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2018年11月1日



 
近 況 雑 感

1.衆議院議員の原田義昭さん(74才)は、今年9月の第4次安倍内閣において、ようやく国務大臣(環境大臣)に抜擢されました。彼は通産省出身で、特許庁工業所有権審議室にもおられ、私は当時の原田さんをよく知っているおります。衆議院議員の当選8回で、就任待望組の1人でありましたところ、ようやく今般、あまり関係のない分野の大臣に就任されましたが、特許法等の改正問題の審議時には公害等を惹起するような新発明の特許問題に対しては、何らかの制限を加えるような発言があっても然るべきでしょう(特許法32条参照)。また、特許権や意匠権の存続期間の延長問題についても、何らかの発言があってもよいと思います。いずれにせよ、こんご弁政連の大会などがあればお会いしたいと思っているところです。

 ちなみに、現在最高裁判事をされている山本康幸判事も通産省出身の公務員であり、原田さんの後任として特許庁工業所有権審議室におられた人です。

 

2.長年、英国バーバリー社との間で商標権の通常使用権契約(ライセンス契約)をしていた(株)三陽商会は、3年前に契約が更新されず終結すると、翌年の決算で純損益が過去最大の赤字に転落し、今も「バーバリーショック」から完全に立ち直れない状態がつづいているというのです。(朝日新聞平成30年9月17日29頁)

 同紙によると、英国の本家が、三陽商会との間の40年以上にわたる契約を更新せず解除したのは、本家がブランド価値の管理に本腰を入れたからだといわれています。即ち、比較的安価な日本のライセンス商品と英国で製作した本家商品との品質の異同について顧客はよく知らないから、高価な英国製品よりも安価な日本製品の方を買う人が多いということが、ライセンスを更新しなかった理由のようです。つまり、同一商標をめぐるライセンス商品の二重構造が問題となったのです。

 しかし、一般消費者から見れば、使用料(royalty)は1着について10%位が普通ですから、販売価格は輸入品の本物より安価にしなければ顧客は買わないという消費者心理も実際にはあると思います。そうであれば、英国本家としては日本国内への販売は遠慮すべきであると思うのですが。

 

3.私は、9月1日の「近況雑感」の1.において、日亜化学工業(株)のドイツ特許権に対する特許無効訴訟事件で、請求は棄却されたことを記載しましたが、このデュッセルドルフ高裁の判決に対し不服のEverlight Europe社は、ドイツ連邦最高裁への上告受理の申し立てを全面的に取り下げましたので、日亜化学工業(株)に対する特許権侵害が確定することになりました。

 ところで、特許権の効力とは、その「クレーム」の内容いかんにあるのであって、「発明」の内容いかんにあるのではありません。そして、「クレーム」を作成する者は代理人弁理士ですから、それに対する特許無効請求が取り下げられたということは、「クレーム力」がいかに強力であったかを意味します。私は「発明力よりクレーム力」という論文を発表したことがありますが、特許権者や職務発明者の皆さんは、弁理士が発揮する「クレーム力」という言葉を吟味し感謝して下さい。

 

4.私は本欄の10月1日号で、岡口基一判事が最高裁における分限裁判にかけられていることを書きました。それは、彼がツイッターで、東京地裁の他部が扱った私事の小さな裁判に対する批判の発言は、裁判官という身分を忘れ、憲法が保障する言論の自由の原則をはき違えて解釈していることに対する最高裁大法廷における裁判が10月17日にあり、戒告処分の決定が出されました。懲戒の場合は、「戒告」又は1万円以下の過料となりますが、大法廷は前者の決定をしたのです。

 この決定は当然であり、彼が裁判官をやめることを示唆しているのですが、彼は辞める気はないようです。

 しかしながら、彼は法律家であり、裁判官という職業人でありながら、憲法で規定する「言論の自由」の意義を理解していない人物でありますから、もし裁判に対して私思を言いたいのであれば、裁判官を引退した後にすればよいのであります。

 あの産経新聞ですら10月21日(日)2頁の「主張」では、「品位辱める言動許し難い」との見出しで、「担当外の裁判官が勝手気ままに提訴や判決について投稿することを許せば、判事とは審理を経ずに結論を出すものとの印象を広く世間に与えることになる

