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2018年12月1日



 
近 況 雑 感

1.今年も最後の月となる時がやって来ました。時間は、人間がいろいろと言い回したとしても、黙って過ぎて行くのであり、待ってくれと心の中で叫んでも待つことはせず静かに流れてしまうのです。空間は時間で買うことができても、1日の時間の24時間は特に意識して使わなければならないのです。

 “Time is money”という言葉の中で、われわれは仕事をして手数料などを支払ったり請求したりしていますので、時間というものの意義を常に意識して仕事をしなければならないのです。

 しかし、無意識でいる時間も1日のうちでは重要であり、それは夜間の睡眠です。十分な睡眠なしには人生はあり得ないし、仕事中でも眠いときには目をつぶり、目をつぶればすぐに睡眠が与えられます。 

 

2.人気漫画の内容を勝手に、「ネタバレ」投稿して倒壊した動画サイトを運営する米国ユーチューブ者に対し、投稿社のIPアドレスなどの発信者情報を開示するように命じた仮処分決定が、東京地裁から11月27日に出たとのニュースが、朝日新聞11月29日(木)13版38頁に出ていました。仮処分申立人は発行元の小学館です。決定の対象になったのは、「週刊ビッグコミックスピリッツ」の連載中の「闇金ウシジマくん」の画像やセリフを無断で投稿するなど悪質性が高いため、発信者情報の開示を求めたというのです。

 今回は「吹き出しの文字だけを抜き出した投稿が違法と判断されたことが画期的だ」というのです。開示情報をもとに発信者を突き止め、民事,刑事の両面から投稿者の責任追及を行うとしています。

 シリーズマンガにあっては、キャラクターの姿態が商品化の対象になるのが多く、それは絵画という美術の著作物の複製として保護されますが、「吹き出し(パルーン)」の文字もまた言語の著作物といえるから、そのまま無断使用することは著作権侵害となるのです。珍しい事案です。

 

3.ジャズ好きな私は、朝日新聞(夕刊)の2018年11月19日(日)10頁の写真入りの記事を見て驚きました。それは、地方の一都市である北九州市小倉北区にある開業50周年を迎えるジャズバーのマスター林直樹さん(76才)のためのパーティーが同区のホテルで開かれ、旧知の仲のピアニスト山下洋輔(76才),トランぺッター日野皓正(76才),ギタリスト渡辺香津美らという有名なプレーヤーと、常連客を中心に全国から約140人が集まったというのです。

 林さんは父が八幡製鉄所の厚生施設に勤めていたことから、小学生の頃にビッグバンドの生演奏に衝撃を受け、東京の大学時代は新宿のジャズ喫茶に入り浸りで、帰郷後は1968年に八幡東区でジャズ喫茶を開店し、その後、小倉に移ってジャズバーに変えたというのです。

      

 

4.今年も12月1日(土)の午後、お茶の水で日本戦没学生記念会(わだつみ会)の主催の講演会がありました。

 講師は1941年生まれで、慶応大学法学部卒業、朝日新聞記者を経てフリーとなったノンフィクション作家の田中伸尚さんでした。演題は「『囚われたる民衆』からの自由―民主主義―人権・自由と天皇制」でした。田中さんは、「生前退位をめぐる断想―象徴天皇制の根っこを見つめながら」(法と民主主義 2017年 2・3 No,518)という論説を発表されており、そこには、後にNHK会長になる高野岩三郎が、気鋭の憲法研究者の鈴木安蔵(宮沢俊義先生の先輩)に渡した文書には、「日本共和国憲法私案要綱」とあり、「根本原則 天皇制ヲ廃止シ、之ニ代ヘテ大統領ヲ元首トスル共和制採用」と記載されていたそうです。そして、第1章は根本原則を「日本国ノ立憲ハ日本国民ニ属スル 日本国ノ元首ハ国民,選挙スル大統領トスル」と明記していたというのです。即ち、国民主権と共和制を明記したのであり、帝国憲法(明治憲法)における、天皇の万世一系、神聖不可侵,元首にして統治権者,立法権者などの天皇大権を完全に否定していたのです。

