USHIKI INT'L PATENT OFFICE

e-NEWSLETTER


 


あなたは番目のお客様です

 
2018年8月1日



 
近 況 雑 感

        今年も酷暑お見舞い申し上げます。

        暑さに負けずに頑張りましょう!

 

1.東日本大震災を題材とした北条裕子さん(32才)の小説「美しい顔」が第159回芥川賞の候補となったとの報じられると、複数の書籍との類似表現が明らかになり、騒動となっているという記事を読みました。(新潟日報2018年7月14日 15頁)

 これに対し、この小説を掲載した「群像」発行元の講談社は、あくまでも参考文献の「未表示」の問題としているが、参照された書籍の版元や著者は反発し、7月18日の選考会が注目されるというのです。(講談社には久保さんという著作権法学者がいます。)

 講談社は、「群像」8月号で参考文献の非表示を謝罪し5冊を明示、前後して「評価を広く読者と社会に問う」として、作品をネット上に無料公開し、作者は謝罪していると言う。

 参照された石井光夫さんのノンフィクション「遺体」を刊行した新潮社は、「参考文献の記載で解決する問題ではない。」発表し、講談社に対し類似箇所の修正を求めたと言っています。

 作者自身は、被災地に行ったことはないと言っており、小説執筆のために関係ある書籍やレポートなどをいろいろ調べて参考にしていることは間違いないのだから、少なくとも参考文献だけは明記しておくべきであり、論文の作成と同じことです。

 私はこの小説を読んでいないから、真相は不明であるが、小説はフィクションが普通であるから、公知文献などを参照しながら書き上げたような小説には、純文学が対象の芥川賞という名の賞などを与えるべきではない。ちなみに、「美しい顔」は落選したという。

 「参照」と「参考」との用語の意味は異なるところ、前者は引用部分の存在が考えられるが、後者は文章作成の際に寸度読んでみた程度のことしか考えられないのです。したがって、前者の場合は「引用部分」の文献を紹介するのが常識であり、後者の場合の最後に参考文献として挙示しておくだけでよいのです。

 私は論文を記述する時は、引用参照した文献については注記するが、参考文献などは無用だからあえて紹介しません。 

 

2.本欄7月1日号では、水島新司の長編ストーリーマンガ「ドカベン」が、秋田書店発行の「週刊少年チャンピオン」における連載が終了したことをお知らせしましたが、その期間の1972年〜1976年は中学生時代(3年時に柔道部から野球部に入部),1977年〜1981年は高校1,2年生時代,1983年〜1987年は高校3年生時代,1995年〜2004年はプロ野球編(ライオンズ入団),2004年〜2012年(スーパースターズFA入団),2012年〜2018年(ドリームトーナメント編)ですが、FA時代には同一球団に、山田,岩鬼,里中,殿島,讃美の高校時代の5人衆が入団したというのです。

 ところで、「ドカベン」の46年間にはまだ及びませんが、尾田栄一郎の「ONE PIECE」は「週刊ジャンプ」(集英社)に連載21周年となり、900回以上の連載になっているというのです。1997年7月に連載はスタートしましたが、主人公のルフィは海賊王を目指し「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求めて、麦わら一味を結成し、冒険の航海をつづけているというのです。単行本の既刊は89巻,全世界での累計発行部数は4億4000万部といわれています。(読売新聞 2018年7月21日 19頁)

 以上の「ドカベン」や「ONE PIECE」に登場するキャラクターの絵が、他社製造の商品に利用されているという話を私は聞いたことがない。これらのキャラクターは「シリーズキャラクター」と呼ばれ、子供達を中心に多くの大人にも知られているキャラクターですから、商品化されたならば、アテンションゲッターとして顧客吸引力を確実に有するキャラクターであり、他社の商品の売り上げに大いに貢献することになるでしょう。

 ところが、シリーズには登場していない創作された「オリジナルキャラクター」が、近年人気が出て使用される傾向にあるのです。このようなキャラクターには、最初から一般大衆にアピールするアテンションゲッターとしての顧客吸引力はないが、これを長年使用することによって自然と人気者となっていくのでしょう。例えば、「ハローキティ」です。「キティ」は、ミッキーやスヌーピーのようなシリーズキャラクターではないけれども、それ自体は個性と可愛らしさを持っていることから、今や世界中の人気キャラクターとなって商品化されているのです。1)

