2003年 4月 5日
 


 
近 況 雑 感



 

1.わが国政府は、経済産業省(特許庁)や文部科学省(文化庁)ではなく、内閣官房において「知的財産基本法準備室」なるものを設置し、昨年成立した「知的財産基本法」の運用を始めようとしていますが、これは、結局、前記2省庁の権益争いを超えて国益を考えたからと理解すれば納得できるようです。しかし、前記2省庁が取扱う多くの具体的な現実の問題を離れては、地に足のつかない観念的な行政となってしまうから、どのような軌道に乗っていくのか未知数と言っても過言ではないでしょう。英国が昔から採っている特許行政と著作権行政とを一体化した知的財産庁の設置こそが本物であると思います。

2.今年3月1日に、わが国の著作権法の権威者の一人である半田正夫教授(青山学院大学学長)の古稀を記念し寄稿して刊行した「著作権法と民法の現代的課題」(法学書院)の献本式が行われました。この中で、弁理士としては私だけが寄稿していますが、「著作物の類似概念―著作権の保護範囲を考える―」を発表しています。ここで私は、著作権とは何をどこまで保護するものなのかについて、意匠権や特許権との比較を念頭において論じています。この論文を、このHPの「第1 論文コーナー A−15」に発表します。この論文はすでに発表しているA−11、A−12と関連し、大略して早いものから総論、各論、結論の三部作の関係となります。

3.今月の裁判例研究コーナーの紹介は、次の5件です。
(1)「配線用フロアパネル」事件(東京高裁平成15年3月17日判)→新たに起したI.特許・実用新案審決取消訴訟のI.2−1 
(2)「塩味茹枝豆の冷凍品及びその包装品」事件(東京地裁平成15年2月26日判)→特許権侵害訴訟E−4
(3)「ピーターラビット」事件(東京地裁平成14年12月27日判)→不正競争防止法訴訟C2−5ピーターラビット事件
(4)「濾過板」事件(東京高裁平成14年11月28日判)→意匠審決取消訴訟B1−14
(5)包装用容器」事件(東京高裁平成14年11月27日判)→意匠審決取消訴訟B2−4
 なお、すでにA.意匠権侵害訴訟で紹介したA−16「座いす」事件では、控訴審判決が平成15年3月11日になされましたので、これも追加紹介しています。この事件の争点は、意匠権侵害において、類似と利用とを同一次元で考えることの可否です。

4.このホームページに掲載されている私の論文,論説には、著作権が与えられていますので、無断複製を禁止します。引用される場合には、必ずこの出所を明記して下さるようお願いします。All Rights Reserved.