 また、天皇(大元帥)の戦争責任による退位論が当時大きな関心事であったし、東京裁判の被告になるかの問題があったところ、この点について私は田中さんに質問したのに対し、同氏は、「起訴されなかった」とだけ答えられ、あとは何も言われませんでした。しかし、法律家の私は、これですべて了解したので、私の質問はそれで終わりでした。

 なお、当日、私は共催者の「わだつみのこえ記念館」が2018年企画展に発行した「戦没学生と文芸」を入手しましたが、21才,22才という学生らが外地で戦死していたのです。

 今回の田中さんの講演で注目されたもう1つの問題は、添付されていた資料の中の大阪高裁判決でした。大阪高裁平成4年(行コ)48号.平成7年3月9日判決<控訴棄却>は「大嘗祭国費支出差止等請求控訴事件」であり、この控訴事件は、法務大臣を相手に起した日本国民の「諸儀式・行使による執行が右の禁止に該当し控訴人らの思想・良心の自由,信教の自由を侵害したと評価しうるか否かについて検討する」とした問題について、裁判所は次のように判示していたのです。

 「大嘗祭が神道儀式としての性格を有することは明白であり、これを公的な皇室行儀として宮廷費をもって執行したことは、前記最高裁大法廷昭和52年7月13日判決が示したいわゆる目的効果基準に照らしても、少なくとも国家神道に対する助長,促進になるような行為として、政教分離規定に違反するものではないかとの疑義は一概には否定できない。」

 そして、この高裁判決は上告されず確定したのですが、国民による請求を全面的に棄却した地裁判決は否定されず、疑義があることを指摘した判決として十分評価されているのです。田中さんはこの点を強調されたのです。

 そうすると、秋篠宮が先日、大嘗祭の国費負担について批判されたことは妥当といえますから、もしそのような批判を無視し国家事業として式典を行うとすれば、事後において、前記同様の裁判が国民から請求されるとともに憲法第1章の天皇制に対する批判が起こるかも知れないのです。

 なお、「大嘗祭発言と政教分離」と題した耕論が朝日新聞12月4日15頁に掲載され、半藤一利,山折哲雄,原武史の3人が論じています。

 

5.私がよく知っている漫画家で、日本マンガ学会の理事をやっていた長谷(ながたに)邦夫さん(81才)が11月25日に心不全で死去されました。かつては赤塚不二夫のブレーンの1人としてギャグ漫画の創作を支えられたし、漫画評論家でもあり、著書に「パロディ漫画大会」などがあります。最近、学会などには顔を見せていなかったので、心配していました。

 急遽追加したい有名人がいます。作曲家の大中恩(おおなかめぐみ)さん(94才)です。「サッちゃん」や「いぬのおまわりさん」などの童謡で知られ、1300曲に及ぶ合唱曲を創作された人で、12月3日に菌血症で死去されました。私は、10年以上前に銀座であった何かの会で大中さんの話を聞いたことがありますが、童話を語るような静かな話し方をする人でした。

 

 

6.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の4件について紹介します。

 

(1)商品形態「ブラウス」不正競争行為差止等請求事件:大阪地裁平成29年

   1月29日(21民部)判決<請求一部認容>➡C1−79

(2)登録商標「LV等図形」商標権侵害損害賠償請求事件:東京地裁平成30年

   3月26日(民29部)判決<請求認容>➡F−74

(3)登録商標「LV等図形」商標権侵害損害賠償請求事件:東京高裁平成30年

   10月23日(1部)判決<控訴棄却>➡F−74−1

(4)商品形態「婦人用コート」不正競争行為損害賠償請求事件:東京地裁平成

   30年8月30日(民46部)判決<請求認容>➡C1−80

 

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