2002年3月1日
 


 
近 況 雑 感



 

1. 今回の「裁判例コーナー」では、「包装用袋」事件(B1−9)「エレキギター」事件(B1−10)の意匠登録出願をめぐる2つの審決取消事件を取り上げます。いずれの事件も出願前公知の意匠が存在する場合に意匠の類否判断の仕方について判示していますが、前者は、意匠の類否判断に常識的な論法が使われている事案、後者は、USPTOへの出願に基くJPOへの出願でも最初の出願日前にすでにわが国において刊行物公知の意匠と類似すると認定される事案です。

2. 私が「パテント」誌に2001年12月号から2002年2月号まで3回に分けて連載した論文「漫画キャラクターの著作権保護−キャラクター権の確立への模索−」は、「知財管理」誌2001年10月号に発表した論文「著作権の成立と保護範囲」の各論篇といえるものです。いずれこの全文は「論文コーナー」に転載したいと思いますが、とりあえずコピーを必要な方はお送りしますから、メールして下さい。漫画をめぐる著作権問題は、さまざまな面で新しい事件を引き起しており、昨年11月に設立された日本マンガ学会においても、研究テーマの一つになっています。

3. 私は40年間、弁理士としての固有の仕事を継続してやって来ましたが、実務と研究は車の両輪として走るのが人生のモットーで、今日に至っています。日頃、特許の明細書を書いていますから、意匠の類似の意味をよく理解できますし、意匠という物品の外観形態の創作よりも先に、新技術の開発と保護のためには、法律に精通した弁理士自身による適切なアドバイスと十分保護できる範囲にまとめる才能と経験が必要であることを痛感しています。
また、明細書の作成は論文の作成と実質的に同じです。即ち、他の追随を許さない卓越したアイディアによる学説の発表であっても、読者を常に意識して読者を説得させなければ無意味であると同じように、明細書もまた、常に審査官を意識して彼らを説得させるための文章構成をするのでなければ意味がありません。同時に、侵害に対して強いクレームにしなければなりません。これは、弁理士自身が、新しい開発技術を法律的に理解し解釈するという"知的財産"を所有していなければならないことを意味します。
もし皆様の中に、特許出願や侵害問題について相談されたい企業の人々がありましたら、ぜひ当方にコンタクトしてみて下さい。

4.このホームページに掲載されている私の論文,論説には、著作権が与えられていますので、無断複製を禁止します。引用される場合には、必ずこの出所を明記して下さるようお願いします。All Rights Reserved.