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2017年4月1日



 
近 況 雑 感

わが国においては、4月1日が新年度の初日となっていますから、公的機関における予算の支出も新たに開始するところ、この事とは関係はないけれども、当所が最近扱った2つの商標登録出願が、難関を突破して登録査定となった事実を紹介しておきたいと思います。

@標準文字書体の「霧島黒豚」(商願2015−70771号/不服審判2016−6797号)

 この商標は、平成27年7月23日に、【第29類】【第30類】【第35類】に係る商品や役務を指定して出願しましたが、審査の段階では商標法3条1項3号が適用され拒絶査定を受けました。そこで、不服の審判請求をし、出願中に提出していた法3条2項の適用を可能とする使用事実の証拠を、さらに増加して提出したところ、「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」と認定され、平成29年3月 17日に登録第5932181号として設定登録することができたのです。これらの証拠資料は私的なものではなく、第三者機関によって印刷発行された文献でしたから、数はさほど多くなくても、客観的に説得力がある内容の資料と認定されたのだと思います。(林兼産業株式会社・山口県下関市)

A図形+文字標章「  」(商願2015−11102号/取消審判2016−6797)

 この商標は、平成27年11月12日に【第8類】【第21類】を指定商品として出願しましたところ、登録第4713013号に係る文字商標「灯台」と類似することを理由に拒絶理由通知を受けたので、この引用商標に対し、出願人が現実に使用している商品に限って不使用取消審判を請求しましたところ、被請求人は答弁書を全く提出しなかったことから、取消請求は認容され、拒絶理由は解消されました。そこで、その旨を審査官に上申書を提出した結果、登録査定となった次第です。設定登録されるのは間もなくですから、後日、登録番号と年月日は本欄において追記します。(株式会社トーダイ・新潟県燕市)なお、この出願に対しては、東京大学の略称「東大」(登録商標)も引用されたことがありましたが、「灯台」の図形のおかげで、混同はしないと判断されました。→平成29年3月31日に登録第5936521号として設定登録されました。

 たまたまこの1か月間に2つの商標登録出願に対する拒絶理由通知が覆った身近な事例を挙げましたが、これらは依頼人が代理人弁理士の助言を信頼して実行した結果であると思います。多少の費用がかかることから、弁理士の助言を受け入れない依頼人も中にはおります。 

 

ところで、筆者が以前から知財高裁に提出したいと思っている事案は、意匠登録出願において、意匠法3条2項の適用をその立法趣旨や解釈を考慮せずに適用する審決があり、この審決を取り消さず請求棄却をする知財高裁判決が存在することです。すると、このような知財高裁の判決に対しては、「その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件」として、上告受理の申し立てが可能な事案となると思うのです(民訴法318条1項)。

 もし出願意匠について、意匠法3条2項の適用を受けている出願人や代理人がおられましたら、逆転させる自信がありますから、ぜひご相談下さい。

 

3.本欄の2016年2月1日号で紹介しました「別冊ジュリスト・著作権判例百選」第5版の発行をめぐって有斐閣を相手に出版差し止め仮処分申請をしていた大渕哲也さんが敗訴して特別抗告をしていた事件で、最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)は平成29年3月21日に棄却の決定をしたのです。理由は、「裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があった」(民訴法337条5項)という事案ではなかったからです。これに対して不服の大渕さんが本訴を起こすことになるのか不明ですが、大渕さんの良識に期待したいと思います。

 ところで、大渕さんが編集者として登場している「別冊ジュリスト」は他にもありますが、それらの改訂版の発行はまだメドが立っていないようです。もし前記事件が影響しているのであれば、本訴が提起されなければ、有斐閣としては新編集者の下で進行することになるでしょう。読者らはそれを待っているからです。その中には筆者もいます。

 

4.京都市に「京都国際マンガミュージアム」という会館が存在していることは、以前にも本欄で紹介したことがありますが、最近、初代の館長の養老孟司(鎌倉在住)から、荒俣宏さんに交代したとのニュースが入りました。養老さんを館長に推薦したのは、一口マンガの作家として有名な牧野圭一さんでしたし、京都精華大学や京都造形芸術大学の教授を長年務められていたこともあって、牧野さんが適任ではないかと思っていました。

 荒俣さんの話は、日本マンガ学会における討論会で拝聴したことがあり、またテレビやラジオにも登場している文芸評論家ですから、有名人ではあります。

 ところで、私が現在理事をしている日本マンガ学会の総会・大会が、今年6月24日・25日に新潟市で開催されることになっています。ところが、私が会員である日本アニメーション学会の総会・大会が青森市で、やはり同日に開催されることになっていますので、両者の会員となっている者にとっては悩みの種です。私は、キャラクターの著作権問題を研究している者ですから、両学会に所属しているのです。

 

5.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の6件について紹介します。

 

(1)登録意匠「薬剤吸入器」無効審決取消請求事件:知財高裁平成29年1月17

   日(4部)判決<請求棄却/審決取消>➡B2−22

(2)登録意匠「運搬台車」意匠権侵害差止等請求事件:東京地裁平成29年1月

   31日(民46部)判決<請求棄却>➡A−68

(3)登録意匠「美容用顔面カバー」意匠権侵害差止等請求事件:大阪地裁平成

   29年2月7日(21民部)判決<請求棄却>➡A−69

(4)特許出願「空気入りタイヤ」拒絶審決取消請求事件:知財高裁平成29年

   2月7日(4部)判決<請求認容>➡I.1−10

(5)出願商標「NYLON」拒絶審決取消請求事件:知財高裁平成29年2月23

   日(4部)判決<請求認容>➡G−227

(6)登録商標「エマックス」不競法差止等請求本訴・商標権侵害行為差止等請

   求反訴事件:最高裁平成29年2月28日(三小)判決➡F−65 

 

     

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