USHIKI INT'L PATENT OFFICE

e-NEWSLETTER


 


あなたは番目のお客様です

 
2018年9月1日



 
近 況 雑 感

1.日亜化学工業(株)が8月17日に発表したプレスリリースによりますと、

「ドイツ連邦最高裁判所は、2018年7月19日の判決(事件番号:2 Ni 55/16(EP))において、日亜欧州特許第936682号(所謂YAG特許)のドイツ特許部分(第69702929号)を有効であると判断しました。裁判所は、台湾LEDメーカーであるEverlight Electronics.,LTD.(以下、「Everlight Taiwan」といいます。)のドイツ子会社であるEverlight Electronics Europe GmbH(以下、「Everlight Europe」といいます。)によって提起された無効訴訟を全面的に棄却しました。この判決は確定しておらず、敗訴者側が上訴する可能性があります。

 Everlight Taiwanは、既に1回目の無効訴訟において日亜YAG特許を攻撃しましたが認められず、2016年8月16日付のドイツ連邦最高裁判所の終局判決(事件番号:X ZR 96/14(../2016/2016_081701.html))において全面的に棄却されました。したがって、2018年7月19日付の連邦特許裁判所の判決によって、日亜YAG特許のドイツ特許部分の有効性が再度認められたことになります。

 当該無効訴訟の訴額は連邦特許裁判所によって730万ユーロに設定されました。裁判所は訴額を、Everlight Europeが主張した250万ユーロから大きく増加させました。この訴額に関する決定も確定しておらず、敗訴者側が上訴する可能性があります。

 連邦特許裁判所は、訴額の決定の理由付けとして、現在もドイツにおいて以下の侵害訴訟が係属しており、日亜YAG特許の有効性が重要であること、およびこれら侵害訴訟の訴額の合計額に言及しました。:連邦最高裁判所に係属している日亜対Everlight Taiwan及びEverlight Europe訴訟(事件番号:X ZR 5/17)、デュッセルドルフ地方裁判所に係属している日亜対Everlight Taiwan 及び Everlight Europe訴訟(事件番号:4b O 161/17)、デュッセルドルフ地方裁判所に係属している日亜対販社であるEBV Elektronik GmbH & Co. KG 及び EBV Management GmbH 訴訟(事件番号:4b O 20/17)、デュッセルドルフ控訴裁判所に係属している日亜対WOFI Leuchten Wortmann & Filz GmbH (Everlight Taiwanのドイツ語会社)訴訟(事件番号:I−2 U 33/17)」 

 私は、中村修二の職務発明訴訟(1)で有名になった日亜化学工業(株)が有する外国特許権をめぐる訴訟事件についての記事を、あえて本HPで紹介したのは、四国徳島県の地方都市に本社工場を有する企業が、ドイツという外国において取得した特許権の有効性が争われた連邦最高裁事件で、勝訴したことの偉大さを喜んでいるからです。

 なお、ドイツ国における同社の特許権の有効性が確認されたことにより、同社は同国における権利侵害者に対して今後、損害賠償請求訴訟を継続していくことになるでしょう。

 「日亜は、白色LED市場において極めて重要なYAG特許を有効であると判断した連邦最高裁判その判決に敬意を表します。日亜は、YAG特許の有効性が、何ら制限を受けることなく認められたことに基づき、特に過去の損害賠償を請求していく予定です。」(2016年8月17日)と記述している。

 また、「日亜は、今後も日亜が保有する特許及びその他知的財産権を保護するために、日亜の特許を侵害するいかなる企業に対しても、全世界において適切な措置を講じ続ける所存です。」(2018年8月29日)と記述している。

 

 (1) 特許法35条をめぐる職務発明の中村修二対日亜化学工業(株)事件については、いろいろな人が論

 評していたが、私は弁理士という職業人の立場から、「発明力より特許力」という論評を発表しているの

 である。

 

2.W.ディズニー社の創作に至るコミックキャラクターの1つに「くまのプーさん」があるところ、この実写版映画の「プーと大人になった僕」という題名の映画を、中国会社が輸入して国内で上映しようとしたところ、中国政府は公開を許可しなかったというのです。理由は明らかにされていないが、プーさんの顔を含む体形が習近平国家主席に似ているというのがその理由だというのです。

 中国内でのプーさんは、民主派などが、習主席を指す隠語として使用していたというが、有名なアニメキャラクターが、政治家に結び付けられていることを習主席は不愉快に思うのではなく、逆にその人気を利用して、自分の立場を国民にアピールするようにしたらいいのではないでしょうか。そうすれば、政治家としての顧客吸引力をより高めることができる人材になる、と私は思うのです。(「産経新聞2018年8月12日6頁」)

 

3.私は、CANCUNという地名を聞いて懐かしいと思ったのは、ここはかつてWTOのTRIPS’AGREEMENTが締結されたメキシコのリゾート地であるからです。この協定の中には「意匠(ID)」に関しては第25条と第26条とがあり、特に第25条第2項には、ファッション性の強い textile designs のような意匠については、

"unregistered designs"の保護を規定しており、韓国はこの協定を批准し、この規定を国内法に一早く導入しているのです。その点では、わが国はIDの保護問題については、世界的レベルにまで達していない後進国のようにも思われます。(2)

