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2019年11月1日



 
近 況 雑 感

1.1 今年のノーベル賞「化学賞」は、「リチウムイオン電池」を開発した吉野彰・旭化成名誉フェロー(71才)他2名の米国大学教授に授与すると発表しました。同電池は携帯電話や電気自動車の電源として広く用いられ、太陽光など再生可能エネルギーを蓄えて科学燃料に頼らないクリーンエネルギーの普及に貢献したことが評価されたといわれています。しかし、グッドイナフ教授(97才)とウィッティンガム特別教授(77才)の研究にあっては、最も軽い金属のリチウムは電気を生み出す反応を起こし易いうえ、原子の粒が小さく、電極に使うと高出力で小型にできたものの、発火や爆発の不安があったところ、その問題を解決したのが吉野さんであったというのです。吉野さんは負極に炭素材料を使う方法を開発し、特許出願もされたというのです。

 たまたま筆者の手元にある経産省が平成30年5月14日に発表した特許庁による次世代にインパクトを与える最先端分野おとして「リチウム二次電池」など12の技術テーマについての特許・論文情報を調査・分解した報告書によると、「リチウム二次電池」については、次のような説明とグラフが検討されていました。しかし、これはすでに過去のものです。

 「リチウム二次電池は、近年、小型民生用だけでなく、車載用、定置用電源等、様々な用途に用いられるようになっています。容量、出力特性については特に車載用でのニーズが高く、正極材、負極材、電解質などの要素技術について、各国で研究開発が活発に行われています。

 次世代材料(固体電解質や高容量電極)における研究開発競争は特に活発です。全固体電池(硫化物系固体電解質)では、日本は特許出願で優位ですが、論文では米欧中が件数を伸ばしており、研究開発力では米欧中の追い上げが加速しています。

 大学等の研究機関で行われる新規物質の発見等の独創性の高い研究は、基本特許に結びつきやすく、確実な権利取得を進めることが必要とされます。研究機関と企業との連携を強固なものとし、大学等が取得した基本特許をもとに企業が特許網を構築するといった、産学で役割を分担した連携が重要です。」

 

1.2 ところで、今回、化学賞を受賞した3人の関係については、朝日新聞に、福岡真一青山学院大学教授が解説しております。

 第1に最初にリチウムを電極に使って二次電池を作ったのがウィッティンガムさんで、第2にリチウムを酸化化合物にすると電圧を高くできることを発見し正極にしたのがグッドイナフさんで、第3に適切な負極を選んで実用可能にしたのが吉野さんであるというのです。科学史としては「リチウム山脈」の3つのピークを選ぶと、この3人になるから、今回の3人受賞は妥当である、と福岡教授は述べています。(朝日新聞2019年10月10日26頁「科学」欄)

 リチウム電池は用途を広げながら市場拡大を続けているところ、牽引してきたのは日本の素材や電機メーカーですが、近年は中国勢が台頭し、競争は激しさを増しているというのです。ここでも中国の新興メーカーが中国政府の支援を受けて急成長している実態がうかがえます。 

1.3 私が個人的に関心を持っている問題は、「リチウム二次電池」の特許出願の数ではなく、特許出願に係る各特許権の「クレーム」の記載内容についてです。特許権の侵害事件が起こるのは、「クレーム」の記載いかんに左右されるからです。換言すれば、「発明力」ではなく「クレーム力」なのです。そして、その「クレーム」を作成して独占排他権を確立する者は、発明者や出願人ではなく、代理人たる弁理士なのです。

 そうすると、特許権の確立について相当の対価が与えられるべき者は、発明者ではなく、代理人たる弁理士であると思うのです。もっと言えば、弁理士は、作成する明細書や特許請求の範囲(クレーム)の記載によって著作物を創作する仕事をしている者であるところ、それに対する同様の問題は、職務発明について発明者への対価問題がありますが、私が議論してほしいのは、弁理士の「クレーム力」に対する評価と対価の問題であります。

 

2.京都精華大学に入学した目的はわかりませんが、中退して幼馴染と漫才コンビを組み、20才でデビューしたという芸人田中光さん(37才)は、1コマ漫画をツイッターで発信し始めたところ、作品「サラリーマン山崎シゲル」がネットで話題となり、約130作品を収めた単行本発売の直前に、俳優の二階堂ふみさんが作品をリツイートして知名度が一気に高まったというのです。また、2月には絵本を出版したというのです。(朝日新聞8月14日2頁「ひと」欄から)

 すると、在学中は竹宮恵子先生らの授業を受けていたのかもしれません。田中さんの夢は、仕事でニューヨークへ行ってみたいというのです。漫画と漫才の2本立て人生も、又吉直樹さんの例もあるので面白い。自信満々で、頑張れ「ひかる」君!

