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2019年12月1日



 
近 況 雑 感

1.「 ノーベル賞を受賞する吉野彰さんのリチウムイオン電池開発は 基礎研究から始まった」との見出しの1行目から始まる記者解説「後退する基礎研究」を読み、いかなる問題の解決のための研究でも、その科学分野の基礎から始まるのだとの記事を、朝日新聞2019年10月28日(日)9面で読み、久し振りに感銘を受けました。また、その見出しには「競争攻撃で弱まる」とは、わが国産業界の現実の姿を記述しています。(同紙大阪科学医療部・嘉幡久敬記)

・特許法の保護対象である「発明」の定義を考えると、創作される新しい技術的思想はすべて基礎研究から始まるものであることを説いているように私は思います。 

 私が長年研究を続けて来た意匠法については、独学で基礎研究から始めているのであり、それをまとめて発表したのが「インダストリアルデザイン―その美と保護の研究」(パテント 1967年9月号〜1968年3月号)なのです。この小論文の内容こそが、意匠法の基礎研究を始めた集大成であり、意匠法の哲学を論じているものなのです。私は、もともと弁理士という職業を有する実務者ですが、受験期には、大正10年法(旧法)時代の最後の時であったことから、昭和34年法(新法)との両法を学習せざるを得ない幸運な(?)時代であったのです。

 幸いにも大学を卒業した年に合格したから、すぐに弁理士登録をして地方の特許事務所に就職したのですが、当時は、特許法や商標法の分野についての教科書や論文はいろいろ刊行されていましたが、意匠法に関しては殆どありませんでした。それが、私をして意匠法の研究を促した動機であり、それも全く無知であった意匠法の本質の研究から始めることを教えてくれたのです。

 そして、その成果をまとめたのが前記論文であり、当所のHPの第1.5にも掲載しているのです。換言すれば、何人も研究していない法分野をその基礎から探求してみると、意匠法の存在意義や意匠の類似やその周辺法との関係などが容易に解析することができたのです。

 同様の事理は、特許法,商標法,不正競争防止法,著作権法などの知的財産法の各分野についても言えるのであり、皆様におかれても、各法の基礎研究である本質は何であるのかの究明から始めてみなさい、と私は言いたいのです。 

 

2.ノーベル賞で有名人になった本庶佑さんがまたしても、新聞記事となって登場したのが「本庶氏,小野製品提訴へ」「オプジーボ対価 150億円求め」との見出しであります。(産経新聞7月28日2頁)

 この記事によると、がん免疫治療薬「オプジーボ」の特許使用料をめぐり、本庶佑さんが、製造販売元の小野薬品工業(株)に分配金150億円の支払いを求めて、大阪地裁に提訴する方針を固めたというのです。本庶氏が問題とするのは、小野薬品と米国で同薬を販売するブリストル・マイヤーズスクイブが、米国の大手製薬会社メルクに対し起こした特許権侵害訴訟で、2017年の和解時にメルクと決めた対価の支払い配分についてであるというのです。当時、小野薬品は本庶氏に訴訟への協力を求めた際に、メルクから受け取る金額の10%を対価として支払うと提案したが、その後に撤回したというのです。

 小野薬品としては現在、本庶氏に支払う対価26億円を法務局に供託しているとのことですが、本庶氏としては、メルク支払い分の対価が今年3月末時点では、当初の提案より150億円少ないとして差額を求める意向だというのです。

 小野薬品は昨年11月に、対価は見直さず新たに京都大学へ寄付する方針を本庶氏に伝えたというのですが、そもそも対価の支払いは、本庶氏という発明者であり特許権者個人に対するものなのか、それとも同氏が所属する研究室を有する大学が特許権者となっているのか、私にはわかりません。

        

  (産経新聞2019年7月28日(日)記事から)

 なお、本庶佑さんは、静岡県公立大学法人顧問であることから、静岡県民栄誉賞を贈呈されたとのニュースが入っていました。(2019年2月26日「静岡県だより」)

 

3.次に、2019年改正意匠法の施行日は、2020年4月1日と決定しましたが、それまでは現行意匠法が適用されるのです。したがって、前回もお知らせしたように、現行意匠法第3条2項の適用は、「頒布刊行物やインターネット上の意匠」については不可だということであり、「事実上公然知られた意匠」との関係について、容易創作できた意匠の場合に対してだけに、適用は限られることが明確になったといえるのであります。これは私説ではなく、公説というべきものです。

