2003年 2月 1日
 


 
近 況 雑 感



 
1.知的財産戦略会議が、2002年7月3日に発表した「知的財産戦略大綱」のアクションプログラムの中で知的財産の保護の強化として提案された「実質的な特許裁判所機能の創出」問題が、実現に向けて動こうとしている。
  これは、現存する東京・大阪の両地方裁判所の専門部を、“実質的な特許裁判所”機能を果たさせるための専属管轄とする裁判所機構の改正法案を用意しているという。このような両地裁の専門部による実質的な特許裁判所化が実現すると、特許権等の有効性の審理は、特許庁審判部との間の二元対立構造が益々顕著なものとなる。そして、審理の迅速化を考えるとき、特許庁審判部の存在意義は益々薄弱なものになってしまうことが予想されるが、それでよいのか。
  前記二地方裁判所による実質的特許裁判所化を図ろうとするのであれば、民訴法6条に規定された権利に限定した差別的訴訟ではなく、意匠権,商標権,著作権,不正競争防止法等の知的財産権に対する全侵害事件を、専門の両地方裁判所の専属管轄として集中させることが必要であろう。
  さらに、戦略会議の提言により、法務省は、「特許権、実用新案権等」の侵害訴訟の控訴事件は、東京高等裁判所に集中させることに決定したという。なるほど、東京地裁と大阪地裁とでは、専門部数も事件数も大きな開きがある。しかし、これは、大阪地裁を一審とする判決に対する控訴審は大阪高裁であるとする裁判制度の根幹を犯すことになるから、たとえ知財権侵害事件とはいえ、ここまでは踏み込むべきではないだろう。終審としては、最高裁判所があるのだから、大阪高裁もまた専門控訴裁判所とするのが公平というものであろう。

2.今回紹介する裁判例は次の2件です。このうち、(2)は私が訴訟代理人として担った事件です。
 (1)意匠権侵害訴訟「座いす」事件A−16
 (2)商標審決取消訴訟「スーパーグリップ」事件G−20

3.毎月号の巻頭に出しています「近況雑感」は、その時の知財状況を反映していることから、HPから消すことなく、1年分は残すように「第4 雑感コーナー」に掲載することにしましたので、よろしくお願いいたします。今回は、2002年1月〜12月分を掲載します。

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