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2018年10月1日



 
近 況 雑 感

1.英国ロンドンには、日本外務省が世界の3か所に設けた文化発信拠点の一つの「ジャパンハウス」があり、今年6月にオーブンしたのですが、最初のオリジナル企画展に選んだテーマが、「燕三条・金属加工展」であった、と新潟の地元紙は報じています(新潟日報 2018年9月28日 27頁)。同ハウスのオープン初回に燕三条が選ばれるきっかけとなったのは、同ハウスロンドンのサイモン・ライトさんが昨秋視察した工場見学イベント「燕三条 工場の祭典(KOUBA)」で、伝統を引き継ぐ職人に会い、「普通に暮らしている人が、尋常でないものを作っている」ことに感動したからだそうです。

 この「燕三条 工場の祭典」は、今年も三条市で10月4日〜7日に開催されますが、同地では10月3日・4日には「燕三条トレードショウ2018」が開催され、生活雑貨,厨房用品,園芸用品,利器工匠具等の産品が地元展示され商談がなされます。毎年、こうしたショウがわが国の地方都市で開催されるのは、燕市と三条市は「ものづくり」の産地だからであり、外国人の来場も多く、取引も活発になされています。

 

2.2018年9月16日(日)の朝日新聞12版には驚いた。15〜19頁の5ページがスポンサー付きの〔全面広告〕で、15〜18頁の4ページの中の第15頁は、安室奈美恵さんへのファン一同(4846人)からの「THANK YOU FOR25+1YEARS」と表記した広告で、一面の中央部分に14行にわたる短い文章が記載されている以外は白紙状態であり、第16〜18頁の三面の全面には4846人のファンの氏名が全部記載されています。これは朝日新聞のクラウドファンディングサイト」「Apint」を通してスポンサーとなる人々を募集したところ、「安室奈美恵さんと、安室奈美恵さんを支えてきた人たちに、感謝の気持ちを届けたい。」としてこの広告を作りました、とのメッセージが表示されています。そして、第19頁においてのみロッテ(株)がスポンサーとなり、自社商品のPRを彼女の多くの写真と共にしているのです。

 このような広告こそは、登場人物が有する一般国民へのアテンションゲッターを、顧客吸引力として利用している典型的な現象であるのに対し、前記3ページにわたる一般国民による新聞広告は例外的のです。このような新聞広告の事実は、9月15日夜に沖縄県宜野湾市で最後のステージを挙行して歌謡界を引退された安室奈美恵さんの国民的人気の高さを証明しているといえるでしょう。

 しかし、40才とまだ若いのに、彼女は第二の人生としてどんな仕事をしていくのだろう、とわれわれ一般国民は気になるところです。

 このめでたい歌手引退の記事を報じた朝日新聞の9月17日(日)の31頁には、女優の樹木希林さん死去(75才)の記事が出ていましたが、彼女は長年「がん」を患い、最後は全身に広がっていたというのです。そんな中でも是枝裕和監督の「万引き家族」に登場し、今年のカンヌ国際映画祭の最高賞である「パルムドール」を受章されるなど、演技力は国際的にも評価されていたようです。

 

3.以前の本欄においても紹介したことがある東京高裁の岡口基一判事(52才)のツイッターによる自己主張について、最高裁大法廷が9月11日「分限裁判」を開いたというニュースが、本人の顔写真入りで紹介されていました。この事件とは、新聞によると、拾われた犬の所有権が、元の飼い主と拾った人とのどちらにあるかが争われた裁判を取り上げてネット上の記事として感想を同判事が投稿したというのです。

 岡口さんは、これは「裁判官としての意見ではない」と、表現の自由を主張したようですが、同じ裁判官の身分でいながら、他部の裁判を批判するツイッターをネットに流布することは、言論の自由を濫用した倫理違反以上の批判があって然るべきです。

 

4.過日死去された音楽家の平尾昌晃さんの遺産相続をめぐり、親族内での紛争が起きているとの報道に接しましたが、それには著作権の存続期間の長さによる経済的利益の保証がからんでいるようです。わが国の著作権法51条2項によると、著作権は、原則として著作者の死後50年間存続するから、親族は孫子の代までその利益を享受することができるのです。

 これに対して、同じ知的財産権である意匠権の存続期間は現在のところ、設定登録日から20年間(大正10年法では10年間)ですから、インダストリアル・デザイン作品が「応用美術品」と解されるか否かによって、与えられる保護期間には大差があることになります。

 したがって、意匠の保護をどのような方法で考えるべきかについての哲学を立法者は有していなければならないのです。世界的に見ると、@コピーライトアプローチ,Aパテントアプローチ,Bデザインアプローチに分けることができ、わが国や米国の場合はAのアプローチです。(牛木理一「デザイン保護のための三つのアプローチ」参照.パテント 1996年10月号)

 一方、特許法には、特許権の存続期間の延長制度があり、特許出願日(設定登録日ではなく)から20年間内に有効に実施できない特許発明の場合にあっては、5年を限度として認める期間延長制度があります(特許法67条2項)。しかし、この規定の適用を受けられるものは医薬品のような特殊な分野の発明に限定されていますし、延長期間は5年を超えることはないのです。

 しかしながら、多くのジェネリック医薬品が安価に販売されている現状を見ると、特許発明に係る医薬品の効果は大きいことの証左ですから、特許権者の経済的利益が早くに失われてしまうことになります。したがって、存続期間の延長はもっと長くすべきであると私は思います。

・今年のノーベル賞医学生理学賞の授与が本庶佑(ほんじょ たすく)京都大学特別教授に決定したとの発表が10月1日夜にありましたが、このニュースを最高に喜んだのは、20数年間、共同研究に取り組み、がん免疫治療薬「オブジーボ」を実用化した小野薬品工業(株)であるといわれています。同社はそれについての特許出願をすでに多数していると思いますが、出願中か特許済みかは不明です。(10月2日追記)

 意匠権についても同様のことがいえるのです。例えば、昭和9年に意匠登録された飲食用スプーン,フォーク,ナイフが80年以上経過した今日でも、当業界では他社によって実施されている事実があります。クラシックパターンとして、今日でも人気がある意匠が多いのです。そのような人気のある意匠(商品形態)であれば、不正競争防止法2条1項2号の「著名な」商品等表示といえるから保護され得るという説もあります。

 

5.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の5件について紹介します。

 

(1)登録商標「極真 KYOKUSIN」他商標権侵害差止等請求事件:東京

   地裁平成29年3月23日(民47部)判決<請求認容>➡F−71

(2)登録商標「極真 KYOKUSIN」他商標権侵害差止等請求控訴事件:

   知財高裁平成29年12月25日(3部)判決<控訴認容>➡F−71−1

(3)登録商標「図形タカギ」商標権侵害行為差止等請求事件:東京地裁平成30

   年7月26日(民46部)判決<一部認容>➡F−72

(4)「虚偽事実の流布」の不正競争行為等損害賠償請求事件:東京地裁平成30

   年8月17日(民40部)判決<請求一部認容>➡C2−39

(5)登録商標「国際学友会日本語学校」不使用取消審決取消請求事件:知財高

   裁平成30年8月23日(3部)判決<請求棄却>➡G−253

 また、第1.5 特別論文「インダストリアルデザイン―その美と保護の研究―」の第7回分(完)を今月号に発表しますので、お読み下さい。➡1.5−10

 

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