 なお、同紙の27頁の社会欄には、「対馬丸に乗せていなければ」との見出しで、1944年8月21日に対馬丸が約1800人を乗せて那覇を出て鹿児島へ向かっていた22日夜、魚雷攻撃を受けて沈没したことについての記事が出ていました。死者1484人のうち784人が疎開学童であったというのです。対馬丸記念館は那覇市にあります。

 

3.また太平洋戦争時代のことを書かなければなりません。それは、「空母“加賀”発見」「ミッドウェー海戦で沈没」という見出しの新聞記事を読んだからです。(産経新聞2019年10月20日6頁)

 “加賀”は1941年12月8日のハワイ真珠湾攻撃に参加したのを手始めに、連合艦隊の主力空母として多くの戦闘機を艦載して太平洋を海洋しましたが、1942年6月に数十機の急降下爆撃機によって撃沈されたのです。

 今回、米国のIT大手マイクロソフトの共同創業者の故ポール・アレン氏が設立した財団が調査していたところ、“加賀”が発見されたのです。そこは、ミッドウェー環礁沖の水深約5400mの海底ですが、こんご、空母「赤城」「蒼龍」「飛龍」についても引き続き探査を続けるとのことです。(その後「赤城」も発見されたという。)

 なお、当時のわが国の連合艦隊司令長官は山本五十六大将でしたが、1943年4月に山本らの偵察機はラバウル沖で米軍機によって撃墜されたのです。現地でダビに付され、遺骨はその後、多摩墓地に埋葬された翌日に分骨され、生家のある長岡市に移送され、現在、同市の先祖代々の墓がある長興寺の墓地に埋葬されています。

 

4.今月も、有名人の訃報をお知らせいたします。

 1人は国際人の緒方貞子さん(92才)であり、10月22日死去されました。緒方さんは、1991年4月に就任された国連難民高等弁務官として活躍された方ですが、知的財産法の教育でも有名なジョージタウン大学とカリフォルニア大学バークレー校を卒業されており、1976年には日本初の国連公使となり、国連人権委員会日本政府代表などを歴任されています。その後、国連難民高等弁務官に就任され、国家中心の安全保障ではなく、紛争や貧困などあらゆる脅威から人々の生存や尊厳を守る「人間の安全保障」の重要性を提起され、2012年の国連総会においては「人間の安全保障」を重視する決議が全会一致で採択されたのです。

 緒方さんは、2012年4月から務めたJICA特別顧問時代も世界を駆け回り、シリアの難民問題などで積極的に発言し、「人間の『命を守る』という最も基本的なところから始める」と語り、ユニセフやNGOの役割を重く見ていたといわれています。また緒方さんは日本人の国連職員にも大きな影響を与え、現在、国連で日本人トップの事務次長(軍縮担当)を務める中満泉さんもその1人だというのです。(以上につき、朝日新聞10月29日夕刊1頁より)

 私自身は緒方さんをテレビでしか見ていませんが、老いてもその笑顔に魅力を感じました。常に笑顔で難民たちに接していたと思います。

 もう1人は、女優の八千草薫さん(88才)です。宝塚歌劇団出身の娘役スターから、1951年に映画界にデビューし、いろいろな種類の映画に登場されていました。夫は映画監督の故谷口千吉さんです。俳優の仲代達矢さんは「80代であれだけ可愛らしい人はいませんね。若いころからずっと初々しくて、花のような方でした。」と語っています。(朝日新聞10月31日29頁)

 

5.おめでたい今年の文化勲章の受章者は6人で、その中にはノーベル化学賞の吉野彰さん(71才),政治学者の佐々木毅さん(77才),写真家の田沼武能さん(90才)がおり、文化功労者には映画評論家の佐藤忠男さん(89才)(新潟市出身),映画監督の大林宣彦さん(81才),漫画家の萩尾望都さん(70才),歌舞伎女形の坂東玉三郎さん(69才)らがおられます。この中で、私がかつて直接話したことがあるのは、田沼さん,佐藤さん,萩尾さんです。

 

 

6.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の4件について紹介します。

 

(1)「食品包装デザイン」虚偽事実告知による不競法違反損害賠償請求事件:

   東京地裁平成31年3月1日(民40部)判決<請求認容>➡C2−45

  ・「食品包装デザイン」虚偽事実告知による不競法違反損害賠償請求控訴事

   件:知財高裁令和1年8月7日(3部)判決<控訴棄却>➡C2−45−1

(2)「金魚電話ボックス」著作権侵害差止等請求事件:奈良地裁令和1年7月

   11日(民事部)判決<請求棄却>➡D−129

(3)登録意匠「そうめん流し器」意匠権侵害損害賠償請求事件:大阪地裁令和

   1年8月29日(26民部)判決<請求一部認容>➡A−75

(4)商品形態「カラー筆ペン」不正競争行為差止等請求事件:大阪地裁令和

   1年9月19日(26民部)判決<請求棄却>➡C1−84

 

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