2003年 3月 1日
 


 
近 況 雑 感



 

1.今年2月1日の「近況雑感」の冒頭に、昨年7月3日に知的財産戦略会議が発表したアクションプログラムの中で、「実質的な特許裁判所機能の創出」のための構想が紹介され、その実現に向かって活発な議論がある中で、侵害裁判所がその射程距離を越えて特許庁を狙い打ちしているような権利の無効性判断のミサイル攻撃をしている現状に対し、批判の言を掲載しました。そして、これをもっと詳細にした小稿を、(財)経済産業調査会知的財産情報センター発行の「知財ぷりずむ」2月号に発表していますので、その全文を「第1 論文コーナー」の「14」に掲載します。大方のご批判をお願いします。

2.今回の裁判例の紹介は次の3件です。
 (1)意匠権侵害訴訟「インサート器具」事件A−17
 (2)意匠審決取消訴訟「装身用玉」事件B−1−13
 (3)商標決定取消訴訟「CAMBRIDGE UNIVERSITY POLO CLUB+図形」事件G−21
 このうち、(3)の判決事件は、かって「パームスプリングス ポロクラブ」の商標をめぐる最高裁判決とは異なる判決を出していますが、東京高裁では同最高裁判決における少数意見を妥当として採用している注目すべき判決です(G−11参照)。なお、「ポロ図形」関係事件としてG−2参照

3.「第3 ニュースコーナー」には、2つのニュースを掲載します。1つ目は、EUデザイン法(EU Designs Regulation)についてであり、この中から、“Unregistered Community Design”と“Registered Community Design”の内容について、簡単に紹介しています。
 2つ目は、EUデザイン指令(EU Design Directive)によって、EU加盟国は各国内法を「指令」に整合するように改正しましたが、ここでは英国の1949年登録デザイン法がどのように改正されたのか、その一部を併せて紹介します。
 なお、英国CDPA1988については、拙著『意匠法の研究』(四訂版)〔発明協会〕に詳しいので参照して下さい。
 3つ目は、2002年9月1日に発表しました「D−31 ファービー刑事事件」に関係するような別の人形をめぐる刑事事件であり、京都市の人形メーカーが創作して販売した「スーパードルフィー」という比較的大形で関節可動の人形をめぐり、京都府警が関係者を逮捕した新聞記事
 この事件は、京都府警の担当者が最初に当所に来訪して相談されたときは、著作権侵害による立件を考えられていたので、いろいろアドバイスした中で、私が関係した前記「ファービー人形」刑事事件の判決の詳細について紹介しました。しかし、その後、来訪されたときは、検察庁と相談した結果、不正競争防止法2条1項1号の適用によって立件することにしたということでした。関係者の逮捕後、容疑者はインターネット販売その他の侵害行為を一切中止すると確約したことから、検察庁は罰金の略式命令で終結したと京都府警の担当者から報告を受けました。

4.このホームページに掲載されている私の論文,論説には、著作権が与えられていますので、無断複製を禁止します。引用される場合には、必ずこの出所を明記して下さるようお願いします。All Rights Reserved.