 

  1)「キャラクター」や「顧客吸引力」の概念についての解説は、筆者の「商品化権」(六法出版社

  1980) や「キャラクター戦略と商品化権」(発明協会 2000)に詳しい。 

 

3.わが国の歴史には、弥生時代の前に縄文時代があり、その時代に造形された「縄文土器や石器」を全国各地から集めた「特別展」が、現在、東京国立博物館で開催中なのです。私がその中で最も注目しているデザインは、「火焔土器」と呼ばれている器物であり、その形態は周囲を縄文様にして火焔を造形化しているのであり、器物の開口部の火焔の態様は極めてリアルであり、看者を感銘させるものです。

 この火燃土器は、まず長岡市関原で発見されて以来、遠く離れた十日町地方などでも発見され、器物の形態はほぼ同一であっても、燃えている形態は異なりリアルで重厚感のある土器なのです。もちろんこれらは手作り品であるからこそ、火が燃えさかる形態に実感がこもっているのでしょう。

 この展覧会には、岡本太郎の写真と共に博物館所蔵の深鉢形土器や柳宋悦が愛した岩偶と収納箱(日本民芸館蔵)も展示されていた。

 なお、「縄文―1万年の美の鼓動」は、上野・東京国立博物館平成館で、9月2日まで開催されています。(http:jomon-kodo.jp/)

 

 

 

 

4.経産省と特許庁が主催した「産業競争力とデザインを考える研究会」なる会議が、「デザイン経営」宣言なるタイトルの報告書を、2018年5月23日に発表したことを、私は7月14日にインターネットを開いて初めて知りました。

 この研究会は第1回を2017年7月5日に開会し、第11回を2018年5月21日に開いて閉会したのです。委員は11名ですが、特に内外の法制度に詳しい学者や実務者はいません。この報告書は公開されているから特許庁のHPにアクセスされたい。

 しかしながら、わが国産業界が、わが国のインダストリアルデザインの保護制度に期待している問題については、私がすでに発表しているいくつかの本質的な論文で主張しているところですから、参照していただきたい。例えば次のものがあります。

 (1) 日本の意匠保護制度のあり方

 (2) テキスタイルデザインの法的保護―応用美術の保護に言及して―

 (3) 意匠法改正の目的は何か

  (以上につき、牛木理一「デザイン キャラクター パブリシティの保護」197頁以下) 

 そして、この問題については、実務者である弁理士の立場にからの発言を傾聴すべきなのです。

 いずれにしても、今回発表された研究会報告書が反故にならないことを願うものです。

 

5.今年も故郷の新潟県長岡市の信濃川の中州で、8月2日・3日に「長岡大花火大会」が開催されますが、この時期は、昭和20年8月1日に長岡市が米軍B29による大空襲を受けて焦土と化した記念の意味も含めた恒例の催しとなっています。その花火の中に「白菊」と命名された尺玉がありますが、この名称は、生産者の(有)嘉瀬煙火工業の会長が、戦後に抑留されてシベリアの地で犠牲になった戦友の御霊に捧げる意味で創作し、商標登録をしたというのです。(登録第5855822号・平成28年6月3日登録)

 ところが、花火大会を主催する長岡花火財団は、放送などでこの名称を使用することができないと勘違いしたのか、「白菊」の名称を使用しないという報道がありましたが、それはおかしいです。花火の生産者の名称さえ出していれば、その生産者が命名している花火ですから、全く問題はないどころか、観客に感銘を与えることができる花火となるのです。

 

6.俳優の加藤剛さんが6月18日に死去された(80才)ことで、いろいろな人が彼の人柄像について新聞に書いている中で、私は、朝日新聞「声」に北海道(おそらく旭川市)の込堂一博さん(牧師 70才)が投稿した加藤剛さんのことを書いている記事を読みました。それは込堂さんが著作した「三浦綾子100の遺言」を、加藤剛さんに3年前の秋に贈呈したところ、加藤さんから丁寧な文字で書かれたお礼状をいただき、「平和な世界を望む人たちに勇気を与えるご本です。戦争を好む人たちに読ませたいご本です。・・・」と書かれていたとのことです。