 この地において、AIPPI総会が、今年9月25日から開催されるのです。私はかつて、中南米ではメキシコシティ,サンパウロ,ブエノスアイレスで開催された同総会に出席しましたが、今回は出席しません。

 

 (2) この問題については、牛木理一「日本の意匠保護制度のあり方」パテント 1995年11月号.同「テ

 キスタイルデザインの法的保護」パテント 1997年3月号参照。 

 

4.4月27日に死去された妻の朝丘雪路さんの後を追うように津川雅彦さん(78才)が8月4日に死去されました。若い時から二枚目俳優として人気者であったところ、近年はどういうわけか北朝鮮による拉致問題の早期解決を訴える政府の啓蒙ポスターに登場しているパーソナリティであったから、残念であります。津川さんの死を無駄にしないためにも、日本政府は北朝鮮政府と早く外交交渉に入るべきであります。特に小泉元首相当時の官房副長官で北朝鮮へ同行した安倍首相こそは、北朝鮮による拉致問題を解決し得る適任者であると私は思います。

 また、沖縄県知事の翁長雄志さん(膵臓がん・67才)が8月9日に死去されましたが、病気には勝てなかったのです。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設阻止の運動を続けていたのですが、残念なことです。

 「ちびまる子ちゃん」で有名な漫画家さくらももこさんが乳癌のため8月15日に死去されました。53才の若さです。この知らせは、香港,台湾の8月28日朝刊各紙に掲載されたことがわが国の夕刊に報じられています。これによると、人気アニメの主人公の中国名は「桜桃小丸子」となっています。(朝日新聞2018年8月28日夕刊.11頁)

 原作者は静岡市清水区(旧清水市)の出身であることから、市内のマンホールの蓋には8月末から「ちびまる子ちゃん」の絵が表現されているといわれ、これは原作者が静岡市に寄贈したものであるといわれています。

 この蓋は直径が63cmで、お茶と富士山と駿河湾をコンセプトにデザインされ、そこには赤色と黄色の帽子をかぶったまる子ちゃんが描かれています。(産経新聞静岡版 2018年8月12日 20頁)

 

 もう1人の有名人の死去をお知らせしたいのは、音楽家の森岡寛一郎さん(肺炎・84才)です。彼は多くの歌手の曲の編曲家として著名であり、ブルー・コメッツの「ブル・シャトウ」,菅原洋一の「今日でお別れ」,加山雄三の「君といつまでも」などがあります。また、作詞家の鳥井実さんは帯広市に移住されていて、8月30日に死去されました(肝細胞がん・93才)が、「命かれても」,「だんな様」などを作詞されています。

 

5.知識の取得は偶然が重なることがあります。平日の朝は、家でとっている朝日新聞には必ず目を通していますが、週末は山小屋に行くので新聞を見る機会はありません。しかし、最近、近くにコンビニが開業したので、おでんやコーヒーなどと共に朝日新聞を買ってきますところ、9月2日号の付録「GLOBE」をめくったら、佐渡島の清酒「真野鶴」の5代目蔵元である尾畑留美子さん(1965年生)が紹介されていました。この人は、慶応大学法学部卒業で、1988年に日本ヘラルド映画社に入社し宣伝部にいたのですが、1995年に結婚退社し、次女であったが、家業を継ぐことになったのです。ある日、コネはなかったがエールフランス社に「真野鶴」を売り込んだら、1年後の2003年には採用され、機内用に1合瓶の生産を開始し、その後は米国へも輸出し、現在は15か国に輸出しており、その売り上げは全体の7%を占めるまでに成長したというのです。

 なお、尾畑酒造の酒蔵の販売店では、北朝鮮に拉致された曽我ひとみさんと旧米軍人との間に生まれた娘が勤務している姿を、私は佐渡へ旅行した時に、尾畑留美子さん(専務)と共に拝見したことがあります。

 

 

6.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の4件について紹介します。

 

(1)登録商標「NEONERO」商標権侵害販売差止等請求事件:知財高裁

   平成30年2月7日(2部)判決<原判決取消/請求棄却>➡F−61−1

(2)部分意匠「放熱フィン付検査用照明器具」無効審決取消請求事件:知財高

   裁平成30年6月27日(4部)判決<請求棄却>➡B2−27

(3)登録意匠「コート」無効審決取消請求事件:知財高裁平成30年7月19日

   (3部)判決<請求棄却>➡B2−28

(4)登録商標「図形タカギ」商標権侵害差止等請求事件:東京地裁平成30年

   7月26日(民46部)判決<一部認容>➡F−71

 

 また、第1.5 特別論文「インダストリアルデザイン―その美と保護の研究―」の第6回分を今月号に発表しますので、お読み下さい。➡1.5−9

 

7.このHPに掲載されている私の論文,論説には著作権が与えられていますので、無断複製を禁止いたします。引用される場合には、必ずその出所を明記して下さるようにお願いいたします。 All Rights Reserved.


 
    牛 木 内 外 特 許 事 務 所
  弁 理 士  牛   木   理   一

〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町3丁目27番地
大洋ビル4階(秋葉原駅東口5分)
(併設)有限会社 IPビジネスコンサルティング
TEL:03−3866−3503
FAX:03−3866−8319
 e-mail:upat@blue.ocn.ne.jp