員会は、昭和45年著作権法の改正審議時に問題となった「応用美術」の法的保護のあり方が将来的課題として残されていたことを受けて、本格的かつ総合的に議論したものでした。 
 こんごこの問題は、著作権法の改正項目の一つとして文化庁を中心に検討されると思いますが、特許庁にあっても遅れをとることなく意匠法の改正項目の一つとして検討することが必要でしょう。いずれの庁においても検討すべき共通の具体的な問題点は、先の著作権法改正時では採用されなかった第1案であり、この案の範となった英国著作権法10条のその後の変遷と現行CDPA1988の52条の規定*を検討することから始まることになると思料します。

 *拙著「意匠法の研究(四訂版)」348頁.CDPA1988については、拙著「英国の新しいデザインの保護制度(上)(中)(下)」パテントVol.42 Nos4,5,6(1989)参照.

2.私は、平成5年4月に「判例意匠権侵害」を発明協会より出版しましたが、現在、品切れ中であることから、その全面改訂版を今夏に刊行すべく準備をして来ました。出版社は変わりますが、総論はより充実し、各論は今年4月までになされた主要な裁判例を網羅しています。
 その準備のために今回は時間がないので、ここに紹介する裁判例は、意匠権侵害の1件のみです。

3.今回紹介する裁判例の減速機事件の東京地裁平成15年1月31日民47判(A−18)は、意匠の要部−意匠の利用−連結物品−流通過程の混同が問題になっています。
 この判決は、意匠権侵害事件を始めて扱った裁判官によるような素人ぽいもので、矛盾だらけの内容であり、控訴されて当然であろうと思われます。

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