 そして、込堂さんは、加藤さんが木下恵介監督の映画「この子を残して」の原作者である永井隆博士を演じられたことから、「人一倍、非戦と平和への願いが強かったのかも知れません。」と書かれているのです。(朝日新聞「声」8頁.2018年7月15日)

 また、演出家で「劇団四季」の代表者であった浅利慶太さんが7月13日に死去されました(85才)。ニュースによると、大叔父は歌舞伎俳優の二代目市川左団次であり、父は築地小劇場の創立同人の浅利鶴雄であるといい、劇団四季は、浅利さんが慶応大在学中に東京大の学生らとともに設立したといわれていますが、役者としての顔も持っていた人であったと私は思います。 

 

7.今年も8月15日が来て、1945年から73年が経過することになります。朝日新聞「声」欄に、「語りつぐ戦争」に多くの読者からの投稿が掲載されている中で、「平和のバトン」と題した7月16日の「声」の中に、鈴木陽菜さん(兵庫県 15才)という中学生の投稿がありました。彼女は修学旅行で5月に沖縄県へ行き、「ひめゆり平和祈念資料館」(糸満市)で「ひめゆり学徒隊」の証言の資料展示を見たり、資料館で語り部をしていた女性の証言映像を見て「戦争は本当に残酷です」と書いています。

 また、フィリピンのレイテ島で21才で餓死戦没した長兄が書いた遺書のことに触れて「若者に再び兄のような遺書を書かせたくありません。」と結んでいる望月せつさん(静岡県 91才)の投稿もありました。レイテ島といえば、大岡昇平の「レイテ戦記」という著書があります。

 

8.以前にも書きましたが、太平洋戦争による民間戦災被害者らが陳情している「救済法案」が、いまだ国会に提出されていないことについて、超党派の国会議員連盟(会長:河村建夫)に要望していますが、まだ先が見えていない、と朝日新聞(2018年7月16日 30頁)は伝えています。河村建夫(山口県出身・衆議院予算委員会委員長)さんは、私の友人の故田村公聡弁理士の大学時代の同期生です。

 

9.ところで、私は、当所で出願代理した意匠登録出願が意匠法3条2項に該当する意匠であることを理由に拒絶査定となったことを不服とする審判請求をしたところ、やはり請求棄却の審決を受けましたので、知財高裁へ出訴したところ、平成30年5月30日に請求棄却の言い渡し判決がありました。そこで、最高裁に上告受理申立て書を平成30年6月13日に提出したのです。

 この上告受理の申立ての理由は、民訴法318条1項に基づくものであり、「最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、・・・若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断である事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。」との規定があるので、私はこの規定を適用し、東京高裁と知財高裁における4つの裁判例を引用し、立法経過とともに、高裁の法令解釈の誤りを主張しています。 

 

10.今月の「裁判例研究コーナー」では、次の3件について紹介します。

 

(1)「イラスト」送信可能化権侵害損害賠償請求事件:東京地裁平成30年6月

   7日(民46部)判決<請求認容>➡D−121

(2)登録商標「GUZZILLA」無効審決取消請求事件:知財高裁平成30年

   6月22日(1部)判決<請求認容/審決取消>➡G−252

(3)部分意匠「放熱フィン付検査用照明器具」無効審決取消請求事件:知財高

   裁平成30年6月27日(4部)判決<請求棄却>➡B2−26

 

 また、第1.5 特別論文「インダストリアルデザイン―その美と保護の研究―」の第4回分を今月号に発表しますので、お読み下さい。➡1.5−8

 

11.このHPに掲載されている私の論文,論説には著作権が与えられていますので、無断複製を禁止いたします。引用される場合には、必ずその出所を明記して下さるようにお願いいたします。 All Rights Reserved.


 
    牛 木 内 外 特 許 事 務 所
  弁 理 士  牛   木   理   一

〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町3丁目27番地
大洋ビル4階(秋葉原駅東口5分)
(併設)有限会社 IPビジネスコンサルティング
TEL:03−3866−3503
FAX:03−3866−8319
 e-mail:upat@blue.ocn.ne.jp