2003年 1月 1日
 


 
新年のご挨拶



 

新年おめでとうございます。今年こそは飛躍の年にしたいという思いを皆様と同じように持っております。ご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。

1.私は、このホームページの昨年11月号の"第1−13"において、2人の時の人、中村修二氏と田中耕一氏とを好対照のエンジニアとして並べた中で、特に前者の「職務発明」の問題に触れた最後において、特許権の及ぶ技術的範囲はクレームの記載によって決定し、そのクレームを書く者は弁理士であるから、発明者はこの「クレーム力」の存在を忘れてはならないことを訴えました。
 奇しくも「週刊朝日」2003年1月3日・10日新春合併号には、「デフレ時代の浮揚力 無借金 特許力」という見出しの記事が出ていましたが、この「特許力」こそ「クレーム力」と言い換えてもよい言葉です。強いクレームを作るためには、新技術をよく理解した上でこれを法論理的に記述することによって誕生させることになりますが、何回もの推敲が必要となりましょう。だから私はいつも、弁理士自身も「クレーム」という作品を創作する知的財産を持たなければならないと言っているのです。
  この「クレーム」を書く弁理士にもまた、発明者と同等位の報酬が、出願時の手数料や特許時の成功謝金とは別に、成立した特許権が獲得した収益の中から何%か支払われてもおかしくはないという意見も冗談ではなく出てくるのです。だから、企業経営者は、もう一ど自社の収益中に、特許権によってどれだけの特許力やクレーム力が作用して商業的利益を得ているのかをよく調査してみるとよいと思います。

2.さて、今年は、2冊の本を出版する予定です。一はすでに品切れ状態にある「判例意匠権侵害」であり、他は、長い間、自分ではパスしてきた「意匠法」の教科書です。「意匠法の研究」と多くの論文によって培ってきた知的財産法の中核にある意匠法の基本書を狙っています。
  他にも、著作権法や不正競争防止法に関する著書も考えていますが、誰れもが書けるような本は眼中にはなく、正にアイディアを創作的に表現した作品に作り上げます。

3.昨年12月号で予告しました職務発明の報酬請求をめぐる東京地裁の裁判例をまとめて取り上げて紹介しようと思っていましたが、質量ともあまりにもぼう大な規模の問題なので、ホームページで取り上げることは遠慮し、いずれ論文にしたいと思います。
  現在、特許法35条(職務発明)と著作権法15条(職務著作物)とでは、同じ知的財産の創作についての権利の帰属が異なりますが、文化庁は前記著作権法上の規定を廃止する方向にあり、すべて当事者間の「契約」にまかせようとしています。すると、特許庁もまた、これと同じ方向を見つめるように定めるべきではないかと思います。

4.今回紹介する裁判例は、次の3件です。このうち、(1)は私が補佐人として担ったものですが、書類作りは全部しました。

(1)意匠権侵害訴訟の「せいろう用中敷き」事件A−15
(2)商標審決取消訴訟の「チョコレート立体商標」事件G−19
(3)商標権侵害訴訟の「インディアンモーターサイクル」事件F−6

5.先月もお知らせしましたが、EUデザイン法が2003年4月1日から施行されるにあたり、すでにEU商標法を施行して登録業務を行っているアリカンテ(スペイン)にあるOHIM庁では、2003年1月1日からデザイン出願の受付けをスタートすることになりました。3月31日までに出願したものは、4月1日に出願したものと取扱われます。デザインについては実体審査はありませんし、費用は安価です。
また、EUデザイン法の特徴は、物品を特定する必要はなく、デザイン自体を保護することになっています。例えば、マンガ・キャラクターの絵の創作者(著作権者)は、その絵について出願をすることができますから、EU諸国の企業との間でキャラクター・マーチャンダイジングのライセンス契約をする場合には、有利な立場を得ることができます。
OHIM庁に対して一つの出願でデザイン登録をすれば、「登録デザイン権」の効力は全EU加盟15か国に及ぶことになります。その保護期間は登録から25年間です。
わが国で今年10月1日以降に出願した意匠は、優先権を主張することができます。また、すでに公開して新規性を失った意匠でも、1年間の救済期間がありますので、安心することができます。
また、EUデザイン法では、登録によらない「非登録デザイン権」の制度を導入し、すでに10月1日から施行しています。この権利の保護期間は、デザインを公開してから自動的に3年間です。
EUデザイン登録に関心のお持ちの方は、当所までe-mail又はFAXにてお問合せ下さい。詳細についてお知らせしたいと思います。

6.このホームページに掲載されている私の論文,論説には、著作権が与えられていますので、無断複製を禁止します。引用される場合には、必ずこの出所を明記して下さるようお願いします。All Rights Reserved.