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2017年12月1日



 
近 況 雑 感

1.今年も終わりの12月がやって来ました。若い時は人生は長いものだと思いましたが、わが国が米英国らを相手に戦争をしていた時代に召集された学生らには明日の人生の保証はなかったし、国内で生活していた大人も子供も、米軍の空襲という恐ろしさの中では、今日の人生すらなかったのです。沖縄では、米軍による地上戦によって、軍人のみならず、多くの住民が犠牲になったのです。

 

以前にも本欄で紹介したことがあります72年前(1945)の米軍による沖縄戦で被害を受けた住民や遺族66人が国に1人当たり1100万円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟の控訴審において、福岡高裁那覇支部は11月30日、一審判決を支持し、原告の訴えを棄却しました。裁判長は、「(当時の)明治憲法下では、国が損害賠償責任を負う規定がない」との判示をしました。

 太平洋戦争時の民間被害への賠償を求める集団訴訟は、東京大空襲の被害者が2007年に、大阪大空襲の被害者が2008年にそれぞれ提訴しましたが、いずれも最高裁において原告敗訴が確定しています。(朝日新聞 2017年12月1日38頁)

 この問題の解決のためには、特別立法の制定が必要であることは、これまでも多くの裁判例が示唆し、原告側も承知しているところ、国会における立法運動の代表者であった鳩山邦夫さんが死去されてからは、国会における具体的な動きがないのが心配です。

 

私は、「わだつみのこえ記念会」の一会員で、時々案内が来る集会には出席していますところ、12月1日にお茶の水で行われた「12.1 不戦の集い 2017年」に出席しました。今回は、日本戦没学生記念会とわだつみのこえ記念会との共催でしたが、記録映画「学徒出陣」(文部省編・日本ニュース社 1943年)の上映後、講演「総力戦下の学生生活―出陣学徒・林尹夫の遺稿を読む―」があり、1953年生まれの斉藤利彦学習院大学人文科学研究科教授の講演を拝聴しました。林尹夫(タダオ)さんは当時の京都帝国大学の在学中に学徒出陣した人であり、多くの遺稿を集めた書籍「わがいのち月明に燃ゆ」の中から斉藤教授が資料として紹介されているのです。

 神宮競技場で挙行された前記学徒出陣の大行進は、昭和17年10月21日の雨中であったことは、記録映画を見られた方はご存知でしょうが、その場では、当時の内閣総理大臣東条英機が、集合した学生や多くの観衆に向かって演説していたのです。

 斉藤教授が紹介された前記林尹夫さんの遺稿の中の一部を、次に紹介します。

 資料A 遺稿ノートの一節

      必敗の確信 ああ実に         オプティミズムをやめよ

      昭和十七年頃よりの確信が       眼を開け

      今にして実現する           日本の人々よ

      このきびしさ 誰か知ろう       日本は必ず負ける

                         そして我ら日本人は

      南九州の制空権            なんとしても この国に

      すでに敵の手中にあり         新たなる生命を吹き込み

      我らが祖国              新たなる再建の道を

      まさに崩壊せんとす          切りひらかなければならぬ

 

 資料B 「わがいのち月明に燃ゆ」というタイトルの由来

 月は満月に近く、しかも昇って間もない。下方三千メートルは一面の雲海、金波銀波の

 さざ波のごとく、満天にまだ星がきらめき、そのなかを彼我の曳光弾がとびかった直後

 一閃の爆発が同乗者七人の昇華を告げる。そして大気中に飛散した灰がひめやかに雲海

 にふりそそぎ、やがて海に散って消えはてた。

 

歌手の森昌子さんが唄うデビュー曲に「せんせい」(1972年)があり、作曲家は遠藤実、作詞家は阿久悠でありますが、最初の同時録音のレコーディングが、1回でOKが出て無事終了したと思い、昌子さんはテープを持って家に帰り、父親の森常夫さんが聴いたところ、「駄目だ」と言われたのです。理由を尋ねると父は、「淡い初恋消えた日は」の「あ」の発音がきちんと出ていず、「わい初恋消えた日は」に聴こえるから、父は「もう一回とりなおしてこい!」と怒ったというのです。このことを昌子さんが遠藤実さんに伝えると、「何て素晴らしいお父さんなんだ。おっしゃるとおりだ」として、レコーディングをやり直すことになったそうです。(朝日新聞 2017年11月27日37頁「語る―人生の贈りもの」より)

 私はこの記事を読んで思ったことは、文章というものは、「テニオハ」の一文字の違いで、作者が伝えようとした主張や意味がおかしくなるから、文章の清書時には誤字脱字の内容に十分気をつけれなればならないということです。例えば、主語となる「私は」と「私が」は同じ意味であるとしても、そこから始まる章句における主張の強調は違うということです。

 したがって、今日でも私は、明細書や論文などの文章を、2Bエンピツと消しゴムを使って自ら書いているのであり、これは電車に乗っていても同じであり、そのほうが自分の意思思考を的確に表現することができると信じているのです。

 

5.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の5件について紹介します。

 

(1)登録意匠「靴底」意匠権侵害損害賠償請求事件:大阪地裁平成29年2月14

   日(21民部)判決<請求棄却>/大阪高裁平成29年9月7日(8民部)判決

   <控訴棄却>➡A−70

(2)特許出願「鋼管ポール」拒絶審決取消請求事件:知財高裁平成29年9月19

   日(4部)判決<請求認容/審決取消>➡I.1−12

(3)登録商標「豊岡柳」(図形)無効審決取消請求事件:知財高裁平成29年10月

   24日(4部)判決<請求認容/審決取消>➡G−238

(4)登録商標[千鳥屋」無効審決取消請求事件:知財高裁平成29年10月25日

   (1部)判決<請求認容/審決取消>➡G−239   

(5)登録商標「軽スタ」無効審決取消請求事件:知財高裁平成29年10月26日

   (2部)判決<請求棄却>➡G−240

 

 

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