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2020年2月1日



 
近 況 雑 感

1.特許法をはじめとして意匠法の改正法施行が来る4月1日から始まるとのことで、企業等の法人も個人もいろいろと準備に入っていると思いますが、注意しておきたいことがあります。

 それは、各改正法の付則第2条の規定です。例えば意匠法の一部改正に伴う経過措置として「意匠法第3条第2項の規定は、改正法施行日以後にする意匠登録出願について適用し、施行日前にした意匠登録出願については、なお従前の例による。」と規定していることです。ということは、現行法と改正法とは、第3条2項の規定内容も解釈も全く別異であるから、よく注意して下さいよ、と立法者は叫んでいるのです。けだし、新旧の両規定の適用趣旨は全く別異のものであることを意味するからです。

 

2.私は本欄の昨年5月1日号において、ノーベル医学・生理学賞を受賞された本庶佑先生が、小野薬品工業(株)と締結していた特許権契約による対価が安価であることを理由に、対価を受け取っていないことをお知らせしました。その際、私は会社側が支払うべき対価の支払いは、特許権の存続期間中であるから、もし存続期間が満了した後はどうなるのかという問題は、将来残ることを指摘しておりました。

 ところが最近、当該特許権の特許番号を知りましたので、特許庁における特許登録原簿を調査したところ、次の事実を確認することができたのです。特許第    号に係る特許権の出願日は    、登録日は    です。すると、この特許権の存続期間はすでに満了しているのです。

 また、私は本欄の昨年12月1日号において、本庶佑対小野薬品工業(株)との関係について述べましたが、この問題は米国における特許権侵害訴訟事件が和解で終結したことに対して、メルク社から支払われた損害賠償金の受け取り金額の配分のことのようです。ということは、米国特許権の存続期間はまだ満了していないようです。

 

3.久し振りに福井建策先生の漫談風の講演会を日本弁理士会館において拝聴しました。テーマは「AIロボットと著作権の法実務―その現状と未来」であり、私が願望していた問題について、詳しくかつ解り易く説明を聴くことができました。

 その中で私が最も注目した問題は、「消える職業リスト」について、今後10〜20年以内にコンピュータやロボットに「仕事を奪われそうな職業」対「奪われそうにない職業」についてでした。その中に、前者については「簿記会計事務」98%、「銀行など融資担当者」98%があり、後者については「弁護士」3.5%,「画家・イラストレーター」4.2%とあります。

 「弁理士」については特に記載はありません。しかし、特許出願のための明細書や図面の作成は、出願人や依頼者がある程度してくれるかも知れませんが、クレームの作成だけは代理人たる弁理士の仕事になると思います。しかし、商標専門や意匠専門の弁理士にあっては、類否判断はすべてロボット君がやってくれるでしょうから、失業者となるおそれが起こることになるかも知れません。

 一方、医師については0.4%,小・中学校の教師は0.4%〜0.8%,カウンセラーは0.5%,そしてライター・作家は3.8%とありました。これを見ると、直接人間に対応する職業にあっては、ロボットが代理することは困難なようです。

 ということを弁理士の立場について考えると、事務所に来る依頼者を待って対応するのではなく、工場等の現場へ出向いて、発明者等と面接して会話したり、工場設備を見て説明を聞くという取材をすることが必要であると私は思うのです。そうすればいろいろな質問もできるし、作成する明細書や図面についても、深くかつ濃い内容のものにまとめることができることになるからです。

 いずれにせよ、今後、われわれの仕事にAIの侵入は、その適否にかかわらずより多く近づいてくるものと思われます。

 

4.福井先生は現在、日本大学芸術学部教授をされていますが、同大学同学部卒業の俳優宍戸錠さんが1月20日に死去されました(86才)。彼は在学中の1954年、日活の第1期ニューフェイスに合格し、1955年に「警察日記」で本格デビューし、二枚目スタートして売り出したが、自ら進んで豊頬手術して敵役として活路を開いたといわれています。

 また、直木賞作家の藤田宣永さんが1月30日、右下葉肺腺がんという病気で死去されました(69才)。まだ若いのに、病気の犠牲になったのです。私は若い頃に書かれたハードボイルド風の小説を読んだ覚えがありますが、妻で作家の小池真理子さんの方が先に直木賞を受賞して有名になっていたのであり、彼女は現在、同賞の選考委員の1人になっています。

 それから、歌手の梓みちよさんが1月30日に死去されました(76才)。1962年にデビューされ、中村八大作曲、永六輔作詞の名曲「こんにちは赤ちゃん」がミリオンセラーになり、日本レコード大賞を受賞された人ですが、その後ジャズやクラシックなど幅広いジャンルで培われた歌唱技術は世代を超えた人気を博していました。私は実は、その昔、家族で新潟から東京へ飛行機で帰る時、公演帰りの彼女に会った記憶があります。(2020年2月5日記)

 

 

 

5.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の4件について紹介します。

 

(1)「ファッションショー」映像著作権侵害損害賠償請求事件:東京地裁平成

   25年7月19日(民29部)判決<請求棄却>➡D−130

(2)「ファッションショー」映像著作権侵害損害賠償請求控訴事件:知財高裁

   平成26年8月28日(3部)判決<請求棄却>➡D−130−1

(3)立体商標「ランプシェード」無効審決取消請求事件:知財高裁令和1年11

   月27日(4部)判決<請求棄却>➡G−273

(4)登録商標「南三陸キラキラ丼」無効審決取消請求事件:知財高裁令和1年

   12月19日(4部)判決<請求棄却>➡G−274

 

 

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