。」と批判しています。岡口基一判事のような人物に対しては、こんご高裁部に当たった事案について、同判事には「裁判官について裁判の公正を妨げるべき事情がある」(民訴法24条1項)ことを理由に、当事者は忌避を申し立てることができると思うのです。

 

5.わが国を代表するファッションデザイナーの芦田淳さん(88才)が死去されました。芦田さんは、皇太子妃時代の皇后美智子さん(84才)の衣装を手がけられた人として有名になりましたが、高校卒業後に、少女画家で有名な中原淳一さんに師事し、また1960年から高島屋と帝人の顧問デザイナーとなり、わが国におけるプレタポルテの先駆者といわれた人でありました。彼のデザインの特徴は、上品で優雅で洗練されていることにあり、1966年から10年間、美智子皇后の専任デザイナーを務められたのです。

 新聞によると、芦田さんが服作りで最も大事にしたことは、「愛を込めること。」「生地を愛せば、生地がこうして欲しいとささやく」「偽りのない気持ちで作った服の良さは、着る人、見る人に必ず伝わる。」というのが信条だったと書いています。(朝日新聞2018年10月28日(日)33頁)

 このような芦田さんのファッションデザイン作りの考え方は、プロダクトデザインの創作にも通ずるものであると私は思います。

 生地のささやきとは素材が生かされているということを意味しますから、素材が木材であろうと金属材であろうと、それで新しいデザイン製品を手に取って見る者には、製品からのささやきが明瞭に聞こえてくるのです。

 グッドデザインといわれる製品を見ると、使用者の立場に立って創作した製品を提供しているのがわかるのであり、創作者の個性を発揮している美術工芸品とは異なるのです。

 

6.新潟出張時に必ず購入する「新潟日報」の平成30年10月13日(土)8面の写真入り記事を見て驚いた。株式会社フタバが自社工場兼研究所をリニューアルし、その一部を販売スペースとし、そこでは小売り向けの「UMAMI」ブランドのだしパックやだしつゆ、炊き込みご飯の素などを販売しているというのです。店舗は、ガラス張りの開放的な雰囲気で、カフェのようなカウンターを設置しています。こんごは、製造工程に関心を持ってもらうために、来年はオープンファクトリー化やカフェのオープン化を計画しているというのです。

 同社がこれらの役務の提供に使用しているのが、当所で出願代理した次に示す登録商標です。

 

7.TBSが10月14日(日)午後9時から開始した日曜劇場「下町ロケット」には、本舞台は東京であっても、そのロケ地には「ものづくりの町」である新潟県燕市粟生津地区の農家と農地が選ばれ、稲刈時期にトラクターを駆動するエンジンに使用する材料についての実験などをしている様子が出ていまして、この中には特許権侵害事件がからんでいるというのです。このドラマの主役には阿部寛がおり、脇役には立川談春や池畑慎之介などがいますが、特許権侵害がからむドラマということなので、どのような展開になるのか興味がそそられます。ただ映像を見る限り、大厚書類のファイルは出てきますが、弁理士などが特許公報や製品を前にして「特許クレーム」を解釈したり侵害の有無などを議論しているような熱烈なシーンがないのは、視聴者の関心を半減させていますが、これからどのような展開があるのかわかりません。あるいは、特許権侵害問題は一過性にすぎないストーリーといえるのでしょうか。

 

 

8.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の4件について紹介します。

 

(1)他人の営業表示「WDSC」不正使用損害賠償請求事件:東京地裁平成30

   年1月23日(民29部)判決<控訴棄却>➡C2−40

(2)他人の営業表示「WDSC」不正使用損害賠償請求控訴事件:知財高裁

   平成30年6月27日(2部)判決<控訴棄却>➡C2−40−1

(3)「ブラウス」商品形態不正競争行為差止等請求事件:東京地裁平成30年7

   月30日(民29部)判決<請求棄却>➡C1−78

(4)登録商標「LIGHTING SOLUTION」商標権侵害差止等請求

   事件:大阪地裁平成30年8月28日(21民部)判決<請求認容>➡F−73

 

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