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2020年1月1日



 
近 況 雑 感

謹賀新年

 弁理士の職務は、依頼者のために、文と理のシナジー効果を発揮する仕事をすることを使命としているものと心得ており、同時に知的財産法分野の諸問題を本質的に研究することを本文としております。

 

2.年賀状の宛先を書き終わった日に訃報が届きました。元知財高裁統括判事で弁護士の竹田稔先生が昨年11月17日に86才で逝去されたという通知でした。私は、竹田先生とは在職中から親しくしてもらっており、退職近くの頃には秋葉原の拙所に来て将来のことについて話してもらったことがあります。

 しかし、知財法の専門家の立場としては、意匠の類似の法的性質については全く考え方を異にしており、私の創作説に対し、竹田先生は徹底的に混同説のようでした。生前は「知的財産権訴訟要論」(発明協会)という著書において「特許編」と「不正競業・商標編」とを出版されていましたが、「意匠編」は刊行されていなかったのに、それが間もなく出版される予定だというのですから、「意匠編」が遺書となったのでしょうか。この著書の中では、私の創作説に対してどのように攻撃されているのでしょうか、楽しみです。

 竹田先生は富山県(魚津市)の出身ということもあり、新潟県出身の私としては同じ北陸人としての親しみもありましたので、訃報を聞いて今は淋しい思いでいっぱいです。

 私が竹田先生を尊敬するのは、裁判官をやめた人の多くが大法律事務所に就職しているのに対し、最初から独立して法律事務所を設立されたことです。これこそ真の法律家の在り方である、と私は思います。

 

3.今年のノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん(71才)は学者というよりも、1972年に旭化成工業(株)という民間企業に入社した会社員であっのですが、その仕事は専ら企業内におけるアカデミックな研究にあったのであり、吉野さんが1985年に発明したものが、ノーベル賞の選考委員会で対象となり、その発明が特許されたことも証明されたのです。吉野さんに言わせると「特許とは、できるだけ中身がわからんように書くのがコツだから、普通の人には全然わからないんです。」とまで語っているのです。(朝日新聞2019年12月4日15頁「オピニオン&フォーラム」欄)

 その「リチウムイオン電池」の開発は、約4年間で成功したというのです。そして、吉野さんは同社における職務発明に対する報酬についても細かく語られています。「額はちょっといえない」が「発明に対するそれ相当の対価」(成立した特許権に対してではなく)はもらっているというのです。

 「発明」に対する対価と「特許権」に対する対価とは、全く異質でます。即ち、「発明」に対しては発明者が対価を得て、「特許権」については会社が収入を得るのです。(そこで出て来るのが、私が先に書いた「クレーム力」は代理人たる弁理士の能力によるものであるから、それ相当の報酬を弁理士へ、という声が出てくるのです。この報酬は特許権者である会社に対して請求するものですが。)

          

4.政治家としては中曽根康弘元首相ほど有名人ではないけれども、1980年に著書「非武装中立論」を刊行し、 これは非現実だと批判した当時の中曽根首相と予算委員会で論戦を繰り広げた元社会党委員長の石橋政嗣さん(第9代社会党委員長)が12月9日に老衰のため福岡市内で死去されました(95才)。

 同日の一般紙の社会面のその次に死去の記事が出ていたのが、ジャズシンガーの旗照夫さんで、86才で敗血症とのことです。私は若いころ、ステージ上の旗さんのジャズをよく聴いたものです。「ハッシャバイ」という歌を私も当時歌っていたものです。デック・ミネさんと並んでわが国の歌謡界を風靡した有名人です。

 私は日本アニメーション学会の会員ですが、初代の会長であった大山正先生(元東京大学教授・心理学者)が12月16日に逝去されました(91才)。約20年ほど前に設立された同学会の会長として、わが国のアニメ業界の指導と研究方針を示唆された人物です。

 

5.アフガニスタン東部ナンガルハル州の州都ジャララバードで12月4日朝、同国で人道支援に取り組んできたNGO「ペシャワール会」の現地代表で、医師の中村哲さん(73才)の乗った車が、何者かに銃撃されました。州政府によると、中村さんや運転手ら計6人が死亡したというのです。

 長く医療支援や灌漑工事を続けて来られた中村さんは、同国からは名誉市民権を授与されたばかりだったのです。2008年には日本人スタッフ(当時31才)が殺害される事件があったために警備員をつけて活動していたのです。(朝日新聞デジタル2019年12月4日16時49分)

 

6.特許庁では「意匠審査基準」の改定案に対して昨年12月19日に広く意見の募集をしていましたが、〆切は12月26日午前中までということでしたので、私は準備したのですが、結局、整理する時間がなくて提出できませんでした。

 「基準案」といっても長文かつ複雑な事項が多いのに、なぜそんな短い時間しか一般国民に与えることしかできなかったのでしょうか。

 なお、改正意匠法等は今年4月1日施行となりましたから、現行法で出願すれば効果的な事案もあります。そういう意匠については当業者は早く出願しておくべきです。例えば、意匠法3条2項の規定の適用範囲が、改正法では極めて広くなりましたので、皆さんにおかれては、現行法下における出願をおすすめします。 

 

 

7.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の5件について紹介します。

 

(1)「ゴミ貯溜機の営業秘密技術情報」不正競争行為差止等請求事件:大阪地  

   裁平成30年3月15日(21民部)判決<請求棄却>➡C2−46

(2)「ゴミ貯溜機の営業秘密技術情報」不正競争行為差止等請求控訴事件:大

   阪高裁平成31年2月14日(8民部)判決<請求棄却>➡C2−46−1

(3)登録商標「仙三七」無効審決取消請求事件:知財高裁令和1年10月23日

   (3部)判決<請求棄却>➡G−271

(4)登録商標「IoT機器3R協会」商標権移転登録抹消請求事件:東京地裁

   令和1年11月26日(民46部)判決<請求認容>➡G−272

(5)出願意匠「押出し食品用の口金」拒絶審決取消請求事件:知財高裁令和1

   年11月26日(4部)判決<請求棄却>➡B1−66

 

 

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