 ですから、意匠登録出願をしたい人は、2020年3月31日までに出願した方が、結果的には有利な場合が多いだろうと私は勧めているのです。

 ただ、存続期間のことを考えると、改正法では出願日から25年間となりますので、これとの関係を考慮してみることです。(現行法は登録日から起算して20年間)

 その他、大きな改正内容となっていますから、詳細についてはお問い合わせ下さい。今回の意匠法の改正内容は、特許法等の陰に隠れていますので、要注意です。

 

4.朝日新聞11月5日(火)22面のトップ記事の見出しに、「最高裁判事 女性の視点あると」とあり、元判事3人がパネルディスカッションをされていました。この記事は、2013年〜2017年には最高裁判事として3人の女性がおり、この数は過去最高の時期だったというのですが、このうち鬼丸かおるさんは弁護士出身、桜井龍子さんは国家公務員(労働省)出身、岡部喜代子さんは裁判官出身です。最高裁にあっては大合議体(15名)は別として、通常は3つの部に分別しており、女性判事は各別に所属していますが、担当する裁判内容は男性判事との合同ですから、区別はありません。

 そこで、私が言いたいことは、これらの判事の皆さんはその経歴から見て、特許権,意匠権,商標権,著作権等の知財法の知識や経験がほとんどない方なのに、妥当な判断ができるのだろうかという疑問です。調査官が全部アドバイスをするのだから問題ないといわれますが、それではご自分の頭脳で独自に考えて判断する状態にはならないのです。

 そうすると、最高裁としては、女性を最高裁判事に任命する基準は何であるのかを明らかにしてほしいのですが。しかし、同様のことは、男性の場合についても言えるのです。

 

5.世界的な有名ブランドである「ヨネックス YONEX」の創業者である米山稔さんが11月11日に老衰のため死去されました(95才)。米山さんは長いこと、東京新潟県人会の会長をされておられ、私はかつて県人会の新年会で会った時に話をしたことがありますが、優しい笑顔の人でした。その米山さんは、太平洋戦争中の沖縄戦では米軍と戦い無事生還したというのです。復員後は、生家のある越路町(現長岡市)において、1957年からバドミントンラケットの製造を始め、その後はテニスラケットやゴルフクラブなどの分野に拡大したのです。(新潟日報2019年11月16日)米山稔さんの死亡記事は全国各紙にも掲載されていました。

 また、新潟日報の同じ紙面には、1977年に新潟市寄居浜から拉致された横田めぐみさん(13才)の母校の中学校や小学校の「同級生の会」の11人が、11月15日に合唱コンクールの練習をしたとの記事が写真入りで出ていました。

 また、わが国の戦後の総理大臣として偉人の1人である中曽根康弘さん(101才)が老衰のため死去されました。群馬県高崎市の出身で昭和16年に旧東大法学部を卒業後は内務省に入庁され、その後、海軍主計中尉になられた人物で、戦後は昭和22年1月に内務省を退職後は衆議院議員となり、連続20期56年間、同議員を務められました。中曽根さんは戦後のわが国政治の中核を占められた1人として忘れることができない人物です。

 

 

6.有斐閣が発行し続けて現在も刊行している雑誌等が電子書籍として利用提供されている中に、かつて私が執筆したものもあるから、毎年、「利用・提供状況のご報告」という文書が有斐閣から郵送されて来ます。最近、来た「報告書」には次の3件があり、「コンテンツ利用料」も僅かながら記載され、指定銀行に振り込みされていたのです。私自身は遠い昔に書いた文章で忘れている内容のものでありますが、出版社は著作権法に基づいて著作権者である私に毎年支払っていることを報告しているのです。ありがたいことです。

 

  

 

 

7.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の4件について紹介します。

 

(1)商品形態「イッセイミヤケ作品」不正競争行為差止等請求事件:東京地裁

   令和1年6月18日(民46部)判決<一部認容・一部棄却>➡C1−85

(2)商品形態「携帯用ディスポーザブル低圧持続吸引機」不正競争行為差止等

   請求控訴事件:知財高裁令和1年8月29日(4部)判決<控訴認容>

   ➡C1−83−1

(3)「住宅地図」特許権侵害損害賠償請求事件:東京地裁令和1年9月17日

   (民46部)判決<請求棄却>➡E−27

(4)登録商標「らくらく」無効審決取消請求事件:知財高裁令和1年10月9日

   (3部)判決<請求棄却>➡G−270

 

 

8.このHPに掲載されている私の論文,論説には著作権が与えられていますので、無断複製を禁止いたします。引用される場合には、必ずその出所を明記して下さるようにお願いいたします。 All Rights Reserved.


 
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