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2019年10月1日



 
近 況 雑 感

1.私は毎朝の通勤時に、藤沢と大船との間の列車の左側の窓から、武田薬品工業(株)の研究所の大きなビルを見ています。この場所には、数年前までは同社の製薬工場があったのですが、工場を廃止して研究所を設置したのです。

 このビルの入り口には以前、同社のシンボルマークが表示されていたのですが、数か月前から「@PARK」という表示に変更になったので、何を意味するものなのか不明であったのですが、9月11日(火)付の朝日新聞6頁に「武田 創薬拠点を開放」という見出し記事が掲載されていたので、「アイパーク」の意味がようやく判ったのです。

 前記記事によると、これは通称「アイパーク」という「湘南ヘルスイノベーションパーク」という名の研究所に名称を変更し、その一部を他の企業や大学に貸し出しているというのです。企業秘密が集まる創薬研究施設を外部に開放するのは、わが国の製薬企業で初めてです。この研究所は、2011年に約1500億円をかけて作られた地上10階建ての建物が5棟、全部渡り廊下で連設され、生化学や合成化学の実験ができる76の研究所が在るというのですが、去年4月から外部からの受け入れを本格的に始め、現在56の企業や大学が入居しているというのです。その中にはノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥博士の研究チームも拠点を置くというのです。

 欧米では産官学の多様な組織が集う地区を整備し、新薬創出につなげてきているといわれていますが、わが国の製薬業界は、そうした「オープンイノベーション」の取り組みで後れを取っているというのです。

 このような場所には特許事務所も入所し、いろいろな相談に応ずることができる有能な弁理士が所在すればよいな、と私は思っています。

 

2.「日本国憲法」は昭和23年5月3日に施行されて現在に至っていますが、安倍首相は最後の仕事として、改憲の実現を果たそうと頑張っていることは、新聞等のマスコミが国民に伝えていますところ、彼が学んだ大学の「憲法」の教授は、当時若手の憲法学者として著名な佐藤功先生でした。阿部さんも佐藤先生から、第9条の立法精神と意味内容を、しっかりと教えられたことと思いますから、もし佐藤先生が天国で聞いておられたら、悲しまれることでしょう。

 安倍さんの後継ポストを狙っているという岸田文雄さん(自民党政調会長)が、改憲の意欲を示していることを最近の新聞が伝えていますところ、岸田さんは在学中に誰に憲法を学んだのか不明ですが、第9条の立法精神についてはきちんと学んだはずです。今回の彼の発言は、自民党総裁の椅子を得るための打算であるように思います。

 最近の新聞によると、もう1人、改憲へ動く自民党の役員がおり、それは、これまで憲法議論には距離を置いてきた二階俊博幹事長であります。二階さんは、私と同学で佐藤功先生から憲法を学んだ学生であったはずですが、党内の立場としては、総裁の命令にしたがわざる得ないのでしょうか。

 私は、政治色いかんに関係なく、第2章「戦争放棄」のための第9条の規定改正には大反対です。この規定こそ、日本国憲法が「平和憲法」といわれる所以であり、世界各国の憲法の範なるべき規定なのであります。

 

3.以前、本欄でも紹介しました今年2月に96才で死去された故ドナルド・キーン名誉教授のお別れ会が、9月27日にニューヨーク市のコロンビア大学であったというのです。帰化された日本からは養子のキーン誠己さん(69才)が出席して話をされたとのことです。200人の参加者の間では、キーンさんの近松門左衛門や松尾芭蕉の研究のほか、日本の作家らとの幅広い交流やオペラの思い出を話し合ったということです。(産経新聞2019年9月29日27頁)

 

4.わが国のマンガ作家が創作した原画作品が、時に各所で展示されていることについては、以前この欄で、竹宮恵子さん(京都精華大学教授)の原画展が神田神保町の小さな画廊で開かれたことを紹介したことがありますが、今年9月に京都であった国際博物館会議(ICOM)では、英国と韓国と日本の博物館関係者が、マンガ原画の保存と展示をめぐって議論したというのです。(朝日新聞9月25日夕刊2頁)

 日本文化の代表格となったマンガの原画は、芸術作品としての評価が高まっている中で、各地で始まっている原画の散逸や劣化を防ぐための取り組みが始まっているというのです。

 原画は紙に描かれるため、酸化や色落ちなどで劣化しやすいため、秋田県横手市の増田まんが美術館では、収蔵する原画を1枚ずつ中性紙に挟み、24時間体制で温度20度,室温55%で収蔵庫内で保存し、6万2千枚は高精度スキャナーで読み込んでデジタル保有しているというのです。

 日本ではまだ関心が低いようですが、欧州では、制作過程や作者のタッチが表れる原画を重視する傾向が高く、2018年には手塚治虫の原画に3500万円の値がついたそうです。以前本欄で紹介しました8月26日まで約3か月間大英博物館で開催された日本マンガ展でも、大事なのは原画であったし、「大英としても原画を積極的に集めたい。」と、マンガを企画したニコル・ルマニュールさんは述べています。

 原画は、印刷するための版画でもあり、国内にはマンガ家の手元や出版社などに計5千万枚が残っていると推計されるというのです。ルマニュールさんによれば、「原画が保管されているのは作家の押入れが多い。博物館で展示したい原画が見つからないこともあった」というのです。これはわが国も文化庁において考えるべき問題であると思います。

 なお、わが国では「サブカルチャー」と位置付けられているマンガを、大英博物館が取り上げたことについて、現地では「ハイカルチャー」ではないと批判する英国メディアもあったといわれていますが、今回は、普段は博物館へ来ないような若者の来場が多かったというのです。

 この問題は、日本マンガ学会の会員であり、特に著作権問題を担当している私としては、原画の著作権の効力について関心のあるところです。

 

 

5.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の3件について紹介します。

 

(1)立体商標「コンクリート製杭」拒絶審決取消請求事件:知財高裁令和1年

   7月24日(3部)判決<請求棄却>➡G−269

(2)「公衆送信権侵害」発信者情報開示請求事件:東京地裁令和1年9月4日

   (民40部)判決<請求認容>➡D−128

(3)登録意匠「検査用照明器具」意匠権侵害差止等請求控訴事件:大阪高裁

   令和1年9月5日(8民部)判決<いずれも請求棄却>➡A−72−1

 

 

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